平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

不協和音・束の間の安らぎ

。;’* + ☆,°・ ‥. 不協和音~束の間の安らぎ~ 。;’* + ☆,°・ ‥.



カムイとの戦いの後、ユダは夜が眠れなくなりつつあった。
他の者達にはいつもどおりに接し、何事もないようにふるまってはいたが――
ユダの身近にいる仲間たちには、普段とは違うユダの様子に違和感を感じていた。

このままではいけないと、ルカはユダに話し掛けた。
「ユダ。この間の事をまだ気にしているのか?」
「あぁ。気にせずにはいられない。俺は、おそらくしてはいけない事をしてしまったんだ」
やはり、カムイとの戦いを、ずっと悩み、後悔していたのだなとルカは確信した。
「ユダ。あれは、お前が悪いわけじゃない。仕方の無かった事だ。そうだろ?」
「仕方の無い事……確かにな。確かにそうなんだが……」
「ユダがそこまで心を悩ませる事は無い。全ての原因は――」
「分かってはいるんだ。だが、納得がどうしても出来ない」
これ以上言っても、ユダが苦しむだけだろうとルカは話を続けるのを止めた。
……私と話をするより、シンと共に過ごす方が今は安らげるのかもしれない……
ルカはそう思い、シンを尋ねた。

「シン。今、話をしても大丈夫か?」
「はい、ルカ。珍しいですね、貴方が私を訪ねてくるなんて」
「ユダのことなんだが……お前は気付いているか?」
ルカの質問に、シンは憂いを帯びた表情で答えた。
「……はい。ユダが天界に戻ってきてからというのも、何か悩みを抱えているようで……。私が力になれることだったら……と思うのですが、ユダは周りには気を遣わせまいと、普段通りの態度を……」
「やはり、気付いていたか……」
「ルカ……私ではあの方の力にはなれませんか? 少しでも、力になりたいのです」
ルカはシンを見つめ、
(やはり、今のユダにはシンが必要という事だけは間違いない)
と強く思ったのだった。
(だが――――)
「これは、私の勝手な自己満足なのでしょうか? ユダには、迷惑なのでしょうか?」
「いや。シン、お前が側についててやることが、今のユダには一番良い事だと思う。が、ユダはおそらく、シン……お前を側に置こうとはしないだろう。たとえどれだけ側にいて欲しいと思ってもな。シン、お前自身がユダの側にいたいとユダから離れないと伝える事は出来るか? どれだけ断られても……」
「はい……私がユダを心配で、少しでも傍にいたいのですから」
「そうか。ユダを頼むな。シン」

ルカと別れてから、シンはそのままユダの部屋へと足を向けた。
「シン。どうかしたのか?」
一見、いつもと変わりなくユダはシンに問い掛けた。
「ユダ、少しお話してもいいですか?」
「ルカに何か言われたのか? そんな事は気にする必要はない」
ユダは少し困ったような顔をしながらシンに言った。
「いいえ、ルカに言われたから来た訳ではありません。私が、貴方と話したいから来たのです」
「……?」
「以前、ユダが私に言ってくれました。お前が悲しんだり苦しんだりする姿は見たくない、と……。私も同じ気持ちなのですよ。貴方が悩んだり苦しんだりしているのならば、私が力になりたい……。それとも、私では、貴方の力にはなれませんか?」
「シン……俺は……」
「少しでもいい。貴方の悩みを分かち合い、癒して差し上げる事が出来たらと。――それは、私の自己満足に過ぎないのですね……」
「シン! それは違うっ!!!」
はっとしたように、シンを見つめた。
「私は、今の貴方が心配です。心配することも、迷惑ですか……?」
観念したのか、ユダは、ぽつりぽつりと今の心情をシンに語りだした。
「あの戦いは避けられたものではなかったのか? 俺は、手にかけなくてもいい者にまで手をかけてしまったのではないだろうか……。本来なら、動物たちを守るのが仕事だ。だが――今回は守らねばならぬものと戦い、そして……」
ユダはこぶしを握り締め、今の気持ちを吐露した。
「ユダ、そんなことはありません。貴方のせいではないのです。自分ばかりを責めないで……」
「……すまない。心配かけて。だが……大丈夫だ。シン。大丈夫……」
ユダは、微笑をシンに返した。
いつもは力強いユダだったのに、今は後悔の念に飲み込まれ、どこかに行ってしまいそうな雰囲気を醸し出していた。
そんなユダを見かねてシンはそっと、自分の胸にユダの頭を抱きこんだ。
トクン、トクンと、力強いシンの命の音が聞こえる。
「ユダ、私はここにいます。ずっと、傍にいますから……だから、一人で抱え込まないで。私にも、ユダの荷物を分けて下さい。それとも、私では役不足ですか?」
頭上からシンの苦笑いを含んだ呟きが聞こえた。
シンの香りに包まれながら、ユダはそっと目閉じた。
どれくらいの時が過ぎただろうか――
ユダはシンを見上げ、
「ありがとう。シン。少し、違う話でもするか」
先ほどよりは思いつめてない無いが、憂いを秘めたままのユダであった。
気を取り直し、ユダはシンをベッドの脇に座らせ、シンと他愛もない話を語り始めた。
どれくらい話をしていただろう。
二人とも落ち着きを取り戻し、
「もう遅い。シン、そろそろ戻った方がいいのではないか?」
「いいえ、ユダ。今夜、貴方の傍にいる事を、許して頂けますか?」
ユダは、返事をすることなく微笑んだ。



ユダがシンを抱きしめて眠っているのではあるが、今夜だけは、シンがユダを包み込み、抱きしめているかのよう見える二人であった。



今は穏やかな眠りを与えたい。いつも天界・下界で起こる物事を自分の事のように抱え込んでしまう貴方だから。
その為なら、私は何事でも成しえてみせる――



シン。俺は、お前と共にいれるなら……お前が微笑んでくれるなら……それでいい。それでいいんだ……
そんなに、俺を心配しなくても、俺は大丈夫だから――――



後書き
ずっと、シリアスな雰囲気で進んでおります。
というか、1日一作・・・すごいペースだなぁと我ながら関心していますっ。
友人と共同で書いているからかしら??
呼んでいただける方に少しでも楽しんでいただけると幸いですvv

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