浜松の寮



その寮は4階建ての古いアパートで2階の6号室へ入らせてもらった。

3LDKで玄関の正面に洋間の4畳半位の部屋、中央にリビングダイニングキッチンがあり、キッチンの奥の左側が和室6畳間、右側が和室7.5畳間だった。

6畳間と7.5畳間の先に両部屋から行き交う事の出来るベランダがあった。

あと数日後に二人入るので好きな所を使って良いと言われたので、荷物が多いので一番広い部屋の7.5畳間を占拠した。

カーペットを買うので何度も数えたが珍しい7.5畳だった。

私の部屋はベランダから縦に細長い部屋だった。

入って三日目の夜、ベランダの方に向いてコタツに入り食事をしながらテレビを見ていた。

なにげなく左手に有るキッチンの方のすりガラス戸(この部屋はここから出入りする)を見た。

真っ暗な中、北斗星のように曲がり少しななめ向きの縦に、30CM位の少し明るい光の棒が右から左へ高さ40CM位の高さをたもちながら、ゆらゆらと進んでいった。

私のアパートの右横は道路で、部屋は2階なので下の道路を正面から来る車のライトの光はベランダの透明なガラスから入ってくる。

しかし、そのライトの光はベランダの1メートルほどの距離で、それ以上届く事は無かった。

ベランダから、出入りするすりガラスの戸までライトの光が届くのは不可能だった。

キッチンの奥のもう一つの部屋からも道路のライトの光が届いたかも知れないが、キッチン側のその部屋の入り口はふすまで開いていて、ライトの光が見えたのかと思い、確認したが閉まっていた。

キッチンにはどこからも光が入るのは有り得ない事だった。

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