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恐竜境に果てぬ序章第2節3
恐竜境に果てぬ序章第2節・時空理論その3「田所の来訪(承前)」
つかの間、自宅のコンクリートの塀の前に現われた動力部完成の探検車は、田所の操作により、霧のように姿を消し、彼の朝霧高原の自宅に戻った。これを称して『朝霧』である(失礼)。
二人ともさすがに我れに返ったように、ここ数日続いた、うだる暑さをようやく感じ始めていた。
どちらともなく「中に入ろう」と言って、再び私の二階の教室に上がった。
田所「おお、生き返る心地だ。何しろ俺たちの子供の頃は、クーラーなんてなかったからな」
私「アメリカなんかの先進国はともかく、あのころ、『クーラーがあったらいいなぁ』なんて、想像さえしなかったんじゃねえか」
田所「俺の家(うち)は、扇風機を買った時に、親父が独占したんで、お袋が抗議してくれたことをよく覚えてる」
私「湯上りに扇風機、首振りにしねえで風も強風にしたまんまでさ・・」
田所「おお、あれは気持ち良かったな。実際は部屋の中の熱い空気をひっかきまわしてるだけだったのだが、それでも涼しいと思ったな。ま、理屈になるが、打ち水と同じで気化熱を奪うから、風呂から上がったばかりのほてった体がつかの間ひんやりした心地になったわけだが」
私「クーラーは確か三種の神器とか言われて・・・あれはいつごろだったかな・・」
田所「そうだな。昭和40年代のごく初めの頃じゃなかったかな。カー・クーラー・カラーテレビなんてさ」
私「田所、お前は昔から頭が良かったから、もうとっくに、いろいろなものを想像してたんだろ・・」
田所「そんなことないよ。せいぜい子供向けのSF小説読んで、タイムマシンが出来たらいいなあなんて憧れた程度だった。それより村松、お前こそ、ほら、近所に新し物好きの父親がいてさ、子供にトランシーバー買ってやったら、あいつら、兄弟ほとんど二人きりで遊びに使ってさ、俺たちにはなかなか貸してくれなかったろ。で、その様子見てたお前が、日本中持ち運び出来る電話が出来たら便利だと言っただろ。俺は凄い想像力だと驚いたんだぞ」
私「へえー、俺みてえな鈍才相手に、そんな名誉な評価を考えてたんだ。第一、電電公社の固定電話だって、各戸に一台さえなかった時代だったしな」
田所「ところで村松、早速だが、さっき見せたのは、正式の探検車の動力部分ではない。別に盗んだわけではないが、実はあれは車体の上部構造物の一部までを造ってしまったものだ」
私「なんでまた、そんな・・・というか、ムダに思えるような造り方をしたんだよ ? 」
田所「キャタピラまでで切り取って造ると、構造上、もろくなるおそれがあったんで、あそこまで造っておいたのだ。それにあれは戦車の一部だしな。お前にはキャタピラを含む動力部を覆う台と言うか、船で言う甲板及び船室にあたる部分を設計してもらいたい。もちろん材質は鋼鉄だが、これは当然俺が作業する」
そこまで言うと田所は「あっ」と小さく叫ぶように言って、紙片を取り出した。
田所「参考までに、これが探検車全体の見取り図だ。こないだのイラストの時の兵装に、やや変更を加えた。肉食竜などに襲われた時のためにな。上部構造物は、余裕をみて、徐々に設計し、作ってくれれば充分だ」
田所がこの計画をようやく引き受けた頃、まず初めに描いたイラストとは似ても似つかない、イラストとも呼べぬ何物かが紙切れに描かれていた。兵装の変更と言われても、この幼児のイタズラ書きのような絵のどこに施されているのか、見当もつかなかった。アンテナのような棒が一本あるようにも見えるが、装甲を重視する彼らしくもないと思えた。
私「・・・・・」
田所「どうした・・。何かわかりにくいところでもあるのか ? 」
私「いや・・・。まあ、そのお・・・」
田所「ああ、ペンタッチがだいぶ変わったってことなら、ははは、正直言うとこのあいだのイラストは、コンピュータ・グラフィックスのイラストでな、質感を画鉛筆にセットして印刷したんだ。とにかくデザインセンスは俺には全くない」
私は田所が唯一、他に劣る、それも著しく劣っている能力が「絵画」ということを思い出していた。どう、ひいき目に見ても、この探検車の絵は、幼児並みか、それにも劣るとしか見えない。
私「コンピュータ・グラフィックスであの程度というのは、もはやヘタというより一種の負の才能だ。天は二物を与えずか・・・」
田所「ん ? なんか言ったか・・」
私はどう問うたものか言葉が浮かばず、そのまま黙ってしまった。それでも何か問いたい、問うて答えを聞きたいと、あれこれ考えていたが、ようやく一つの質問を言葉にした。
私「お前さ、CG使う以前の発明品の設計図なんかは、どうやって描いていたんだ ? 」
田所「おお、それか。簡単だ。正面図・平面図・側面図を大ざっぱに描いて、さらに、マーガリンや石けんなんかの空箱に、主な部品を紙に描いたものを貼り付けていって、そうやって設計図を三次元化することで、より完成品をイメージしやすくして、製造にかかるんだ」
物理学の天才とマーガリンの空箱とを結びつけるのは困難だった。それを淡々と語る彼のいかにも真面目そうな顔つきもまた、天才のイメージとは結びつかなかった。
だが、そう言えば私たちの学校時代、図工、美術の時間に、私とは席が離れていた田所が、時々大ゲンカして、周囲の子供たちにケガを負わせていたことを思い出した。あれは、拙劣極まる絵の様子をからかわれた田所が、からかった相手に飛びかかってゆき、その秀才のイメージとは裏腹な腕力で、相手を完膚なきまでにやっつけた光景だった。
このことを思い出した私は、「側面図しかないから・・」などと非難めいたことを言うのを即刻中止した。その代わり、別の質問をすることにした。
私「おい、この最前面の大砲は、一門だけか ? 」
田所「あ、これは俺としたことが大失敗だ。ちょっと貸してくれ」
彼は下手くそなイラストの紙切れを私の手許から取ると、そこに銃火器に関する項目を書き込んだが、それは絵の追加であるはずがなく、砲の口径、追加武器の種別などを字で書いただけのものだった。
私はもう一つ質問しておくことを危うく忘れるところだった。
私「田所、この屋根の前方に立っている棒のようなものは、もしかしてアンテナか何かか ? 」
田所「いや、済まない、これも妙な描き方をしてしまった。これはな、アンテナではなくて、ほら、このあたりに乗降用のハッチがあっただろ。このイラストはそのハッチをあけたところを描いたんだ」
田所のこのようなところは、並の人間をはるかにしのぐ天才にありがちな、一種イビツな一面を感じさせた。私はアンテナに見えたものが実はハッチだったことを聞かされて、むしろ田所の非凡を改めて思い知らされた。そして、これまでめったに私の家に姿を見せることのなかったこいつに、ここを先途(せんど)と、発明品のことや特に時空理論について、いろいろ聞きたい衝動が起きて来た。だがこの短時日に陸続と出来(しゅったい)した驚愕の光景などを思い出すうち、万感こもごも至って筆舌を絶した。
ところが、全く唐突に、田所がこの種の話をきり出して来た。
田所「村松、前代未聞の時空旅行に先立って・・・ま、言い方が悪かったら気にせぬよう、あらかじめ断わっておくがな。お前にも少しは俺の時空理論を理解しておいてもらいたいことがある」
私「そ、そうか・・・。わかった。それで、まず何を知っておくべきなんだ・・ ? 」
田所「お前は今俺を見ているよな」
彼は気味が悪いほど、じっと私を見つめた。
私「な、なんだよ。見ているからって、別に俺には妙な趣味・・」
田所「バカめ。くだらぬことを言うな ! 改めて言うが、俺を、俺の目を見ろ、何にも言うな」
私「ん ? 『俺の目を見ろ、なんにも言うな』って・・どっかで聞いた気がするな。あ ! 北島サブちゃんの『兄弟仁義』だ ! 確か三番の歌詞かな・・。一番だけなら覚えてるぞ。♪親の血を引く、兄弟よりも、かたいちぎりの義兄弟、こんな小さなサカズキだけど・・・」
田所「おい、何をゴチャゴチャやっとるか ! 本題に戻るぞ。いいか。俺を見ているが、それは俺がいるから視線を俺に向けた結果、俺の姿が見えると思うか ? 」
私「ええッ ? なんだか、禅問答みてえになって来た感じ・・でもないか。いかにも、お前がそこにいるから、俺はお前の姿をこの目で確認した。それが何か問題なのか・・」
田所「これ自体はそれほど問題でもない。それでは一気に例のミクロの、つまり観測不可能な極微の粒子の話に移る」
田所「物が見えるとは、どういうことかというと、その物に光が当って、あちこち反射した光の一部がヒトの目に入って視神経が感じ取るから、初めて見えるわけだな」
私「ああ、そうだな。で、それからどうした ? 」
田所「♪松島ーの・・・バカヤロウ俺に悪乗りさせるな ! 真面目に聞かないと俺は帰るぞ ! 」
私「ああ、悪かった、もうつまらぬオヤジギャグはやめだ。で、それからどんな話になるんだ ? 」
田所「本来、電子のような粒子は観測不可能だが、仮にこの電子を肉眼で見る能力を持つ人間がいると仮定する。ある位置にある電子一粒を見るためには、その電子に光の粒、つまり光子一粒が当って反射して、それをこの人間が視認することになるのだけど、電子と光子は同じくらいの大きさと言えるから、光子が電子に当った瞬間、電子はその衝撃で初めの位置から飛んで、ほかの方向へ行ってしまう。では、その反射光子がその人間の目に入った時、視神経は確かに電子一粒を確認するだろうが、その時既にその電子は、元の位置には存在しないよな」
私「確かにそうだな」
田所「それでは、その人間は初めの位置にある電子を見たことにはならないわけだが、それでも『見た』と言えるのかということだ」
私「なるほど。初めたとえばA地点にあった電子に光、つまり光子が当って、反射光が目に入って、仮にスーパー視力人間が『見た』と認識したとしても、その時電子は、もうA地点にはとどまってなくて、光子の衝突でどこかへ飛び去っているってわけか」
田所「その通りだ ! これを物理学の世界では『量子の位置と運動量を両方測定することは不可能』と言う。村松、呑み込みが良くて助かった。いい出だしだぞ」
田所の話は量子論のほんの入り口に踏み込んだに過ぎぬ初歩の理論だった。だが、彼は理解力のない私に配慮して、これを導入部に、さらに時空理論に進むという予感がした。
ところがこの日の田所の講義は、『電子を見る』ことに関する話で終わった。正確に言うと田所はもはやそこから先、ひとことも量子論を語らなかった。全くあっけないものだった。さすがの私でも、もう少し踏み込んだ話を聞くくらいの余裕はあるつもりだ。
私「田所よ、もう、その『物を見る』とは量子の世界で考えると、どういう問題が起きるかという講義で、きょうはおしまいか・・・ ? 」
田所「村松、再三くどいと思うだろうが、悪意などないから誤解せずに聞いてくれ。きょう、俺は村松が『量子論』の世界に入ってゆきやすい方向性というか気質、好奇心を伴った理解力があるかどうかを、今ほんの一項目話した『観察の物理学』で試したかったのだ。無論、お前にはいい傾向が備わっている」
少なくともある水準以上に評価されているとわかったから、悪い気はしなかった。
田所「村松、これからイヤというほどいろいろと量子論の講義、そしてさらに『時空理論』の摩訶不思議な世界に及んでゆくから、大変なこともあるかも知れぬが、ぜひついて来てくれ。
さてと、辞する前に、本日の講義を見事にクリアーした村松へのほうびというか、礼のしるしとして、最後にもう一つ、気分転換出来そうなものを見せようか。お前の寝室の外はバルコニーだったな」
私「俺の部屋はどこも物置同然だぞ」
田所「ナニ構わぬ」
みっともないほど散らかしてきたない部屋だったが、田所を寝室に通した。そして掃き出し窓をあけ、二人ともバルコニーに出た。
田所はまたも小型の機械を操作し始めた。
田所「村松、真正面の空を見ていてくれ。今度のは時空を超えると共に、空中に姿を現わすからよおく見ていてくれ」
間違いなく先史時代の生物が現われることは察しがついたが、やはり緊張した。
まもなく、バルコニー正面の雲の中から何か黒いものがこちらへ向かって飛来するのが見えた。
私「プテラノドンだ ! 肉食だろうが・・・大丈夫か ! ? 」
田所「ああ。意外と悠々とした動きをするよ」
田所が話しているうちに、翼竜プテラノドンは凄い速さで目の前に迫り、そのままグライダーのようにグーッと屋根のほうへと急上昇して消えた。巨大な翼が一陣の風を私たちに浴びせ、つかの間の涼を与えた。
ところがその時にはもう一羽のプテラノドンが、真っ直ぐこちらへ迫っていた。
私は思わず拳法の受けの姿勢をとった、つもりだったが、何の意味もなかった。気づくともう一羽のプテラノドンも、屋根へ向かって滑空してゆくところだった。
―その3了、
序章第2節その4
へつづく―
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