2013年09月24日
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DarkSideOfTheMoon1973
Pink Floyd (Wikipedia)
​​ 日本生まれの音楽ジャンル
Progressive Rock
プログレッシブ・ロック
を聴いてみましょう!
第15回
【中級編】
秋の夜長の大作特集5
Pink Floyd

『Shine On You Crazy Diamond』

(1975)
​​


さて今回も 永遠の不人気企画

コードネーム 『魚』 こと
『プログレッシブ・ロック』 特集 第15回 【中級編】
大作特集 その5 をお送りします


大作特集 最終回になる今回は
プログレの代名詞 ピンク・フロイド の
『クレイジー・ダイヤモンド』
をご紹介します


△▼ △▼ △▼

​​ ​​ Pink Floyd
Shine On You Crazy Diamond (1975)​​

ピンク・フロイド - 狂ったダイヤモンド
10分39秒 ​​


収録アルバム『炎』
Warner bros studio lot
(画像参照:Wikimedia)


● ロジャー・ウォーターズ – Bass, Vocals

● ニック・メイソン – Drums
● リック・ライト - Keybord, Vocals

本曲は
プログレッシブ・ロックの括りとなる音楽としては
マニア向けのアクロバティックで難解な演奏が無い

一般リスナーに取っても聴きやすく作られており

中期以降のピンク・フロイド最大の特徴でもある
アレンジ次第では充分3分の曲に纏まる造りを持つ

良質なポップスという側面を持った楽曲で

それでいて外連味がありながらも特別な何かを感じさせる
非常にエモーショナルな響きを持った

フロイドサウンドを代表する楽曲です


プログレとしては聴きやすい聴感を持った楽曲ですが
テーマが現れるまでの前奏が非常に長く
又、テーマが始まっても唄が登場するまでの演奏が長い為

人によっては「くどい」と感じさせるかも知れませんが

この「登場」までの「演出」と
曲全体を覆う揺蕩う様な「まったり」とした聴感と
聴きやすさを含めた全てが

ピンク・フロイド音楽の骨頂だと言えます

これは音楽を単なる流行歌としてでは無く
あるコンセプトに基いて、時には物語を交えて曲作りを行い

「ストーリ」としてでは無く「ドラマ」そのものとして捉え
人の五感に訴える有機的な音楽的体験としての楽曲を制作するという

独特の着眼点によるものであり
ピンク・フロイド最大の特徴だと思われます


特にデビッド・ギルモアのけだるい印象を持つギターサウンドと
忍び寄る様なリズムを刻むニック・メイソンのドラムに加えて

深い陰りを持つボーカルを際立たせるリチャード・ライトのキーボードが
フロイドサウンドの中核となり

ロジャー・ウォーターズの叙情性と狂気を併せ持つ作家性が相まって
ピンク・フロイドの唯一無二と言われるサウンドが生まれる所にも
大きな特徴があると思われます

又、通常プログレッシブ・ロックと聞けば
テクニカルな演奏が頭に浮かぶ所ですが

その様な演奏を駆使した楽曲は無く

よく聞けばギルモアのギターも
ブルース系のフレーズを多用した
一般的なギタリストと変わらないプレイで

殊更テクニックに於いて群を抜いて秀でている訳では無くても

「あの雰囲気」 という言葉で語られる程
音楽そのものに大きな特徴があり

それ故にギターサウンド一つ取ってみても
ブルースであってブルースとは異なる 別の何か に聴こえる所に

フロイド音楽の魅力があるのだと言えます

△▼ △▼ △▼

さて、
この作品は 元メンバーでかつての中心人物だった
シド・バレット に捧げたものと言われておりますが

これは
前作『狂気』の世界的ヒットにより 得た 巨大な 地位と名誉と財産が
これまでの自分達の生活や 人生感までも変えてしまった事と

『狂気』という大傑作を生み出して
創作活動における頂点を極めてしまった事により
次作へのプレッシャーが大きくなった事で

ロジャー・ウォーターズが語る通り
結果 『何も作り出せない』 という事を表現したのが
アルバムの内容となったという所に

頂点を極めると同時に失ってしまった大切な何かを
シド・バレットに重ねて

新しいものを皆で作る 「覇気」
長年築いてきた 「信頼」 に加えて
皆の間にあった 「友情」


いつの間にか見失ってしまったという意味が
込められた作品になったとも取れるものがあります


シドを中心人物としたフロイドが
サイケデリック・ロックの騎手であった事で

精神世界に深く関わるあまり
心を病んでしまったシドが

バンドを去るしか無かった様に

シドが去った後のロジャー体制でのフロイドが
建築的な楽曲作りを目指した事で

最終的にはピラミッド的建設の頂点を極めながら
それ以上の上が目指せ無くなり目的を見失い

後にロジャーがバンドを去る事になるという


その様に目指す事が常に先が無い
「別れ」が定められた中での創作活動故に

悲しくも危ういまでの刹那な煌めきに満ちた
「あの音」へと昇華され

そうしてピンク・フロイドの音楽が生まれるのであれば

そんな魔力を持った音楽に私達は魅了されてしまう・・・
という事なのでしょう


Pink Floyd - Wish You Where Here (1975)
ピンク・フロイド - あなたがここにいてほしい


BarrettHarmonyGuitar
(画像参照:Wikimedia)


「炎」に収録されたライブでの人気曲でもあるこの曲は

古いタイプのラジオのスピーカーから流れてくるギターに合わせて
合いの手でソロを入れるという

愉しかった昔を懐かしむ様な
失った過去を振り返る様な
自分の部屋でのひと時を切り出した演出が斬新な

デビッド・ギルモア作の フォーク・ソングタイプのバラードです

非常にメランコリックな内容のメッセージソングですが
洗礼されたコンテンポラリー曲の様にも聴こえる所が
人気曲となった理由の一つと思われます



さて、ここで恒例となった
全く興味の無い事は承知の上で

今回もバンドの人事遍歴をご紹介します

ピンク・フロイドの場合は他のバンドと違って
不動の黄金カルテットというイメージがありますが

シド脱退後も、ロジャー脱退以前からも、微妙な人事移動がありました


第一期: 1967-1968 『夜明けの口笛吹き』

● シド・バレット (Gu、Vocals)
● ロジャー・ウォーターズ (Bass、Vocals)
● リチャード・ライト (Keybord、Vocals)
● ニック・メイスン (Drums)

元々の中心人物だった シド・バレット はこの時すでに イギリスの音楽界では
時代の寵児として名前が広まり 様々なアーティスト達とも 交流のある

若くして大スターと言える存在でした

しかし、ドラッグの過剰な摂取と 成功がもたらしたストレスとで
だんだん 精神に問題を抱える様に なって行きます



第二期: 1968 『神秘』

● シド・バレット ---≫脱退---≫失踪---≫死去 1946-2006
● ロジャー・ウォーターズ
● リチャード・ライト
● ニック・メイスン
(加入)デヴィッド・ギルモア (Guitar、Vocals)

シドの奇行が目立つ様になって、演奏活動に 支障を来す様になった頃
旧友だった ギタリストの デビッド・ギルモアを加入させ
シドのパートを補う方針を取りますが

もはや 作曲すら 担当出来ない程に シドの病状は悪化し
それが元で シドは脱退してしまいます



第三期: 1968-1979 『モア』〜『ザ・ウォール』

● ロジャー・ウォーターズ
● リチャード・ライト---≫脱退---≫サポートメンバー---≫後に復帰
● ニック・メイスン
● デヴィッド・ギルモア

中心人物を失ったフロイドは
これまでの 即興演奏中心のサイケデリック・ロックサウンドを捨て
音楽を緻密に構築する 楽曲作りへと 大幅な方向転換をして行きます

そうして作られた12分のタイトル曲を含んだ 『神秘』 は
直感力では無く 建築的な見地によって作られた 大作でした

この新たなフロイドの音楽は各界に評判を呼び、『2001年宇宙の旅』 の
スタンリー・キューブリック監督から 音楽のオファーが
来る程のものとなります

やがて 1972年 『狂気』 の発表で
フロイドはロック界の頂点を極めます

しかしその後の ロジャー・ウォーターズ 独裁体制が極まって行く事で
メンバー間との亀裂が 徐々に拡がり

「炎」以降リチャード・ライトの意見が反映されくなった事で
それまであった「あの」フロイドサウンドが
「アニマルズ」以降の作品では聴かれなくなり

代わりにロジャーの過激なアジテートサウンドが核となった
「ザ・ウォール」発表後 ライトは事実上の脱退となり

傑作 『狂気』 を発表するまでに至った 結束は 崩れて行くのでした



第四期: 1980-1985 『ファイナル・カット』

● ロジャー・ウォーターズ---≫脱退---≫ソロ
● ニック・メイスン
● デヴィッド・ギルモア

ロジャー・ウォーターズの独壇場だった 『ザ・ウォール』 の発表後
映画版 『ザ・ウォール』 のサントラを制作する予定が
ニューアルバム制作へスライドした新作アルバムが制作されますが
内容はロジャーのソロ・アルバムとも言える内容となりました

リチャード・ライトが呼び戻されないまま 録音は進められるのですが
ギルモアも ソロが必要なら呼んでくれと ロジャー以外メンバーは
制作には非協力的な中で進められて行きます

ラストの曲にいたっては、セッション・ミュージシャンで録音をし
こうして発表されたアルバムを最後に フロイドは解散をします


第五期: 1986- 『鬱』 『対』

● ニック・メイスン
● デヴィッド・ギルモア
(復帰) リチャード・ライト ---死去 1943-2008

ロジャーが勝手に決めた解散宣言を 訴訟にまで持ち込み
ギルモア主導で 新作の録音が進められました

その後リチャード・ライトが復帰し 発売されたアルバムは
世界的ヒットを記録し来日公演も果たしました

2005年には世界的チャリティーコンサート 『ライブ8』 で
4人のメンバーが再結成し パフォーマンスを行いますが

このメンバーでの 新作の可能性は
2008年9月15日にリチャード・ライトの死去により 永遠に絶たれるのでした



バンドから中心人物を失いながら
世界的人気を得るまでになったと聞くと
ピーター・ガブリエル を失った ジェネシス を
連想される方も多いと思いますが

どちらかと言えば
ブライアン・ジョーンズを失った ローリング・ストーンズに
立場は似ていたのかもしれません

共に バンドの創設者でスターであり
正にスターになった事のストレスが原因で病み
バンドを去る所も ひどく似ている様に思います


巨大な産業である音楽界で スターの座を維持する為には
音楽的才能に溢れた天才 というだけでは通用しない程
強固な人間的骨格を要求され

選ばれた者だけが その座に付く事が許される「雲の上の世界」であり
数日でトレンドが変化する世の中に於いて
長くその座を維持できない「砂上の楼閣」だと言えます

フロイドに限らずこの様なバンド内人事の事情を考えてみる度
才能に溢れた若者たちの人生を 一瞬にして変えてしまう程の

「魔力」を持っているのが ショー・ビジネスの世界であり

精神を病む程にその「魔力」を真正面から捉えて
音楽的才能をすり減らしてまでそれを表現しようとした所に

若き天才達を惹きつけて止まない何かと

フロイド音楽に聴ける「魔力」があると
言う事なのでしょうか

△▼ △▼ △▼

というわけで いかがでしたでしょうか。

大作特集 も最終回です

それでは 又どこかの 大作特集 でお会いしましょう
ごきげんよう。


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最終更新日  2024年07月21日 03時46分40秒
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