息子



知人の近所に住む、奥さんの息子さんのお葬式があった後、ぽつぽつとその奥さんが力無く知人に語った話。

息子さんが友人達と海水浴に行って、夕方になっても浜辺に戻ってこなかった、どんなに探してもいない、家に先に帰った訳でもない、荷物が全て残されていたから。

警察に行方不明を家族で届け出た。

数日後、警察から電話が有り、身元の確認に来るようにと言われたので両親が行った。

その日水死した10代の若い男性が3人いた。

水死した男性達は顔も身体も水をこれ以上含むことが出来ないほどだった。

水底に沈んでいた者達が浮かんでくるまで2~3日以上かかっていたからだった。

どの男性も顔も身体もパンパンに膨れ上がり我子とは判別つかなった。

身に着けた遺物でも三人とも年頃も背格好も似ていて、同じ年代の男性達の持ち物も友人達でも判別できなかった。

奥さんはよく見ても判らず「この中にはいません」と話し立ち去ろうとした時、一人の男性の両目がパカッっと見開いた、その目つきを見た奥さんは「ああー!この子は○○ですー、私の息子の○○...」泣き崩れた。

母親はきっと息子が口を利けないので私に気付いてもらおうと目を開いて教えてくれたのよ...

と言ったそうです。その息子さんは中学生になっても知人にも明るい笑顔で挨拶をしてくれる良い子だったそうです、私はこの話を聞いた時にとても落ち込みました

そんな!これからのある若い男性がおぼれて死ぬなんて!知人の近所に住んでいたので道ですれ違っていたかもしれない、知人と一緒に挨拶を交わしたかも知れない人がこの世にいない、私は若い人が死ぬ事が信じられない年頃だったので世の無常のようなものを感じました。

この翌年にも、この知人の近所に住む10代の若い男性がやはり死因が水死という悲しい出来事が有ってと知人に聞いた時に、私は身がすくみ寒気がしました。

まさか呼ばれたのでは?....

4人の若者達の方へご冥福をお祈りします。

この話は実際の

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