ヒグラシ !!new!!



ヒグラシ

「もう 夏も終わりますね」
暮れなずむ空の下
田圃道を歩きながら
家路へと向かうボクの耳に
君は そっと語りかけた

その声は優しくも
どこか切なくて
楽しかった夏の出来事を
セピア色へと変えてしまう

――真っ黒に日焼けした 海水浴――
――家族と行った 避暑地への旅行――
――君と初めてキスをした あの夏祭りの帰り道――

それら全てを心の奥深くへと誘い込む
忘れることのない 思い出にするため

そんな哀しくて
すがすがしい気分に浸っているボクに

「さようなら。また一年後に会いましょう」
と 君は言って 彼方の空へと去っていった

――夕暮れの畦道で
たった一人ぽつんと佇む ボクの頬を撫でたのは
秋の香りを漂わせる 少しだけ肌寒い
爽やかなそよ風だった




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