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SENPAI 5


正面に男が立っている。暗くて顔がよく見えない。
私の身体を、嘗め回すように見る。そして、足首をつかむ。怖い!

そこで、夢は終わる。その後は想像できない。したことないから(笑)
その話をカナコにしたら、
「あ~わかる!あたしなんて小学校の頃まで一緒にお風呂に入ってた時の
親父の裸体が出てきて、吐きそうになったよ」だって!爆笑。
男の全裸なんて、父親ぐらいだもんね。

今月末までのレポート、単位数、将来の夢・・・
そんなことよりも、「はじめてのセックスを、誰と、どういうシチュエーションで
無事に終わらせるか」ということが、何よりの関心事だった。
初Hも、就職も、結婚も、それがゴールではない。
それは始まりにすぎないのだ、ということを、若すぎる私たちはまだ、気づかないでいた。

「ええ?15歳?ってことは中3?」
「そうだね」
女子だけでお茶しているときの話は、たいてい男話だ。
今日はロストバージンの話題で盛り上がっていた。
「ちょっと早過ぎない?」
「そんなことないよ。私の周りはみんなそのぐらいだったもん」
「・・・」カナコと私は、お互いの顔が見れなかった。
「ほら、私の実家、秋田でしょ?冬なんてあたり一面雪で覆われてさ、なんの楽しみもないわけ。
で、することといったら・・・(笑)」
秋田美人を絵に描いたような色白のケイが照れたように話す。
「秋田って言えばさ、K先輩もそうだったよね。じゃ、先輩も経験したの、早かったのかな。」
カナコがケイに聞く。
「さぁ?(笑)でも、まぁ、そうなんじゃない?
女がそのぐらいってことは、男もそのぐらいってことだし。
覚えちゃうとさぁ、毎日サルみたいにしちゃうんだよね~アレ。」
(サ、サル??)私はK先輩がサルのように毎日しているのを想像した。
そっかぁ、K先輩はたくさんしてきたのかぁ。
自分が一度もしていないのが、ひどく負い目に思われた。

秋の大会の打ち上げで居酒屋で飲んだ後、数人に分かれて2次会、3次会へと進んだ。
もちろん私はカナコと一緒にK先輩のいるグループにくっついて行った。
3次会が終わる頃には、かなり飲んでいて、道端に座り込んだり、大声を出す者もいた。
知らないうちにカナコとはぐれて、私と、同期のYとK先輩とでタクシーに乗っていた。
「先輩の家で飲みなおそうよ!!」Yは出来上がっちゃって、ろれつの回らない口で
何度も繰り返した。
「よしゃ~!わかった!」先輩もノリノリだ。
「あ、オマエどうすんの?来るか?」YはK先輩と肩を組みながら、私を横目で見た。
「飲め飲め!」K先輩がけしかけるので、酔っていたせいもあって私も調子に乗って
ついて行くことにした。
ふらふらの3人は、お互いに支えあいながら先輩のアパートの前までやっとのことで
たどり着いた。
「鍵、鍵~~」先輩がポケットをあちこち探して、やっとドアが開いた。
薄暗い部屋の中に、3人は倒れこむようにして入った。
酔っていなければ、好きな人の部屋を訪れた感激を味わったり、室内をさりげなく
観察するところなのだが、そんな思考回路は働くはずもなかった。
「あ、酒だよな。とりあえず、な」
そう言って先輩はキッチンに消えた。
Yはすでに床に大の字になっていびきをかいていた。
私もYに重なるようにして、くるくるまわる目を閉じた。
そうしたら、どうしてももう開けられなかった。・・・眠い・・・

男の声がかすかに聞こえて、うっすらと意識が戻ってきた。
でも、まだ目を開けることができない。私、どうしたんだっけ?ええっと・・・
「じゃあ、すみませんでした」
「うん、またな」
バタン、とドアの閉まる音。
ん?
そうだ、深夜にK先輩の家にYと転がり込んだんだった。思い出した。
ちょっと、まぶしい。朝なのかな?
薄目を開けると、天井が見えた。どうやら私はベッドに寝かされているらしい。
ちゃんと掛け布団をかけていた。
誰かが、横から布団に入ってくる。
!!!びっくりして顔を向けると、K先輩がにこにこしていた。
「何時?」
「8時」
「Yは?」
「気を利かせて帰った。」
「え??」
「うそ。バイトだってさ。もうひと眠りしようよ。」
「一緒に?」
「うん。」
「・・・」
「これ以上近づいたら殴るよ!って、顔してんぞ。」
先輩は、くすくす笑った。
そして、じりっと寄った。
「殴る?(笑)」
「・・・殴らない」
「んじゃ。」
そう言って、上半身を少しだけ起こして顔を近づけてくる。
先輩の、手が、私の、髪に触れてそして

くちびるを重ねた。


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