ヴィラムジカ葡萄酒村

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演奏会批評 


京都よりレーダ経由ベルリン
『金曜夜のオルガン音楽』でドイツデビュー
  ハイケ ゾンマーカンプ
レーダ・ヴィーデンブリュック発

300人近い聴衆にとっては豪華なバロック音楽を聴く快楽、
山田久美子にとっては憧れの国への最初の一歩。
『金曜夜のオルガン音楽』シリーズの演奏会で22歳の若い日本女性トランペット奏者がソプラノ安保恵美、レーダで度々好評で迎えられているオルガニスト・フローリアン ヴィルケスと共に
聖クレメンス教会でJ.S.バッハとG.F.ヘンデルの作品で聴衆を魅了した。
山田久美子が当地レーダでドイツでの演奏会の第一歩を印したのは素晴らしい-彼女は高い可能性を持っている。
トランペット、オルガンとソプラノ-
この編成のためにバロック時代には高度な技術を要する宗教音楽が作曲された。
その中から三人の音楽家はバッハのカンタータ51番『すべての国で神を歓喜して迎えよ』と
ヘンデルのオラトリオ『サムソン』のアリアを選んだ。
たった2回の合わせの後では最後のパッセージまでの完璧な一致には至らないが、
しかし矛盾の無い作品への理解でハイクラスのソリスト達は活気のある輝きに溢れ光を放つ演奏を成功させた。

ヴィルケスは技術的に卓越した活気ある速い、常に活発な、それでいて落ち着きを失うことなく
前へと進んでいくオルガン演奏で聴衆を贅沢に慣れさせてしまった。
彼は多面的で動きが敏捷なスタイルを崩すことなく、
凡庸な融通の利かない大音響をとどろかすことなく、フォルテのパッセージに至る迄一貫して通した。
伴奏では押し付けることなく完璧なパートナーの役目を果たし、ソリストとしては-今回はバッハの前奏曲とフーガEs Durを素晴らしく弾いた-
感性豊かな華やかなテクニックで特に真価を発揮した。
安保恵美の羽のように軽く響くソプラノは特徴のはっきりしたトリオに独自のニュアンスを与えた。
ベルリンで暮らす(訳注・現在は他の地方に在住)日本女性はバロックの輝きにオペラ的で魅力的な
軽やかさをたっぷりと加えてクレメンス教会の豊かな音響に興味深い効果を与えた。
経験豊かな歌手は活気ある多面的な音楽作りで、勝ち取った高音を均質化した。
山田久美子にとってトランペット演奏の様式と場所は最高の条件を揃えた。
限りない熟達でこの若い日本女性は壮大な輝きと繊細な表現を結びつけた。
神経質な火花を散らすことなく技術的な完璧さに霊感を吹き込み、臆することなくベテランの共演者達に溶け込んだ。ヘンデルの組曲D Durでヴィルケスのオルガンとの魅力的な対話の後、総立ちになった聴衆から雷鳴のような拍手を受けた。
土曜の午後ヴィルケスは、レーダでの演奏会の為に京都からはるばるやって来た素晴らしいトランペット奏者の為に、更なる演奏の機会をアレンジした。
ベルリンで山田久美子はコンラーディン・グロート教授(訳注・元ベルリンフィル主席トランペット奏者)
を彼女の稀有な才能で感嘆させた。芸術大学や名声高いベルリンフィルの研修の機会を与えるカラヤンアカデミーは彼女に門を広げている、
それには12ヶ月間で必要限度のドイツ語を学ばねばならないが問題ないだろう。
ドイツでトランペットのマスタークラスを修める夢を実現するために、
日本の地元のゲーテインスティトゥートでたゆみなくドイツ語の授業を受けるであろうから。

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