語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

2022年03月28日
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カテゴリ: Name's Story



実は私の次男も無事に小学校を卒業しました。ついこの間生まれたばかりと思っていたら、いつの間にかすっかりたくましくなって、まさにもう中学生!です。
次男を生んだ2009年末。最初の出産から8年近くたっていたので体もびっくりしたのか私自身の体調も悪く、重ねて次男の夜泣きも凄まじく、そうこうしていたら父が胃癌で入院。乳飲み子の次男を抱えて往復2時間の病院通い。じいちゃん子だった小3の長男と祈るような毎日を送っていました。
結局、祈りは届かず2010年11月に父を天上に見送ってからというもの、私の心は空虚となりました。

私に筆を教えてくれた父が、病床で「いい仕事を考えたね。お父さんにはとても真似できないよ」と褒めてくれた​ ネームズストーリー ​。ですが父を失ってから、なかなか筆を持つ気になれず、ネットショップも確か開けたり閉めたりしていたはずです。それでも細々と続けてきて、気が付けば2022年。
時は流れました。
その時々で精一杯の気持ちを込めて書かせていただいた作品は、私の手元にはほとんどありませんが、お一人お一人の毎日にちゃんと寄り添って、贈った人、贈られた人の温かな想いを知らず知らず次へと運んでくれていました。きょうはそんなお話です。




これは、次男と同じく2009年に生まれた咲絵ちゃんという女の子のために書かせていただいた​ ネームズストーリー
姉妹揃って情景が浮かぶ美しいお名前。お母様はこうして玄関に飾って二人の成長を見守りながら、ほんとにこの詩の通りの二人だなあといつも嬉しく眺めていたそうです。
そして、ある時、ひょっこり私に連絡を下さいました。

「壱岐に暮らす素敵なご夫妻へ、御礼の気持ちを込めて書を作成してほしい」
というご依頼でした。

壱岐といえば、美しい海が印象的な長崎県の離島。そのご夫妻は「​ 離島に暮らすようにして泊まれる=りとまる ​」というコンセプトで島ならではの楽しみを盛り込んだ一棟貸しのヴィラを経営しているのだそうです。代表の奥村洋行さんの​ 紹介記事 ​はこちら

聞けば、咲絵ちゃんは壱岐市が実施している​ 離島留学制度 ​に志願して、昨年5月より早々と親元を離れ、このご夫妻の元でホームステイをしているのだそう。
なんとたくましい。まさに自分らしく自分の好きな絵を描いているイメージそのままな咲絵ちゃんです。

そんな咲絵ちゃんをいつも笑顔で温かく包んでくれているという里親のお二人の写真を拝見し、私もその表情からあふれ出る優しさをひしひしと感じました。


こうなると私の筆はもう書きたくて書きたくてたまらなくなり、突き動かされるように筆が走ります。
実に楽しい瞬間です。
こうして出来た夫妻への贈り物はこちら。




スタイリッシュな「りとまる」をイメージして白木のスクエア2L額に。シンプルがぴったりきました。



かくして、3月18日、島での卒業式を無事に終えたということで、無事に渡せましたと笑顔の写真がまた送られてきました。




と同時に、久しぶりに壱岐の青い海が見たくなりました。
ああ、ついでにあの名物の雲丹丼も食べたい。青空の下でバーベキューもいいな。
夕陽を眺めながらうっとりとお酒を飲みたいな。
いろんな欲望が渦巻いてきました(笑)

離島の魅力を通じて、人々に笑顔と感動を届けたいと奮闘する奥村ご夫妻にも是非いつかお会いしてみたいです。
ささやかな私の小さな手仕事でも、長くやっていればいろいろな縁を手繰り寄せ、幸せな気持ちを運んできてくれること、最近つくづく実感しています。

余談。
咲絵ちゃんの離島での卒業式の前日、次男も福岡市内の小学校で卒業式でした。



彼なりに思いがあって男子では珍しく羽織袴姿で参加しました。しかもレンタル衣装ではなく自前です。
この羽織袴、実は、彼の祖父が結婚当時に仕立てた50年モノ。それ以来誰も手を通していなかったそうで、卒業式で袴が着たいと思い付きのように言った次男に、それならあるバイとこちらも長崎よりわざわざ祖母が持ってきて着せ付けてくれたのでした。羽裏に鮮やかな絵柄があるそれは立派なものでした。




式中、意外にもしっくりと袴姿がよく似合っていた次男の横顔を頼もしく眺めました。



また、思いがけず最高のじいちゃんばあちゃん孝行だったなあと。
私自身は生まれながらにして双方のじいちゃんばあちゃんはすでに他界していたので、息子たちには祖父母の愛をいっぱい感じてほしいなと思います。次男と入れ替わりでじいちゃんは一人いなくなったけれど。でもいざという時に駆けつけてくれる、いつも案じてくれている祖父母の存在に感謝してほしいです。これは自戒を込めて。私自身は祖父母の愛を直接知らないので、ふとすれば忘れがちになるから。こんな時にはっと思い出すのでした。

それにしても、女子の袴姿はけっこういたけど、男子はクラスで一人だけ。
かなり目立っていましたが、恥ずかしがることもなく実に堂々としていた次男でした(笑)
この調子で、中学校に行っても自分が信じる道を堂々と進んでいってほしいものです。
私もコツコツと自分の手仕事をがんばっていこうと思う春でした。

多くの皆様とのご縁に感謝。
心機一転、新たな門出に乾杯!





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最終更新日  2022年03月29日 08時49分59秒


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