中年よ、大志を抱け!

中年よ、大志を抱け!

若者



・・・しかし、ちょっと見ないうちにえらい事になってましたよ、駅。

中学生か高校生か分かりませんけど、通路のはしっこの方に、べたんと座ってる一団があるじゃないですか。車座になって。女の子もね。何であんな所に座ってるんでしょう? 歩くところですよ? 邪魔も邪魔だけど、汚いじゃないですか。・・・それで、何か食べてるわけです。あれにはあきれましたね。 

それで、電車に乗れば乗ったで今度は、中学生か高校生か分かりませんけど、制服着た女子生徒が化粧してるじゃありませんか。席に座って。鏡見ながら何かべたべた塗ってるわけです。別の席じゃやっぱり女子生徒が爪切ってるんです。パチンッパチンって。

驚きましたよ、僕は。身だしなみは人前に出る前にすべき事だと教わってましたからね。 

出張から戻って、そのことを職場の同僚やおばちゃん達に話すと、そういうの、自分も見たことある、とか言ってましたから、きっと皆さんの中にも知っておられ方が沢山いらっしゃる事と思います。

で、どうですか? あれ。

僕は今の若者がどうのこうのって言う事は言いません。僕だってそう言われてたんですから。
それに、古い価値が必ずしもいいとは思っていませんしね。

でも、ですよ。駅の通路は車座になって座るべき所じゃないし、電車の席は化粧したり爪切ったりするところじゃない、って僕は思うんです。

その場にはその場にふさわしいくない行為ってものがあると思うわけです。

何でもかんでも、どこででも思ったままに、っていうのは、結局はだらしなくてきたない雰囲気を作り出しちゃうような気がします。

場所だけじゃありません。モノも、です。たとえば、革靴の後ろを踏んで履いてる若者をよく見かけますが、あれじゃいくら何でも革靴が可愛そうでしょうし、第一、そうまでして革靴履く事無いじゃないですか。

僕は以前ある地域サークルで知り合った青年がそうしてたんで、僕ともう一人、僕くらいの年齢の奴と、27歳のかっこ良い女性との3人で、「君、いくら何でもそりゃ、かっこ悪りーぞ。革靴はなぁ、そんなふうにして履くもんじゃない」と言ってやったら、早く大人になりたいと言ってた彼は、大人の言う事は聞かなあかんと思ったらしく、「ハーイ」とか言ってそれからはそうしなくなった、という事がありました。

もしかしたら、大人がもっと言ってやったらいいのかもしれませんね。・・・でも、きょうび、相手によっては気をつけないといけませんけどね、残念ながら

さて、今思い出しましたが、そう言えばこんな事もありました。

3年前、免許証の更新のため警察に行った時の事です。

講習会がありますよね? 交通事故の悲惨さを見せる映画を見た後に。

その日は、ある年配の警察官が講師でした。

彼はその日の朝、近くの交通事故の現場を見てきたばかりだと言いました。若者の暴走運転のために自転車に乗った少女が轢かれて亡くなったとの事でした。

その話に続いて、実は、自分の息子も数年前、自転車に乗っていたところを飲酒運転の車に轢かれて亡くなったので、自分としては、警察官だからという事ではなくて、交通事故で息子を亡くしてしまった親として、車を運転する人には、心から飲酒運転や暴走運転などはやめて欲しいと願っている、というような話をされました。

僕は、彼の話に打たれ、胸が熱くなる思いでした。

ところが、です。「あ~あ、はよ終わらんかなぁ、こんな話し」と声が聞こえるじゃないですか。後ろの方を見て見ると、茶ッ茶の頭したボーズが隣の恋人だかガールフレンドだかにそう言ってるわけです。

「もう検査も終わったんだからよぉ、ったく、めんどくせぇよな~」とか言ってるわけです。

すると、講師の話を熱心に聞いてたのは僕だけではなかったようで、ほとんど全ての受講者が、一斉にしょーもない事言った彼を見つめました。怒った目や冷たい目で。

すると、その隣の恋人だかガールフレンドだかも講師の話を一生懸命聞いてたらしく、「何がめんどくさいのよ~、大事な話ししてんじゃんか」と彼に返事してました。

そのボーズも、彼女の返事の後すぐに、周りの怒りの目や冷たい目に気づいたようで、それからは黙ってました。

そのボーズは、身近な人に言われて自分の恥ずかしさに気がついたのかもしれません。恥ずかしいとは思わなかったにしても、周りの人もみんな怖い目してたし、まずい、とは思ったんでしょうね。

みんながじろっと見る事で、また、彼女がチラッとたしなめた事で、彼はその時、いわゆる世間とか、社会とかがぐっと身近になったのかもしれません。今まで「関係ねぇや」、と思っていた世間とか社会の方に、彼女がちょっと行っちゃってる、まずい、俺を置いてかないで、という感じだったのかも知れません。違うかもしれませんけどね。

ま、とにかく、今の若者はなんちゃらかんちゃらってよく言われますが、僕も含めて、大人のみんなが、ちゃんと言ったらんといかんじゃないかな、って思うんです。

言えない場合は、せめて白い目で見ちゃるとか、・・・勇気がいりますけどね。それと、怒ったりあきれたりするばっかりじゃなくって、よくやったな、って思った時はちゃんと評価してあげるとか。

それで、仲の良い若いもんには、大人のすばらしさをどんどん教えちゃるんです。・・・みなさんだって子供の頃に比べたら大人の今の方がよっぽどいいでしょう?

それをバーンと伝えちゃるんです。

あ、面白さって言ったって、大人の面白さですからね。味わい深さって感じでしょうか、趣の深さって言うんでしょうか、ガキっぽくない、お・と・な・の面白さですよ、もちろん。単にアハハハっていうんじゃありませんからね。

僕なんか、ほんとに大人になった今の方が、ボーズだった頃に比べたら何十倍も良いですもん。・・ね? 皆さんだってそうでしょう? 

 え? そんなことないって? 人生、面白くないって?・・・本当ですか?・・・ありゃりゃ・・・

もしそうだとしたら、それこそが、「今の若者」問題の最大の原因なんじゃないかなって思いますよ。

だって、大人になるのが面白い事なら、ボーズ達は大人の言う事をよく聞くはずですもんね、自発的に。誰か素晴らしい大人にあこがれて、ああなりたいと努力した事がある人なら、何となく分かるでしょう?


結局、ある世代の問題は、その前の世代の問題なんだと思います。しっかりしなくちゃならないのは、実は、僕らな訳ですよね。面白い人生にしなくちゃ! です。

すみません、生意気な事を言ったかもしれませんね。でも、ニュースなんか見てても思うんですけど、なんかやっぱり、このままじゃいけないって思うんですよね。で、その責任というか解決の方法というか、は、他人にばっかりあるんじゃなくて、自分の側にもある、と思ったんです。

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