中年よ、大志を抱け!

中年よ、大志を抱け!

サバイバルの時代



例えば…日本から来る企業の偉いさんたちは、以前は空港から良い車に乗って来てたんですが、しょっちゅう強盗に襲われるんで、今は普通の目立たない車、それも2~3台で移動してるそうですし、出稼ぎから帰ってきた人達も、なるべくバスに乗るなどしてるそうです。

大きな店の主人や、サラリーマンなどは、通勤の道をしょっちゅう変えたりとか、色々な工夫をしています。悪い奴に目をつけられにくくするためです。

去年、僕の住んでる市と姉妹都市関係にある日本のある市から団体が来たんですが、団体が乗ってるバスに対して、3台のパトカーが護衛についてました。…まあ、これは儀礼的なってこともあるんですけどね。

僕がブラジルに来た当初、誘拐、強盗、殺人の話しをほとんど毎日先輩たちから聞かされました。大げさな、とは思えませんでした。なぜなら、テレビではひっきりなしに恐ろしい事件のニュースがやってましたし、今お付き合いしている方々の多くが、実際に怖い目にあってるからです。しょっちゅう会ってた人で、いきなり車に乗ってるところを撃たれてなくなった方もいました。

僕がブラジルに来た頃、よく町を歩くときに先輩の息子さん(当時14歳)がついて来てくれました。さりげなく、ボディーガードをしてくれてたんです。彼もまた靴や時計を取られるという経験をしてました。

とにかく目立たない格好をして、いつも財布とは別のポケットなんかにお金を入れてますし、もし強盗にでも襲われたら、お金が少ないと逆切れされることがあるんで、ある程度のお金をやれるように用意してますし、交差点で赤信号の時に止まると危ないので、ゆるゆる車を動かしてます。

何しろこの不景気でしょう? 日本人(日系人)は教育程度が高いのでいい仕事についてる人が多いし、ここでいい仕事についてない人は、日本に出稼ぎに行くことが出来るし…で、日本人はお金を持っている、というのはたとえ個々の日本人はそうでなくっても、イメージとしてそうとらえられているので、嫌でも気をつけないといけないわけです。

子供が生まれてからは、それまで以上に気をつけてます。誘拐が多いですからね。子供が生まれた時も、病院は完全警備下にあって、保育室はもちろん、赤ちゃんと一緒に病院を出て、車に乗るまでボディーガードがついて来ました。

…田舎のほうはもっとのんびりしていますけどね。例えば、こちら(サンパウロ市内や僕の住んでいるような大サンパウロ圏の市)では、どんな家でも窓は鉄格子が入っていて、高い塀があり、その塀の上には高圧電流が流れている電線がはってあったり、ガラスのビンを割ってとげとげになった奴をくっつけてあったりしてます。田舎では、そんなに高い塀は無い所が多いですし、塀はあってもすぐ超えられる形ばかりってのも多いですから、田舎はもっと安全なんでしょう。

僕は職場の敷地内の建物の一室に住んでいるので、僕の住んでる建物には塀はありませんが、職場の敷地全体が高い塀で囲まれていて、誰かが出入りする以外は門が閉じられています。

かといって、周りの人全てが危険な人、って言うわけではもちろんなくって、瞬時も心の休まることが無い、なんてことはありません。むしろ、ほとんどの人達は優しく親切な人が多いんですが、自分の身は自分で守らないといけない、という雰囲気が、日本よりも濃厚なわけです。

で、こんな所に何年も住んでいると、ときたま観光に来てる日本人の無防備さに驚くことがあります。

ツアーで来る人達はいいんですが、カーニバルを見にリオデジャネイロなんかにやってくる、ガイドなしの、しかも言葉もろくろくわからないような女子大生のグループなどを見ると、人事ながら心配してしまいます。

こういう所にいると、嫌でも安全に対する意識が高くなってしまいます。

サバイバル…って言って良いのかどうかはわかりませんが、これから何度かにわたって書いていきたいと思ってますが、現在僕はそういう立場にいるということを今日は書いてみました。

安全さは、誰かがくれるのを待つものではなく、出来るだけ自分で作り出すモノ、なわけです。

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