ピアノ騒動 ２
結婚して１ヵ月後に
大阪から名古屋に転勤で移り住み、
１０年目を迎えたとき、
また大阪に戻ることになった。
子ども時代に転校なんかしたことのない夫は
単純に大阪に戻れることを喜んだが、
転校ばかりしてた私は、
まず子どものことを考え、
転校手続きをするためにも
早く住む家を決めなくては！と
夫に早く家探しをしようと促した。
夫は、
「俺の実家でええやんか。おふくろも１人で住んでるし」
冗談じゃない！
いくら１人で住んでても、
家の中身は義父が生きてた頃のまま
家電も家具も昔のままである。
それを処分して、
私達の持ち道具を運び込む暇はない！
おまけに、七五三事件や諸々のことで
あんびりといきなり同居は勘弁してほしい。
やんわりと、せめて近所で何かあったとき
すぐに訪ねられる所に家を借りてほしいと頼み、
近所のマンションを借りることにした。
ところが、契約の段になって、
そのマンションは構造上ピアノは置けないとわかり、
どうしよう？ということになった。
とりあえず、実家に置かせてもらおうと、
電話を入れたところ、
遊びに来ていた義妹が出て、
「自分の子どもにもピアノを触らせてやることが出来るから、
ちょっと片付けたら置けるんじゃない？」
という返事をもらったので、夫にその旨伝えて、
夫からは引越し業者に、
引越し荷物は転居先マンションに、
ピアノは実家に運ぶという依頼をし、
ピアノの移動日が決定した。
実家に夫が電話を入れると、
「そんなもん、置かれへんでぇ！
どこにピアノなんか置くの？」
というあんびりからの返事だった。
話は伝わってなかったのか？
冗談だとでも思っていたのか？
私の方は、自分の初給料を貯めて買った
愛着あるエレクトーンを思い切って処分し、
ピアノ１本に絞って大阪に運ぼうと、
ピアノ専門業者に手配をしていたのに…
何ということだ！
ブチ切れた。
ピアノも名古屋で処分することにした。
幸い、その話を聞いた近所の人が
ピアノの引き取り手を見つけてくれ、
欲しいと言ってくれた人も間接的に知ってる方で
運送の手配も全部やって下さった。
ピアノはまたまたタダで別の人に移り、
初めの契約では本来手数料が必要な
エレクトーン処分料はゼロのサービスだったのが
このキャンセル騒動で、手数料を払わされ、
お金は出て行き、ピアノは残らず…涙が出た。
【タダほど怖いものはない】
まさにその通りだった。
あんびりや義妹の軽い返事が
こんな結果を生んだ。
その後、義妹はあちらの親から
電子ピアノを買ってもらい、
娘達は楽しそうにピアノ教室に通っているそうだ。
「○ちゃん（義妹の娘）のピアノの発表会の服、
高いの買わされたわ～」と
ニコニコしながら話すあんびり。
関西でしか放送されてない、
財津一郎がやってる「ピアノ売ってちょ～だい！」ってＣＭを
見るたびに、あのときの悔しさがこみ上げてくる。
最近、小学校で器楽部に入った次女は
「前みたいにピアノがあったら、
楽譜見て弾く練習できるのに…」
と言いながら、
電池を入れて弾く壊れかけのキーボードで
練習している。
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