ひめあんどぴー

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~長い入院生活~発見


精神的にも、肉体的にも落ち着いてきた私にとって、
病院での生活は、なかなか興味深い物となってきた。
何しろ抗がん剤という物は、治療中は吐き気や食欲不振が
あって辛いが、終わった途端に普段と変わりなくなる。
つまり次の治療までの3週間は元気で退屈な日々となるのだ。
私も、とても病気で入院中とは思えないほど元気で、
まるでどこかで合宿しているようだった。
何しろ病院での生活はとてーも規則正しくて・・・

 6時     起床(突然明かりがつく)
 7時     検温(明かりがついても平気で寝ていると、看護婦さんが突然           カーテンを開け、かなりビックリする)
 8時     朝食(パンの洋食か、ご飯の和食が選べた)
 9時     回診(先生の都合により不定期)
 9時~12時 清掃(いろいろな人がやって来て綺麗にしてくれる)
12時     昼食(麺類かご飯が選べた)
13時     検温
14時~17時 入浴(早い者勝ち)
15時~20時 面会時間(この時間誰かが来てくれる事だけを楽しみに、毎日過            ごしていた)
17時30分  夕食(しかしここの食事はまずかった)
19時     検温
21時     消灯(あまりにも早くてとても眠れない)

・・・とこんな具合だったので、健康的な毎日を過ごす事が出来た。

生活に慣れると次に気になるのは、人間関係である。

~看護婦さん~

看護婦さんはたくさんいて、なかなか名前と顔が一致しなかったけど、やさしい人、ヒステリー気味の人、のんびり屋さん、せかせかしている人、いろいろな人がいて結構面白かった。
何人かの看護婦さんとは友達のようになれたし、
そのうちの二人とはいまだにお付き合いがある。
しかし看護婦さんとは大変な仕事だ。
下の世話、清拭、採血、シーツの取替え、心のケア、
ありとあらゆる事をかなりのハードワークでこなしている。
頭が下がる思いだった。
入院して初めてわかった事だが、先生より看護婦さんに頼る事が多かった。 
ただし、新人の看護婦さんの実験台になるのは嫌だったなぁ・・・
だって採血は痛いし、清拭(まだ動けない時に身体を拭いてもらう事)も下手なんだもの。
まぁ、誰だってはじめは新人なんだけど・・・

~同室の人達~

はじめは、なかなか仲良くなれなかったけど、
長い入院生活を送るうちに次第に心が通うようになった。
何しろその病室ではいつの間にか、私が一番長くて
ボスみたいになってしまったから。
でもほとんどの人が子宮筋腫、卵巣膿腫、
などの手術のための入院なので、
2週間くらいで退院してしまい、
私はいつもお見送りしなければならず、
少し悲しかった。
また自分勝手な人もいて、夜中にトイレに行くのに
バタバタと音を立てて行ったり、
お見舞いに来た人と無神経な事を言い合ったりする人もいて、
共同生活の大変さを思い知った。
特に私は寝る時に神経質な所があって、
人の立てる物音や、明かりに眠れなくなるので、
まいってしまった。
自分の居場所が畳一畳分位のベットしかないと言うのも、
かなりこたえた。
そんな中でも3人の人とお友達になれた。
お友達とは言っても年はかなり違うのだが・・・

~お見舞いに来て下さる人~

入院していて何より嬉しかったのは、お見舞いであった。
主人が毎日来てくれた事は何より心の支えだったし、
母、主人の父、母、弟、親友はほとんど毎週、
他にも母の友人、会社の人、近所の方、
大勢の方が来て下さった。
家から1時間以上もある遠い病院だったので、
来て貰うのは申し訳なかったが、何よりの励みだった。
3ヶ月も入院していたのに、誰も来てくれない日はなかった。
でも入院した事をほとんどの友達には言わなかったので、
同じ人が何度も足を運んでくれた事になるのだろう。
3時の面会時間になると、足音に耳を済ませていた。



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