Ryu☆彡

なんかの話。


この広く、それでいて乱れ、荒れ果てた街で育った少年は
やさしい母の顔もあたたかい父の眼射しさえも記憶の奥深くのものだった。
そんな少年に世界を見渡せるほどの展望はなく、
ただ地をはうように毎日を必死に生きていた。

このからっぽの夜空の下で孤独と戯れながら。





そんな少年に時を止める事も、もしてや星空をとりもどすことなどもってのほかで、
一体誰があの星空をうばってしまったのか。



そして少年は初めて大きくふみ出す。
まだ見ぬ運命の人を信じ
どこからか聞こえる声をたよりに。

声は少年の、ないはずの名を呼ぶ。

少年は、自分にないはずの名を思い出す。

少年はただ、走る。
誰かが自分を呼んでいるほうへ。



その時から
少年のまっすぐで澄みきった瞳から
悲しみの涙が溢れることはなかった。



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