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SENPAI 2


カナコが「ねぇ、うさぎはサークルの中で、好きな男いるの?」と聞いてきた。
「う~ん、どうかなぁ。カナコは?」と振ってみると、あっさり答えた。
「K先輩!いいんだよね~」
なんと、例の先輩だった。まじかよ~??
「うさぎさぁ、新歓でK先輩と、途中で抜けたでしょう。」
あ、バレてら。
「なんかあったの~?その後・・・」カナコったら探るような目つきだよ。
「別に、なんもないよ~」モスのポテトをほおばりながら、演技した。
(あ、耳、噛まれましたけど?なんて言えないっつーの)
「そうかぁ~?ねえ、K先輩どう思う?」
「う~ん、悪くはないんじゃない?」
「なんかさ、ピンクパンサーっぽくない?」
あはは、確かにな(笑)
「・・・ほんとは、好きなんじゃないの?K先輩のこと。なんか、見てて分かるよ」
カナコには、嘘つけないなぁ。と、諦めて白状した。
「うん、気にはなってる。」
「やっぱり~!わかるってば!!隠すなーー!」
そう言ってカナコは私の背中をバシバシと叩いた。
「じゃ、お互い、がんばろうぜ。くれぐれも他の誰かに取られるなんてヘマだけはしないように!
アンタも、気を引き締めていけよ!」
な、なぬ??
カナコはアネゴ肌で、直球なヤツで、だけど脆くって、真面目で・・・
大好きな友達なんだけど、こんなとこまで体育会系だとは・・・
「あのぉ~、部活のレギュラー争いじゃないんですけど・・・(笑)」
まだ私は困惑している。
どっちが先輩と付き合うことになっても、気まずくなるんじゃないのかな、
友情壊れちゃうんじゃないのかな。
「そんな友達なら、はじめからいらないよ」カナコはそう言った。
「抜け駆けは、なし?」私が、いたずらっぽく問いかけると
「抜け駆けしない競争なんて、あたし、したことないよ」と、カナコはニヤっと笑った。

あたし達の「争奪戦」を知ってか知らずか、先輩は相変わらずだった。
何に対しても「不真面目」な態度で、でも憎めなくて、いつもいつの間にかいなくなってる、
そんな人だった。
だから、目が離せない。いるかなって、確認しちゃう。
サークルの練習の帰りに、いつものメンバーでお茶することになった時、
カナコは真っ先に先輩のところへ飛んでいき、「先輩、どこ座る?」と並んで座る攻撃に出た。
(やってるやってる・・・)私は、半分やられた~と思いながら、
やるじゃん!とエールを送る気持ちもあったりで、複雑。
カナコは得意そうに私を見たかと思うと、「うさぎ~、こっちこっち~」と私を呼ぶ。
カナコのその作戦で、あたし達はほとんどいつも3人で並んで座って話した。
先輩が真ん中で、質問攻め(笑)
「K先輩って、ユミ先輩と仲いいけど、付き合ってるの?」カナコが聞く。
「付き合ってないよ。」
「ほんとに~!じゃ、彼女いないの?」
「いないよ。」
「きゃ~~!まじ??ねね、どんな女の子が好みなの?先輩って~」カナコ、喰いつく喰いつく。
「どんなのがいいかなぁ」
(どんなのって・・・(笑))
先輩はいつものピースライトを指の股の方で挟んで、まるで手のひらで口を覆うかのようにして
タバコを吸う。
私はそれを、じっと見つめていた。
はぁ~っと、煙を吐くと、ピース独特の甘い香りがした。
「Hの、うまいやつ」先輩は一言言うと、アイスコーヒーを飲み干した。
「俺、そろそろいくわ」そう言ってテーブルに500円置くと、かばんを持って
私の前を横切った。
「聞いたぁ~?Hのうまいやつだってよぉ~!」カナコは爆笑していた。
あたし達は未経験だったので、お互いに顔を見合わせて笑い転げた。

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