弁償



先月20日頃カミさんからサイゴンのホテルに電話がありました。
「ガイ セー ロイ」(車に轢かれた。)

くしゃくしゃになったバイクは昨年の12月28,000,000ドン(約2,000ドル)を出して買ったHonda Future。買ってまだ8ヶ月でした。これが買えたのも母と婆さんの結婚ご祝儀を使ったからでホントなら買えない物です。

家を建てたばかりで手持ちの金が払拭している時にですから、かなり喧嘩になりました。近所の市場に買い物ぐらいしか行かないのになぜそんな良いバイクが必要なのかと。カミさんの言い分は高く売れるとのベトナム人の日本車信仰から出ています。5年前ならまだしも現在Hondaはベトナムに工場があり毎年モデルチェンジが予測されます。そんなとこで最新のバイクを買っても得られる物は一時の優越感であり原価償却を考えればタダの高い買い物でしかありません。1,000ドンで行けるところを1,500ドン払って行くような物です。

バイク購入後にカフェ建築費$900ドル、家建設時の秘密借金$1,000ドル、15畳ほどの家の増設$600ドルと半年間に立て続けに発生するのですから、薄給の私にはたまった物ではありません。

そして、とどめにバイクが廃車です。
事の起こりは、家増築の資材の代金を払いに行ったときから始まります。
店の前の駐輪場にバイクを止め支払いをしている時にその店に資材を届けに来た10tトラックがアクセルの操作を間違って減速せずに店の前に侵入したことに原因があります。店は私のバイクがブレーキになり衝突されずに済みましたがバイクはYの字に変形し外観のプラスチック、ライトは全て粉々、エンジンも一部破損でどう見ても鉄くず屋にあるスクラップです。

こんな時に大事なのが、公安に交通事故として調書を取ってもらうことです。日本でもそうですが、当たり屋などはその場で警察に通報させる事をせずに口頭の示談で済むような事を言いながら後で法外な請求をします。
ここはベトナムです。赤の他人同士の口頭の約束など守られる可能性はまずないので。必ず調書を取ってもらいましょう。

調書でも非は100%相手側との判断でした。そこで公安を仲介とした示談が始まります。基本的にベトナムで事故を起こした場合、加害者も被害者も損と言う事は覚えておいて良いでしょう。
バイクの被害額に関する損害賠償も、新しく弁償するのではなく既に何ヶ月乗ったからこの値段という計算のされ方をします。私の場合は20,000,000ドン(新車時2,8000,000ドン)でした。しかし、この値段で同じバイクは買えない訳で、またバイクが無い為に必要な交通費等は弁償の対象になりません。

示談の経緯ですが、相手20,000,000ドン、私22,000,000ドンで2週間平行線を辿りました。トラックの運転手は家屋を抵当に入れて銀行に借金を申し込むためにメコンの自宅に帰っていたのでトラック所有者の奥さんが代わりに交渉していたのですが、この代理人が適当のでまかせを言うために私もカミさんも怒り心頭。
示談ではなく一つ上の省の審理まで持って行くと決定しました。
審査は早くて半年は掛かり、その間2,500,000ドン程お茶代、書類代に掛かるのですが、問題は「どっちが正しいか?」ということです。

これにビックらこいたのが当の運転手。月600,000ドンの収入で家屋を抵当に入れて金策している所にこの連絡を受けたそうです。
こうなれば彼は死活問題。
なぜならば、結審するまで彼のトラックの免許証は停止処分になるので、収入が無くなる。トラックの所有者もその間トラックを動かせないので収入が無くなる。
これは、利いたらしく慌ててトラックの所有者と運転手が頭を擦り付けんばかりに謝罪に来ました。家庭内収入の事情を聞き、トラックの所有者には今までの奥さんの非礼を詫びさせ、私の方もベトナムの裁判がどうなるのか知りたい興味が大半でしたので、取り合えず本日現金で払うという事で示談成立となりました。

その後、カミさんは自分の金遣いを改め「中国製はやめて、日本製を買って来い」という私の助言を聞かず。中国製のバイクを安く買ってきて、5日でエンジンがかからなくなり。カミさんは「安物買いの金失い」を私の金を浪費してくれることで一つ勉強したのでした。
めでたし めでたし。
(2002.9.22)


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