映画レビュー『M:I-2』 "スター・トレック" ミーツ "香港ノワール" ハイブリッドなアクション巨編

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2014年02月21日

映画レビュー『M:I-2』 "スター・トレック" ミーツ "香港ノワール" ハイブリッドなアクション巨編

(9)

カテゴリ：洋画 [アクション]

「スター・トレック」ミーツ「香港ノワール」ハイブリッドなアクション巨編
M:I-2
MISSION: IMPOSSIBLE 2/M:I-2

■監督　ジョン・ウー
■出演　トム・クルーズ/ ダグレイ・スコット/ タンディ・ニュートン
ヴィング・レイムス/ リチャード・ロクスバーグ

今や、ハリウッド・アクション映画のカリスマ的存在になったジョン・ウー監督ですが
ハリウッドに進出した代表作の

ニコラス・ケイジ、ジョン・トラボルタ共演『フェイスオフ』
ベン・アフレック主演『ペイチェック消された記憶』などは

脚本のSF要素を抑えながらアクション映画へ転換し大ヒットした成功例で

香港時代に培われた愛と憎しみと裏切りのアクの強さの演出が
端的なアクションが望まれるハリウッドの風潮に揉まれて洗練され

それまで手を付ける事の無かったSF要素が適度に含まれた事で

近代的なタッチを切り口にした
ハイブリッドなアクション巨編を描く映像作家として進化を遂げます

SF的要素が含まれる本作もハイブリッドなアクション映画の決定作となりました

という訳で今回は

2月16日日曜洋画劇場でも放送されたトム・クルーズ主演の大ヒット・シリーズ作で
もう何度もテレビ放送され場面やセリフに至るまで知り尽くされ

今更感たっぷりではありますが

この脚本を当サイトが脱線しながらもプッシュするｗ『新スタートレック』の
脚本家コンビが担当していた事は余り知られていないという訳で

後半『スター・トレック』な部分を見ながら
『ミッション・インポッシブル2』をご紹介したいと思います☆

- STORY -

休暇中のイーサンのもとに、緊急指令が下った。
それはテロ集団に奪われた致死細菌“キメラ”の奪回。

早速新チームが編成されるが、そこには見知らぬ女盗賊・ナイアの名があった。
不審に思いながら、イーサンは彼女に接近を図る。

- 解説 -

作品レビューは【楽天エンタメナビ】リンク先＞＞

「怒涛のアクションシーンが真の主役の強力作」の

投稿レビューも御覧ください☆

ミステリー映画の奇才ブライアン・デ・パルマがメガホンを取った
一作目とは打って変わって

香港ノワールの旗手アクション映画界の最右翼ジョン・ウーが担当した本作は
怒涛のアクション満載の痛快娯楽作品に仕上がっております

『格好良い』とはこういう映像を言うのだと言わんばかりの
映画全編がアクションを見せる独壇場となった

アクションスタートム・クルーズを印象付ける、決定作となりました

一方で、スパイ映画の醍醐味である
火花を散らす頭脳戦や騙し騙されの駆け引きの様な

映画に何かを求めて鑑賞する方にとっては

次のアクションへ繋ぐ役割の様なストーリ運びや物事が都合良く運ぶ場面展開に対して
内容の無さを感じる作品になったかもしれません

これについては以前ジョン・ウー監督がハリウッド映画の制作体制に付いて

ハリウッド作アクション映画はアクション中心に作られる傾向から
ドラマの要素を求められない体質と称した事があり

溢れる情報の中から瞬く間に元カノ逮捕の情報を掴んだり

本人と見破れないほどの変装の技術がありながらそれを使わずに
イーサンがキメラウィルスを手に入れる当日をわざわざ選んで

正面から堂々と入って行動する敵の理解不能な律儀さや

今、正に人が死ぬという一刻を争う時に頭に血が登って肉弾戦に勤しむ主人公の
あり得ない展開等々・・・

本作も数々のプロットの難が目立つ
挙げれば切りが無い演出の傷が気になる作品となってますが

アクション映画にスタイリッシュという言葉を持ち込んだ
その元祖的存在とも言えるジョン・ウー監督の美学とも言える

これまでのハリウッド作品には見られなかったストーリーと有機的に絡んだ
ドラマチックなアクションシーンが真の主役と言える作品であり

本作はそれを素直に愉しむエンタテインメント映画なのだと思います☆

- 新スタートレック脚本家コンビの参加 -

さて、本作には『新スター・トレック』を始め

スピンオフ・シリーズ『スター・トレック DEEP SPACE NINE』
そしてブログ主の名前にもなっている『スター・トレック VOYAGER』

新スタートレックの劇場版
『スター・トレック GENERATIONS』『スター・トレックファースト・コンタクト』

などの脚本家として参加した

ロナルド・D・ムーア、ブラノン・ブラガの参加が
スター・トレック・ファンには気になる話題となりました

しかしながら、ゴールデンラズベリー賞(最低映画賞) 最低続編賞にノミネートされた様に
物語に難点が目立つ作品であった事は否定出来ません

物語の難は直ぐ様脚本の不出来に由来するものと思いがちになりますが

先程も解説した通りハリウッドではアクション映画にドラマを追求しない方針から
両氏の書いた脚本は大きく書き換えられた可能性があり

特に SF的要素の強い部分は間違いなく根こそぎ削除され
宿命の対決や愛憎劇にシフトされたプロットに書き換えられと考えられます

さて、

『新スタートレック』の傑作エピソードの一つで
過去の自分の過ちを修正した事で現在の自分が思わぬ運命を辿る事を描いた

#141『運命の分かれ道』の様な
ストーリー・テラーとして定評があり群像劇を得意とするムーアと

同じく『新スタートレック』では前半をアンドロイドのデータ少佐が夢を見るエピソードを
後半をクリンゴン人ウォーフの種族の価値観を描いた意欲作
#142#143『バースライト』や

夢と現実の区別が付かなくなる恐怖を描いた
#147『呪われた妄想』など

イマジネーションを掻き立てる内容
エイリアン種族の歴史的背景を元にした物語作りに定評があるブラガと

両氏の作風は本作でも至る所に確認する事が出来ます

キメラウィルスの語源が伝説の生物「キマイラ」に由来する
ギリシャ神話を元にした設定は

クリンゴン人などの歴史に基づく種族に関わるエピソードを書くのが得意な
ブラガの特徴であり

危機的状況でキメラウイルスを自分に打ち事態の逆転を図り
ヒロインが主導権を握る大胆でドラマチックな展開や

冒頭で女泥棒のナイアを起用する事に難色を示すイーサンに対して
アンソニー・ホプキンス演じる上司が色仕掛けは女だったら誰にでも務まると

女性蔑視の発言をする人間臭い尊大さを見せ付けながら
ラストでは行く先を告げようとするイーサンに対して

それでは休暇にならないと諌める粋な芝居運びなど

『新スター・トレック』『DS9』『Voyager』でも見られたムーアが創るキャラクターの特徴で

トレッキーであればそれら既視感を感じるシーンを見つけては
ニヤニヤしながら眺める作品となったでしょう

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