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平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~
不協和音~波紋~
。;’* + ☆,°・ ‥. 不協和音~波紋~ 。;’* + ☆,°・ ‥.
「この間シヴァが下界に降臨した時にもいできた果実が今うちにあるんだ。今夜か明日、時間があれば一緒に食べないか?」
いつもならユダの誘いに微笑みを浮かべながら肯定の返事をくれるシンが、珍しく言いよどんでいた。
「……いえ、折角シヴァがユダの為に持って帰ってきたものですから、ユダが召し上がって下さい」
憂いを帯びた表情で、シンが答える。
(なんだろう…この胸のもやもやは……)
ユダからの誘いが嬉しいはずなのに、素直に喜べない自分がいた。
「そうか……残念だな。せっかくシンと思っていたのだが。まぁ、時間の都合もつかないのだろうし、仕方ないな」
ユダは少し寂しげに微笑んだ。
シンと分かれてすぐに、ユダは木陰でシヴァと遭遇した。
「ユダ!! この間持って帰ってきた果物、今夜一緒に食べていい?食べていいよね??」
「……あぁ。そうだな」
「じゃぁ、今夜ユダのうちに行くね!!!」
絶対だよ~とぶんぶん手を振り回して、上機嫌にシヴァはユダの元を離れた。
その夜。昼間から感じている、もやもやとしたものは未だシンの胸にわだかまっている。
原因が分からず、シン自身も気持ちを持て余していた。
気分を入れ替える為に、ハープを持って泉のほとりまで足を伸ばしていた。
今ではユダの傍らで奏でる事がほどんどとなったため、ここでは余りハープを爪弾く事はない。
シンは目を閉じ、ゆっくりとハープを爪弾き始めた。
それはシンの心を反映してか、少しもの哀しい旋律である――
「ユダ、これおいしいね」
「あぁ、そうだな……」
シンのハープの音が聞こえる。
少し悲しげなのは気のせいだろうか。
「でね、ユダっ!…………でさ、…………なんだ~」
「あぁ」
シヴァが何か色々言っているようなのだが、シンのことが気になって上の空なユダであった。
どれくらい弾き続けたのだろう。不意に、誰かの声に呼びかけられた。
「シン兄さん! こんな所でどうしたの!?」
ハープを弾く手を止め、目を開けると、そこにはマヤが立っていた。
「マヤこそ、どうしたのですか? キラは一緒じゃないんですか?」
「うん、今までガイの家にいたんだ~。今帰りなの。それで、シン兄さんは?」
「私はハープを弾きに来ていたのですよ……」
「一人で?」
「ええ……」
マヤに微笑みかけるシンの表情には、何か憂いが含まれているように見える。
マヤが、がしっとシンの腕を掴んだ。
「シン兄さん! 今夜は僕たちの家に来て! 見せたい物があるんだ!!」
「マヤ?」
まだ行くとも返事を返してないうちに、ずるずると引っ張っていく。
「このままずっとここにいたら風邪引いちゃうよ。シン兄さんが風邪ひいちゃった
ら、僕、悲しいよ……」
「マヤ……分かりました。今晩はお邪魔させていただきます」
「やった~!!! シン兄さんは僕と一緒に寝ようね! ベッド、二つしかないから~
嬉しいな~」
シンはマヤと共に、兄弟の家へと向かった。
シヴァが帰った後、ユダはシンの元へ向かおうとした瞬間、不意にハープの音色が途切れた。
ユダは、少し不審に思い、シンの元へ急いだが、泉のほとりには誰もいなかった。
(家にもいないのか……。何かあったのか? シン……)
シンがいない事に不安を覚えたユダは、鳥達にシンの行方を聞いてみた。
すると――
キラとマヤの家にいるのを見たという情報が入った。
(キラとマヤの家か……)
と、少し安心しつつ――
でも、今日シンに会わなければという思いにさいなまれ、キラとマヤの家を尋ねる事にした。
コンコン
「キラ、いるか? 俺だ」
「ユダさん、こんばんは。どうしたんです、こんな夜更けに」
「あぁ、シンは来ていないか?」
いつもは、にこやかに話すユダが何か思いつめたかのようにキラに尋ねた。
「はい、いますけど……」
なにやら言いにくそうにキラが呟いた。
中に入ってみると、シンの姿はどこにも見えない。
どこにいるんだと問いかけようとした時、ひょっこりとマヤが姿を現した。
「あ、こんばんは、ユダさん。シン兄さんだったら、もう僕のベッドで寝てるよ。もっといっぱいお話しようと思ってたのに……」
「マヤ。そうか……」
「ねぇ、ユダさん。シン兄さん、どうしちゃったの?僕、さっき、泉のほとりであったんだけど、その時のシン兄さん、今にも消えちゃいそうな位儚かったんだよ!いつものシン兄さんじゃなかったんだ!」
だから家まで引っ張ってきちゃったんだ……と、マヤは拗ねたように呟いた。
「シンは何か言っていたか?」
昼間出会った時は元気だったが……別れ際様子がおかしかったような気がする……何か俺はシンを傷つけるような事を言ったのだろうか……
「特には、何も……僕もあんまり聞いちゃいけないと思ったから……」
マヤは俯いたまま、ユダの服の端を掴んだ。
ユダがポンポンと頭を撫でてやる。
シンの居場所が分かり、一安心はしたので一度家に戻ろうかとも思ったが、このままシンと別れてはいけない気がした。
「マヤ。シンは俺が連れて帰る。明日、早くに神殿に行かないといけないからな。ここからでは遠い」
「分かったよ、ユダさん。今度、ユダさんも一緒に泊まりに来てね」
「あぁ……」
シンの元へ行き、起さぬように優しくシンを抱きあげ、自分の家へと連れ帰っていった。
連れて帰る途中、ユダはシンにそっと呟いた。
「俺は、お前に何か傷つける事でも言ったのだろうか……すまない……」
翌朝。目が覚めたシンは自分の置かれている状況を把握できないでいた。
(昨日はキラとマヤの所に泊まったはず。なのに、何故、今、私の目の前にユダがいるのですか?)
一瞬で硬直し、身動きが取れない。そんなシンの様子に気づいたのか、ユダが目を覚ました。
「ん……あぁ、シンおはよう」
少し寝ぼけているのか、シンの額にキスを落とし、ユダはそっと抱きしめた。
「ユダ、おはようございます。あの、これは一体……私はキラとマヤの所にいたはずですが……」
「あぁ、俺がここに連れて帰ってきたのだ。今日は神殿へ行かないといけないだろう?
向こうから行くのは不便だと思ってな。勝手なことをして、すまない」
少し、目を伏せシンに答えた。
「それは、構いませんが……」
「昨夜はどうしたのだ?」
少し不安げな様子を見せながらも、ユダはシンに優しく問いかけた。
「どうも、してませんよ?」
「そうか? だったら、よいのだが。本当に?」
「……私にもよく分からないのです。
ただ……ユダに誘いを受けた時に、嬉しかったのに、こう、胸がもやもやして……。
とても変な感じがしたのです」
「やはり、俺がおかしなことでも言ったのだろう。すまなかったな。シン」
少し悲しげにユダはシンを見つめた。
「いえ、本当にユダのせいではないのです。……すみません。自分でも分かりかねている事を、貴方に説明するのは難しい……」
「いや。俺の方こそ本当にすまない」
言葉が続かなくなった二人は、その後暫く無言で見詰め合っていた。
――いつも、不思議に思っていた。シン。
お前に出会ってから、心の奥底で今までに感じた事の無い想いが存在する。
それが、何かはまだわからない。今分かる事は……
ただ、ずっと側にいたい。それだけだ。
――いつも、不思議に思っていました。
ユダ、貴方と出会ってから、他の人には感じたことのない想いをこの胸の内に感じる。
もどかしいような、狂おしいほどの想いを。
この想いの正体が分かる日が来るのでしょうか?
貴方なら、私に教えてくれるのでしょうか? 今はただ、貴方の傍で……
**********後日談************
~ユダとルカ~
「ルカ! 少しいいか?」
「ユダ、どうしたんだ?」
ユダは、ルカに昨夜のことを話した。
「……ということなんだがな。俺にはさっぱり意図がつかめなくて少し困っている」
「……なるほどな。まぁ、シン自身も、自覚していないのだろう。それが、”やきもち”だということを」
一瞬ユダが驚いたような顔をした。
(やきもち・・・?)
「一体、やきもちって何故? というか、誰にやきもちを焼くんだ?」
(ったく、この二人は……まぁ、そういうところがユダの良いところなんだろうがな……)
「ルカ……お前に相談したら余計分からないことが増えたぞ」
少し眉をよせ、ルカをにらんだ。
「ははっ。ま、じっくり考えるんだな。シンの方は、レイに頼んでおくから。少しだけヒントをやるとな、ユダは、皆にやさしすぎるんだ。
博愛主義もいいことだけどな。あまりに回りに気を配りすぎだ。ユダ」
「ルカ……別に、博愛主義というわけでもないんだがな。ありがとう。少し考えてみよう」
~シンとレイ~
「シン、どうしたのですか? 昨日の事、マヤから聞きましたよ」
「レイ……」
レイに問われるまま、昨日の経緯を掻い摘んで話した。ユダの事。シヴァの事。
「私にも分からないのです。それなのに、ユダを悩ませてしまっていて……」
「シン、本当に分かってないのですか? 嫌だったんですよね?
シヴァから貰ったものをユダに勧められて」
「嫌……というか、こうもやもやっとした感じで……」
「それは、ずばりやきもち! やきもちを焼いたんですよ、シヴァに対して」
「私が? シヴァに? どうしててですか?」
本当に分かってないのか、きょとんとしてレイの顔を見つめる。
「あぁ、もう。シンったら、なんて可愛いんでしょう!!!」
レイはがばっとシンに抱きついた。シンの細い身体をぎゅうぎゅう抱き締める。
「レイ、苦しいです! 離して!」
「ユダってば幸せ者ですね~。はぁ、僕もルカとラブラブしたい……」
「はぁ? ちょっと、レイ。もういい加減にして下さい!」
いつもは物静かなシンが、珍しく怒鳴った。レイは驚くどころか、にっこり笑ってシンから身を離した。
「大声出したら、少しはすっきりしましたか?」
「あ、はい……」
「シンは控えめすぎますから。そういった感情もあるのだと言う事を、認識するのもいいんじゃないですか?」
「はぁ……」
「では、お茶にしましょうか? ルカが僕のお気に入りのお茶を持ってきてくれたので、是非シンにも飲んで貰いたいのですよ」
「ありがとう。喜んで頂きます、レイ」
~~~~~~~
後書き
ここまで、読んでいただきありがとうございます(>.<)
この作品は、友人との合作になります。
私は、ユダ・ルカの部分を、友人はシンとレイの部分を。
セイントビーストのお話は全部この分担でお話を書いています。
まだまだ、色々書いていきますので、また、アップした際に読んでいただけると幸いです(^^)
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