夢幻想曲

お休みなさいミッフィーちゃん

おはよう起きてよミッフィーちゃん
今日一日出会う人
あなたはきっと知ってるの

いつの間にか生きること
太陽と月から見放されて
どこにも行く場所なくなって
澱んだ地層に埋もれながら
死ぬって優しい思い出だと
記憶のページを捲ってる

お休みなさいミッフィーちゃん
今日一日にあったこと
夢であなたにお話しするよ

百人の男の排気口から
一時間たった二万円で
毒の薬を飲み干した
たくさんの嘘をついてたの
五十人の男の氷の手で
命のオイルを抜き取られ
黒いパンを食べてきた

あなたの背中のファスナーは
開けると宝物だったビー玉が
今も詰まっているけれど
あたしの胸のジッパーは
開けてはいけない
不治の悲しみ飛び出すよ

あなたはあたしのcawaiiかみさま
二人の間の約束だけが
せかいで一つのほんとの気持ち

おはよう起きてよミッフィーちゃん
こんなに孤独になったのは
あなたを裏切ることを知った日から

幼い頃はいつでも二人
赤いリュックにあなたを連れて
海の広さそらの高さ
みんな一緒に味わった
いつかリュックが消えた日に
あたしは守護天使を失った

お休みなさいミッフィーちゃん
あたしの大事なウサ子ちゃん

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「お休みなさいミッフィーちゃん」
by　桜井亜美『French Kiss』

ちょっと意味深な詩だけど…せつなくて…。
独特な雰囲気の詩や小説が好きです。