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夢追いランナー笑石人の部屋
'15 さくら道国際ネイチャーラン
【結果】
時間: 26時間52分
順位: 5位/出走者132人(完走者104人)
(厚さ約2cmの檜製の完走証)
【これまでの記録】
'07 30時間40分 20位
'08 28時間44分 3位
'09 24時間走世界大会と時期が重なり不参加
'10 24時間走世界大会と時期が重なり不参加
'11 30時間03分 11位
'12 27時間31分 7位
'13 29時間23分 8位
'14 26時間55分 5位
'15 26時間52分 5位
(今迄に戴いた完走証)
【大会情報】
大会HP
http://shirotori-gujo.com/sakuramichi/main.html
速報HP
http://www.combinatics.com/corunners/timeline?raceId=613
【気象情報】(気象庁の統計データを参照)
18日(土)名古屋:曇、最低気温6.6度/最高気温22度、平均湿度38%、平均風速2.3m南の風
18日(土)岐阜:晴、最低気温4.2度/最高気温21.1度、平均湿度--%、平均風速4.3m北北東の風
18日(土)八幡:晴、最低気温0.8度/最高気温20.8度、平均湿度--%、平均風速0.4m西北西の風
19日(日)白川:曇、最低気温1.8度/最高気温11.5度、平均湿度--%、平均風速0.4m西南西の風
19日(日)砺波:曇/雨、最低気温9.6度/最高気温16.4度、平均湿度--%、平均風速2.6m北北東の風
19日(日)金沢:曇/雨、最低気温9.6度/最高気温18.4度、平均湿度71%、平均風速2.9m東の風
※私が見た道路上の温度表示は、最低1度、最高23度。
【大会に向けた練習】
・1月…ロング走と香港24時間走で距離を稼いだ。月間走行距離:820km。
・2月…24時間走の疲労抜きとして第一週は完全休養。東京マラソンで風邪をこじらせて気管支炎となり、走れない日が増えた。月間走行距離:200km。
・3月…熱はないが少し負荷を掛けただけで咳き込むため、休足日が多くなった。ウルトラマラソン向けの練習は、70kmと96kmのLSDの2回だけ。板橋Cityマラソン(フル)で、喘息の症状が一気に悪化。呼吸器内科で診察を受け、気管支喘息の投薬治療開始。4月の第1週までは完全休養。月間走行距離:350km。
・4月…投薬治療と完全休養の甲斐あって症状が少し良くなり、練習再開。本来ならば走り込み期を終え、疲労抜きの期間だが、LSDやロング走を実施。しかし、梅雨のような雨の日が多く、走った日数は6日間だけ。大会直前の走行距離:250km。
※本来、走り込むべき2、3月が平常の月の半分以下しか走れず、走力が著しく低下。
【大会前日】
出発ギリギリまで仕事に追われ、ストレスの為か頭痛と吐き気に襲われ、家を出る前に激しく嘔吐。一瞬、DNSも考えたが、時間がないのでそのまま出発。
過去最低と同じくらいの練習不足と悪い体調に喘息も加わり、完走できるイメージが湧かない。
会場に着くと日焼けした顔で意気揚々と歓談している走友達がいた。
ろくに準備が出来ていない自分の居場所がない感じ。来てしまって良かったのか?
いつもなら居心地がいいはずの場なのに、緊張と不安で潰されそうだ。
受付や説明会は、半分くらい上の空で話を聞いていた。
(参加者全員の紹介の場面)
(前年の準優勝者の日置さんがスピーチ)
(外国人代表のLaurence Chownsmithさんのスピーチ)
荷物預けを済ませたら、いつも参加させてもらっていたプチ前夜祭も辞退。
吐き気や頭痛は収まっていたので、コンビニで買った菓子パンとチーズケーキを食べ、早めに就寝。
【大会当日】
[~スタート]
4時半に起床。
お茶を飲みながら、朝食(おにぎり1個、豆大福1個)、準備を済ませ、5時15分にホテルを出発。
快晴。放射冷却のため気温が低く(7度)で寒い。
スタート会場入口に着くと、応援の人がたくさん。
しかし、気持ちはまだどん底。目が合ったR師匠とだけ話をし、たくさんの応援者から逃げるように入城。
(名古屋城の櫓(やぐら)の横から昇る朝日)
なんて無礼な人間なんだろう…。
せっかく選考してもらったのだし、言い訳は山ほどあるのだから、結果を恐れずに楽しもう!
(スタートを待つ選手たち)
(今回チーム凰から参加した3人)
和やかな雰囲気の下、記念撮影をしたり先行ウェーブスタートの選手を拍手で見送っていたら、やっと、前向きに走る気になれた。
最終組、7番目(6:18)で笑顔でスタート!
[スタート~第1CP(道の駅美並)67.2km]
ペースはキロ5分20秒~5分半くらい。信号待ちを含めると、ちょうどキロ6分ペースくらいだろう。少しずつ先行ウェーブのランナーを抜きながら順調に推移。
前回より遅いペースで走っているのに、足が重くなるのが早い。
出来るだけ楽に走るよう心掛けよう。
岐阜の魔の遮断機と連動する信号に捕まり5分くらいロスしてしまった。
大集団になってしまい、次のエイドでの混雑を避けるため、少しペースアップして集団を引っ張り、その後の信号でH吉さん他数名で集団から先行した。
この付近からいつも安定して上位を走るH吉さんと前後することになった。
このまま付いていって大丈夫だろうか?不安がよぎった。
関市を過ぎて北上するようになると、完全に無風状態になった。
南からの追い風に変わったようだ。
暑さを感じ汗が滴り目に入ると痛い。多めの水分補給を心掛けるが、そのせいで食欲が湧かない。
バナナがあるところでは、すぐに消化されるよう一口だけ食べるようにした。
(白鳥町に掛かる歩道橋の上から見た、これから越えるべき雪を被った山々)
[第1CP~第2CP(白鳥町)106.9km]
80km後半くらいから薬の効果が落ち、咳が出るようになってしまった。
発作が起きたら走れないので、薬を置いてある第一CPへ急いだ。
なんとか発作が起きる前に到着。
すぐに軽食を取り薬を飲んだ。でも、咳が頻発して息苦しい。
薬の効果が出るまで横になって休むか、ゆっくりでもいいから前に進むか?
今までの経験から、キロ6分くらいなら、多少、咳が出ても走れたので、後者を選択。
まだ明るいのでライトはポーチへ入れ、南からの温かい追い風があり寒くないので、受け取った防寒着(ULウィンドブレーカーの上下)は袋にいれたまま両手に持って再スタート。
[第2CP~第3CP(荘川桜)143km]
何度も力んで咳をしたのでトイレ(大)に行きたくなってしまった。
白山神社前のトイレで体重を軽くし、肌ケアやマッサージをしながら咳が収まるのを待ち、落ち着いてきてから出発。
両手に持った防寒着は、片方だけで100g以下と僅かな重さだが、ずっと持ち続けると腕や肩が疲れた。
超軽量のベストタイプのザックに入れて背負うか、腰に巻いて走った方が良さそうだ。
緩やかな上り坂が続き、急激に足が重く感じる。
前傾を意識して歩幅を狭くしリズムよく、蹴らないことを意識して走るように心掛けた。
日没後、しばらくして高鷲消防団詰所エイド(123.9km)に到着。
チーム仲間のK内さん他2人が、預けた防寒着や夜間装備を付けて休憩していた。
私も防寒着、ヘッドライトを着用。食欲がなかったので、飲み物だけ頂き出発。
ここで先行していたランナー3人をパス。
すっかり暗くなった頃、やっと分水嶺に到着。
写真を撮ろうと思ったが、カメラの異常の為、撮れず、諦めてエイドへ。
ここでは、いつも温かいおでんを食べるのだが、食欲がない。
でも、せっかくのご厚意に応えるべく、卵とちくわを戴いた。甘いものばかり食べてきたので、塩気のあるダシがとても美味しく感じた。
久しぶりのしっかりした食べ物、しかも、消化し難いものを食べたので、しばらくはゆっくり走り、消化させることにしたが、この後ゴールまで、逆流性食道炎に苦しむことになった。
すでに足のすべての部位が痛いが、まだ100km以上の距離が残っている。
ゴールまで走り&歩くことが出来るのだろうか?とても不安だ。
先のことを考えると前向きになれないので、次のエイドにたどり着くことだけを考えることにした。
途中で道路に温度表示があったが、9度もあった。
3度の間違いでは?と目を疑い何度も見たが、間違いなかった。
確かにULのウィンドブレーカー上下を着ているだけなのに温かい。
こんなに気温が高いのは珍しい。
第3CP(荘川桜)には、氷点下の気温に対応できる防寒着を預けておいたが、この後は温かいトンネル区間が長いので、着なくても大丈夫だろう。
福光エイド(223km)に喘息の薬を置いたので、朝にはたどり着く必要がある。
残雪が多い五箇山トンネルまでの区間は0度くらいだろうが、走って上れば耐えられるハズ。
リスクがあるが走るしかない状況を作ろう。
防寒着はそのまま返却した。
長い休憩の間に随分前に抜いたK納さんに追いつかれた。
でも、随分と辛そう。(ゴール後にソックスの前方が赤黒く血で固まっていたのを見て鳥肌が立った。)
旦那さんとお子さんが応援に駆け付け励ましている。羨ましい良い雰囲気だ。
私もその温かさを少し分けてもらい、空元気に出発!
[第3CP~第4CP(白川郷)172.6km]
固形物を食べずに飲み物しか取っていなかったので、お腹が緩くなってしまい、少しペースを落した。
御母衣ダム電力館には洋式の綺麗で温かいトイレがあるので、そこでトイレ(大)休憩した。
H吉さん、Y岡さんが前に見える位置を走っていたが、トイレ休憩している間に見えなくなってしまった。
平瀬温泉エイド(156.6km)では、二人とも食事をしていたので追い付いた。
K納さんの応援に先回りしていた旦那さんが、「次のエイドは12km先だから、しっかり補給して!」とアドバイスしてくれた。
頭がボーっとしていて次のエイド情報をチェックしていなかったので助かった。
食欲がないが、おかゆを食べ、しっかり水分補給もして出発。
体全体が重く、バイパスへの上り坂は歩くスピードまで落ちたが、下り坂でリズムをつかみ、ペースを戻す。
眠かったのかH吉さんのペースが急速に落ち、トンネルの中で追いつきパス。
白川郷への入口のエイドに着くと、トップを競っているはずのKさんが座っていた。
Kさんが初参加の年は、途中で肉離れを起こし、100km以上歩いてゴールした逸話があり、その時に追い付いたのもこの付近だ。その時よりも時間的には早い。
100km以上歩いてゴールしことがあるじゃないですか!と叱咤激励したが、道路の陥没部分に足を引っ掛けて転倒し膝をやられてしまい、動けないそうだ。
ドMのKさんが無理と諦めるくらいだ。残念だが仕方がない。
(ゴール後に見た膝は、すぐにでも病院で治療を受けるべきでは?と思うくらい、パンパンに腫れていた。)
白川郷は真っ暗だが、街路灯の灯りでぼんやりと全容が確認できた。
いつか、明るい時にのんびりと観光してみたいな。
集落を抜け、再び暗く寂しい道を進むとようやく白川郷エイドの灯りが見えた。
二人の選手が休憩していたが、追い付かれて焦ったのか、H川さんがすぐに出発。
H山さんはグッタリしていて全く動かない。
アウトかな?気の毒で声が掛けられなかった。
私も無理にお粥を食べてから胃酸が何度も込み上げ、すっかり喉が焼けてしまって食欲ゼロ。
乳酸菌飲料だけ頂いて先に出発。
[第4CP~第5CP(大鋸屋)212km]
エイドを出発すると肌寒かったが、すぐにトンネルに入り体が温かくなった。
遠くにH川さんが見えたが、次のトンネル以降は全く見えなくなった。
私に追いつかれて刺激が入ったのか、凄いスピードだ。
若いし、いかにもトレイルランナーらしい格好だったので、アップダウンにはかなり強そう。
もう会うことはないだろう。
気にせず、自分のペースをキープ。
一歩一歩、着地する度に足のあらゆる関節と筋肉に痛みが走る。
歩きたい衝動に駆られるが歩いたら体が冷えてしまうので歩くわけにはいかない。
カーブの先に明かりが見えた。世界のO山さん率いるランナーエイドだ。
メンバーが走友たちばかりで、安心して弱音(本音)を吐いてしまった。
9分前にH川さんが出発したと言われた。
その後に、無言で追い付ける距離だよ。と隠れていたように思う。
しかし、今の私にはそんな情報はどうでも良かった。
とにかく、時間内に完走できる安心感が欲しい。
五箇山だ、五箇山を超えればきっと安心感が得られるはずだ。
スポーツドリンクのみ頂き、出発。
その後、何度も県境をまたぎ、たくさんの橋を渡り、富山県と岐阜県の標識を三度も見ることになる。
橋では冷たい谷風が吹いているし、同じところを彷徨っているかのようで大嫌いな区間だ。
四度目の富山県の標識が最後だったはずだ。
はやくこのループ地獄から抜け出したい。
おかげで少しだけペースが戻ったか?
最後の「富山県」が見え、長い岐阜県を抜けることができた!
富山県の最初のエイドはささら館。
飲食物がふんだんに用意されていて、何が良いか聞かれるが、何も口にしたくない。
ドリンクだけ頂き、出発。
五箇山ICを過ぎて、前方にH川さんが見えた。
迷ったのか?睡魔に負けて歩いたのか?なぜ?
10分くらいの差が1分もなくなった。
逃げきったはずの私に追いつかれ、ショックを受けたのか?
話しをしてみると、10位以内で良いという弱気な事を言い、後ろの事を気にしていた。
後のランナーもバテバテだから気にする必要はない、前を目指すよう励まし、この後のコースの事や抑える部分、頑張りどころなどを話した。
しかし、正直なところ、自分の事で精一杯だった。
五箇山を超えたら完走できる!早くそこへ辿り着きたい!
次のエイドまで引っ張り、先行した。
五箇山タクシーエイド手前でY岡さんが見えた。
エイドに入って小休止。Y岡さんと歓談していたら、二人とも計測チェックをするのを忘れてしまった。
座っていなかった私が先にチェックしてしまった。ごめんなさい。
このエイドは、ネイチャーランのランナーが担当している。
よりランナー向け、疲れ切ったランナーでも食べられる飲食物が用意され、特にカレーが伝統で美味しい。
食べたいけど、今回も胃腸が受け付けない。
ペースを上げる為、上体をフルに使って走ってきたので、足だけでなく背中や腕がパンパンだ。
セルフマッサージを入念にし、果物を一口食べ、飲み物を頂いて出発!
Y岡さんも一緒に出たが、彼はカレーやビールを飲んだこともあり、ゆっくり行くようだ。
私が先行し、少しずつ差が広がっていった。
しかし、いつも以上にペースが遅く、なかなか上りきれない。
ペースが落ちると眠くなってしまうので、道路脇の雪の壁に手を突っ込んで雪を取り出し、顔や額に当てて眠気を飛ばした。
上の方からヘッドライトの灯りと声が聞こえた。
トンネル前のエイドスタッフの歓迎の声のようだ。
周りは雪に囲まれ寒いが、腕をしっかり振って上ったので汗ばむくらいだった。
なんとか睡魔に襲われずに五箇山トンネル入口のエイドに到着。
このエイドもランナーエイドで走友が元気づけてくれた。
テントの中の温度もスタッフのもてなしも温かかった。
快適すぎるテント内に長居したら出たくなくなってしまう。
スタミナドリンクを戴き、すぐに出発した。
長いトンネル内は温かく快適で睡魔に襲われるが、たまに通る車やバイクの爆音がいい目覚ましになってくれる。
しかし、まだ日の出前の時間帯のせいか、通った車は1台だけ。
刺激の無さに睡魔に襲われ、何度も躓いてしまったが、なんとか無事に脱出成功。
今年も出口にエイドが設置されていた。
ここにも元気な走友がスタッフをしてくれていて、刺激をくれとても助かった。
寒かったのでスポーツドリンクを少しだけ頂き、出発。
気が付けば空が白々として周囲の景色が良く見える。
昨年と同じくらいの時間か?
長い急な下り坂が、弱った足腰を虐めてくれ、全ての関節から悲鳴が上がる。
胃液が時々逆流して喉が痛い。
満身創痍で大鋸屋エイドに辿り着いた。
[第5CP~ゴール]
ここまでくれば、いつ歩いてもゴールは出来る!
安心感から、横になって休みたい衝動に駆られる。
さすがに寝るわけにはいかないので、長い時間スタッフとお喋り休憩して元気をもらった後、飲み物を少し頂いて出発。
長い下り坂で受けた衝撃のせいで、内臓が刺激され、トイレ(大)に行きたくなった。
城端駅のに綺麗なトイレを借り、冷たい水で顔を洗った。
やはり、目覚めるには顔を洗うのが一番!
トイレを出て数分でエイドに到着。
さっきのエイドで十分すぎるくらい休憩したので、このエイドではコーラを戴いてすぐに出発。
気が付けば、朝日が出ていた。
喘息の薬も切れてきたようで、咳が出るようになっていた。
次の福光エイドに薬を預けているので急ごう。
しかし、気持ちとは裏腹に、足が動かない。
朝の散歩の人と目が合ったので挨拶したら、「あと少し、頑張って!」と返された。
この大会の事を知っている人らしい。
数十時間、スタッフ以外からの応援を受けていなかったので、胸が熱くなった。
そうだ、ここまでくれば、喘息が酷くなろうが足を引きずろうが、ゴールできるじゃないか!
福光エイドがゴールであるかのような感覚に包まれ、涙が出てきた。
エイドでは毎年、元気な学生さんがボランティアをしてくれている。
笑顔で応えねば!
信号待ちの私の姿を見て、ボランティアの女子学生が走って迎えに来てくれた。
笑顔で、「何が欲しいですか?」と聞かれ、ダッシュでエイドに先回りし、飲み物と荷物を用意してくれた。嬉しい心配りに感動。
まだ肌寒いが、着ていたウィンドブレーカー(上下)を預けることにした。
もう、ゴールしたかのような気分で、スタッフや応援の人と長話をしてしまい、足が固まってしまった。
喘息の薬を飲んで、ヨタヨタと出発。
薬の効果が出るまでは、無理をしない方が得策だ。のんびり進む。
だんだん、坂道が険しくなり、ようやく足が動くようになった頃、飲み物だけのエイドがあり、スポーツドリンクを戴くことが出来た。
喉がカラカラになっていたので、とても助かった。
(峠の途中で満開になっていた桜)
県境越えの峠までの道は標高は大したことはないのだが、似たようなアップダウンとカーブが続くので、眠気に襲われる嫌な区間だ。
広い歩道や登坂車線のある急勾配の直登する道は、昔と違って安全に快適に走れるが、ペースが上がらない。
眠気に襲われてきた頃にようやくエイドのある脇道に入る。
すぐにスタッフが気が付いて手を振って出迎えてくれた。
飲み物と菓子類だけのエイドなので、飲んですぐに出発すべきなのだが、毎度、ここでもドカっと座ってスタッフとお喋り休憩してしまう。
でも、スタッフの人と喋ることで眠気が消え、飲み物も吸収され心身共にパワーが溢れてくる気がする。
礼を言って出発しようとしたら、H川さんが駆け込んできた。
五箇山手前のエイドを出発する時には、見えなかったほど差が広がったのに、凄い復活だ。
先行した距離は1kmくらいだろうか?
あっという間に追いつかれ、激励し、見送った。
今度は完全に復活したようだ。
キロ5分くらいのペースだろうか?初参加なのに凄い選手だ。
本当なら追いたいところだが、そんな体の状態ではない。
ここまで走って来れただけで御の字だ。
欲張らずに、安全第一でゴールを目指そう。
エイドでは最低限度の水分しか摂らなかったので、すぐに喉が乾いてしまう。
しかし、そのおかげで、胃液が逆流してくることがなくなった。
ゴールから2つ手前のNo.47エイドで乳酸菌飲料を戴く。
先行したH川さんは、キロ5分を切るペースで出て行ったそうだ。
さっきよりもさらにペースアップしたようだ。
でも、私にはどうでも良い事だった。
エイドを出ると残り約12km。いつもならペースを上げる区間だ。出来るか?
練習時の早いリズムの音楽を頭の中でリピートしペースアップを試みる。
道がフラットになり、薄日も差し、汗ばむようになってきた。
さっき飲んだ飲み物は何処へ消えたのか。喉がカラカラだ。
最後のエイドにあるスイカを食べよう!
スイカだ、スイカ!と唱えながら、ペースアップ!
いい感じで走れるようになった。
エイドは長居しないぞ!スイカを食べたら即出発だ!
スタッフに私の気持ちが伝わっていたのだろうか?すぐにスイカの入った箱の蓋を開けてくれた。
瑞々しく、甘くて美味しい!
食べ終わってすぐに出発しようとしたが、ゴールまで7km以上あるので、ちゃんと給水もしてから出発。
信号が多くてペースを維持できず疲れる区間だが、一歩一歩ゴールに近づいていると思うと頑張れるものだ。
脱水症気味なのにペースを上げたせいで、喉が張り付きそう。
早くゴールしてコーラを飲むぞ!行け!スパートだ!
百万石通りとの分岐点に来た。ここからゴールまで残り約1.1km。
キロ5分ペースで走ればあと6分後にはゴールだ。
時計を見たら、余裕で27時間が切れることが分かった。
去年も27時間を切れるかどうかで、スパートしたような気がする…。
何時間何分だったのか思い出せない…。
余計なことは気にするな!全力で走ればいいのだ!行け!!
兼六園の角の最後の信号に辿り着き、信号が変わるのを待った。
しかし…、観光客が多い中、一人だけ荒れた息を整えているので、奇異の視線が痛く突き刺さる。
少し手前から一緒に走っているロードレーサー乗りの人と信号待ちの時にお喋りをして気を紛らわした。
信号が変わり、交差点を渡り切るとスタッフに出迎えられた。
兼六園のゴールへの花道への上り坂は、歩道と車道に分かれている。
歩道は観光客で混雑していた。
スタッフに「こっち(車道)を走って良いですよね?」と確認し、OKを貰って車道を走る。
僅かな距離だが、激坂の上り坂に喘ぎ、心拍数が急上昇。
咳も出て苦しいが、わずかな距離だったので走って上りきれた。
一緒に来ていたロードレーサーの人に伴走だと思われると失格になるので、少し離れるようお願いした。(冷静)
ゴールのテントとスタッフ、横断幕が見えた。
下り坂を利用して一気にペースアップ。
あー良かったぁ~!辿り着いたよ~!!
佐藤桜の前に設置された計測機にタッチした後、見守ってくれてありがとう!と桜の木に抱き付いた。
大会に参加するまで、そして、本大会と、長く苦しい道のりだったが、やっと終わった。
喜びよりも安堵感で満ち溢れ急速に脱力感に襲われた。
撮ってもらった写真の顔も満面の笑みではなかった。
[ゴール後]
喉がカラカラだったので、コーラをコップ一杯に戴き、しばらくの間、休憩していた。
次のランナー(多分、Y岡さん)のゴールを出迎えようと思い、応援の人としばらくお喋りしていたが、ホテルのお風呂の清掃の時間が近づいているので、入るなら移動した方が良いと言われたので、一人だけでホテルへ送ってもらうことにした。空を見上げたら雨が降りそうな曇天になっていたので…。
風呂に行ったら、O島さん、H川さんがお風呂から上がったところだった。
二人ともとても元気そうだ。
私は精根尽き果て、喋る気力もなく、何を話したのかも覚えていない。
薬が効いているはずなのに、喋ると咳が止まらない。
長時間におよぶ過酷な状況や脱水状態が喘息を悪化させたようだ。
清掃時間が迫ってきているし、脱水症で倒れたくなかったので、急いで体を洗って、温泉で2~3分マッサージしただけで出る事にした。
着替えていると、リタイヤし収容された選手が入ってきた。
途中で会ったKさんとH山さんだ。
着替えながらリタイヤに至るまでの詳細とその後の話を聴くことが出来た。
考えさせられる内容なのでここで書くことは出来ない。
ただ、二人のリタイヤやその後の事が残念だ。
休憩所には既にゴールした選手やリタイヤした選手が横になっていたので、私も毛布にくるまって休んだ。
宿泊先に行く最初のバスの時間が来て、休憩していたほとんどの人がそのバスに乗っていった。
私は、同じチーム仲間のゴールを出迎えるつもりだったが、雨だったことや薄手のウィンドブレーカーしかないために断念。
無事に二人がゴールし、元気な顔を見ることが出来たので、彼らと一緒に次のバスで宿へ。
バスに乗り込む頃は本格的な雨が降っていて肌寒かった。
ゴールを目指しているランナーは大丈夫だろうか?
バスに乗っていた時間は、宿泊先の白鳥町ICを下りるまでで2時間半くらいだろうか。その後、タクシーのように宿泊先を30分くらい巡り、やっと自分の宿に到着。
同じバスで宿入りした走友達と遅い夕食を済ませ、早めに就寝。
あっという間に寝入った。
【大会翌日】
熟睡できたが、全身が痛くて寝返りが打てず、背中が凝った。
朝から豪華な食事で、皆さんお代わりをしていたが、私は胃腸の具合が悪いので、ご飯は夕食の時と同様にお代わりなし。それでも、おなか一杯だった。
[植樹祭]
外は本降りの雨。
傘がないので植樹祭が憂鬱だ。集合写真は撮れるのだろうか?
市長が来るまでバスの中で待機。
植樹祭は、既に植樹された桜の木の脇の盛土にスコップを差すというものだ。
最初に男女のトップ選手が行い、後は自由に個別で行うのだが、やったのは初参加の人や海外選手くらいだった。
(男女の優勝者による植樹イベント)
集合写真の撮影も出来ないということで、早めにバスに戻り、閉会式の会場へ戻った。
[閉会式]
この大会のシンボルである佐藤良二さんの遺影の前で、市長が今回の大会についてのコメントを述べ、表彰式が行われた。
市長から完走者一人一人に檜の板でつくられた分厚い完走証が渡された。
皆、達成感と喜びにあふれた良い顔だった。
(ダントツの25時間切りで優勝した安孫子選手)
(総合でも9位と大健闘の女子優勝者の加納選手)
国内最高峰の250kmのロードレースということ、参加条件の厳しさや参加人数の少なさ、一度リタイヤすると1~2年は選考されないことから、皆、完走に対する執着心は強い。
その為、リタイヤせざるを得ない状況に追い込まれても、自分からリタイヤを申告する人は少ない。
熱いドラマがあって当然だろう。
実行員の方々が、今年も涙なくしては語れない状況を目にしてきたようで、熱く語ってくれた。
出来ることなら全員が完走し、流す涙は、悲しい涙や悔し涙ではなく、感動の涙だけになってほしいものだ。
最後に集合写真を撮って懇親会へ!
余興で地元の演歌歌手が歌ったり、男女の優勝者、大会名物の94歳の本田おばあちゃんのスピーチがあり、今年も和やかな雰囲気の中幕が閉じられた。
【総括】
自己管理の悪さから、走り込みの大事な時期に体調を崩し、過去最低の練習量で臨むことになり、スタートまでは精神的に追い込まれ、スタート後は肉体的に追い込まれていくことになった。
完走できたのは、半分以上が緩やかな追い風だったこと、予報ほど寒くなかったこと、休憩時間をギリギリまで減らしたこと、一緒に走った走友やエイドスタッフとの会話で元気が貰えたこと、過去の様々な経験が活かせたことなど、全てプラスになったからだろう。
今回は、心身共に追い込まれた状態だったので、人を励ましたりする余裕がなかった。次回は、人を励ませるくらい心身共に強くなって戻ってきたい。
【お詫びと御礼】
完走を目指し、前向きに頑張ろうと集まったランナー、全員完走させようと長い時間のサポートをしていただいたスタッフの皆様、弱音を吐きちらして、テンションを下げてしまい、大変失礼しました。
一緒に走ったランナーの皆様、長い時間のサポートをしてくれたスタッフの皆様、移動しながら応援をしてくれた皆様、叱咤激励、本当に嬉しかったです。
次は、さらに精進し、心身を鍛えて出直してきます。
笑顔で再会できることを楽しみにしています。
本当にありがとうございました!!
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