平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

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永遠の誓約

。;’* + ☆,°・ ‥. 永遠の誓約 。;’* + ☆,°・ ‥.



「シン」
ユダはシンを呼び止めた。
とても、悲しげに、寂しそうにシンを見つめていた。
「シン、無理して俺の側にいる必要はない。お前の想う人の所へ行ってやれ……」
そう言って、足早に立ち去っていったのである。

『ユダ!!! シンったら二股かけてるよ。絶対にっ!』
『シヴァ……いきなり何を言い出すんだ』
『だって……他の上級天使と楽しそうに話ししてたんだよっ!!! 僕、木の陰からずっと見てたんだ』
『シンも、他の者と話くらいはするだろう? 人の会話を盗み聞きするもんじゃないぞ。シヴァ』
嗜めるようなユダの言葉に、一瞬シヴァは黙ったが、話を続けた。
『たまたま……そう、たまたま聞こえたんだっ。だって……シンが、楽しそうに上級天使と話をしてて、それに、ずっと一緒にいる誓いの指輪だって貰ってたんだっ。すごく、嬉しそうだったよっ!!!』
『……どういう事だ? シヴァ』
ユダが関心を示したのが嬉しかったのか、シヴァは更に捲くし立てるように言葉を続けた。
『うん。本当は、ユダには、こういうこと言っちゃいけないと思ったんだけど、ユダが可愛そうだっ!!! いつも、あいつは、ユダの側にいるくせに……。他の天使とあんな事……最後には指輪を外してたけど。二人で会う時にだけ、つけてくれって言ってた! 僕、聞いたんだからっ!!!』
シヴァの言う事だから、半信半疑だったのだが――
その後すぐに、マヤとガイにも遭遇して、同じような内容の話をされた。
『ねぇ、ユダさん。シン兄さんとケンカでもした?』
『いきなり、何を??』
『だってぇ……ねぇ? ガイ……』
『なぁ、マヤ……』
二人はすごく言い辛そうにしている。
『シンに何かあったのか?』
『うん……。知らない上級天使とすごく仲良さそうだったし……指輪も……貰ってたし。遠くから見ただけだから、何を話してかは分からないんだけど……』
『喧嘩はしてない。大丈夫だ。それに、シンの自由だろ? 他の天使たちと話をするのも』
『そうだね……』
マヤとガイも、シヴァと同じ場面を見たのだろう。バツの悪そうな顔をしていた。
俺は、シンを束縛し過ぎたのだろうか。
とにかく、シンに想う相手がいるのであれば、俺が側にいてはシンに迷惑をかけてしまう……よな。
深い溜息をついて、ユダは重い足取りでシンの元へ向かった。

今のは一体なんだったのだろう……。
とても哀しげで、寂しそうな瞳をして私を見つめていたユダ。
告げるだけ告げて、こちらの答えは必要としていないというように足早に立ち去ってしまった。
私は今、なんて言われた?
(無理をして? 私の想う人の所?)
ユダが何を伝えたいのか分からない。
動揺で立ち尽くしていたシンだか、ユダの去った方の向かって駆け出した。

「ユダっ! 待って下さい、ユダ!!!」
やっとの思いでユダに追いついたシンは、かなりの息切れを起こしていた。だが、ユダは立ち止まっただけでこちらを見てはくれない。
「先ほどの言葉はどういうことでしょう? 私には、ユダが何を言ってるのか分かりません。理由を、説明しては貰えませんか?」
「無理する事はない。俺を気遣う必要も……。マヤ達やシヴァから――いや。なんでもない。今から少し急ぎの用事があるから、話している時間はない」
ユダは、より辛そうに眉をしかめ、シンの前から立ち去ってしまった。
(俺は、お前をあきらめる事が出来るのだろうか――)

深い溜息をつきながら、ユダは神殿へ向かった。
神殿にて、ルカと共に任務を遂行した。
「ユダ。どうかしたのか?」
「いや。なんでもない。」
「なんでもないというような顔ではないだろう?」
とルカが問い掛けた。
その問いかけに、少し間をおいてからユダはルカに問い掛けた。
「もし、レイがお前ではなく、他の者を好きになったらどうする?」
その質問を聞いたルカは、シンと何かあったことを察知したのである。
「そうだな。その場になってみないと分からないが……もう一度私の方を向かせる努力でもするかな」
「そうか」
それ以上はユダは何も語らなかった。

ルカは、ユダが何について悩んでいるかは分かったが、原因が分からずにいた。
(シンと仲の良いレイに聞いたら分かるかもしれないな)
そう思い、レイの家を尋ねた。
「レイ。少し話があるんだが、時間は大丈夫か?」
「ルカ……いらっしゃいませ。僕なら大丈夫ですよ」
丁度お茶にしようと思っていたのです……と、ルカに椅子を勧め、手際よくお茶の準備をする。
「ユダとシンはケンカでもしたのか? もしくは……無いとは思うが、シンは別に想う相手が出来たとか」
「まさか、ユダ以外に想う相手など、シンに限ってそんなことは有り得ません。ケンカについては、シンからはまだ何も相談を受けていませんが……」
「そうか……」
「ただ……他の事に関しての相談なら、先日受けましたけど……」
「他の事? それはなんだ?」
レイが入れてくれたお茶を飲みながら尋ねる。
「ふぅ。なるほどな。そういうことか。大体の想像はついたが……ユダは、思い込みが激しい所があるからな。誤解だとしても、それを解くには時間が掛かるぞ……シンも苦労するな……」
と苦笑いをした。

シンは再度ユダと話をするため、ユダの元を尋ねていた。
(また、話をして貰えなかったら……)
良くない想像が頭を掠めるが、振り払い扉を叩いていた。
「ユダ、私です。お話があります。聞いて下さい」
ユダは一瞬、扉を開けるのに躊躇いを覚えたが、居留守を使うわけにもいかないので扉を開いた。
「シン……話とはなんだ?」
「もう一度聞きます。私は貴方に何をしたんですか? ユダが何を言いたいのか私には分かりません。マヤ達やシヴァと言ってましたが、どういうことでしょうか?」
「それは……」
ふと、ユダはシンから目線を外した。
「私には貴方が何に対して憤っているのかが分かりません。それを教えて貰わないと、私から貴方にお話することも適いません」
「………………」
「それとも、私にはもう、何も言う必要がないと言う事ですか?」
「そういうわけではないが……」
「私の言葉は信じて貰えませんか? 貴方は他者に聞いた事の方を信じるというのですね?」
ユダは、はっとしたかのようにシン見た。ユダには顔を見られまいと、シンは俯いている。微かに肩が震えていた。
ユダが言葉を発する前に、シンは言葉を続けた。
「分かりました。……すみません、不躾をしました。もう、何も言いません。失礼します」
俯いたまま、シンは飛び出すようにユダのもとから去った。

『シン!』
図書館からの帰り、シンはとある上級天使から声をかけられた。
『こんにちは、どうされたのですか?』
『これが仕上がったんだ。君から頼まれていた物だよ』
その天使の手には、二つの指輪が乗せられていた。
『自分でも結構上手く仕上がったと思うんだ。どうだろう?』
『――本当に……。ありがとうございます。大変だったのでは?』
『いや、僕も愉しんで取り組ませて貰ったし、こちらの方こそ礼を言いたいくらいだ。これは、ずっと一緒にいる誓いの指輪なんだろう?』
『私が勝手に思ってるだけですが……大切な方に渡せたら、と』
はにかむように微笑んだシンに、天使は指輪を渡した。
『君の方だけでも、サイズの確認をしてくれないか? たぶん、大丈夫だと思うけど』
言われるままに、シンは指輪を左手の薬指にはめた。しっくりと指に馴染む。
『丁度良いようで安心したよ。もし、相手の指に合わないようなら言ってくれ。加工し直すから』
『何から何まで、ありがとうございます』
『いいえ、どういたしまして。でも、揃いの指輪をしていたら勘繰られてしまうのでは? 二人で会う時にだけ、つけてくれとでも言うのかい?』
『そんな……つけて貰おうとは思ってないのです。ただ、持っていて貰えれば』
恥ずかしそうに俯いてしまったシンに、天使は微笑みを浮かべた。
『それじゃ、引き止めて悪かったね。僕はこれで』
『いいえ、こちらこそありがとうございました。このお礼は……』
『礼なんて――そうだ。もし、図書館で良いデザインの本が見つかったら、僕に教えてくれないか?』
『必ず!』
ひらひらと手を振りながら去っていく天使を、シンも笑顔で見送った。

ユダの所から逃げ出して、シンは泉のほとりへと辿り着いた。
大木の前にへたり込むように腰を下ろすと、ポケットへ大切に忍ばせておいた二つの指輪を取り出した。
偶然、同じ日に見つけた4つの石。ユダの髪と瞳の色をした紅と蒼、そして、自分の髪と瞳の色をした薄碧と琥珀の石。同じ日に見つけた事が単なる偶然とは思えなくて、普段はあまり持ち物には執着がないシンが、珍しく身につけていたいと思った。
――自分で加工したら、石の持つ本来の美しさを損なってしまうかもしれない。
そこでレイに相談をして、天界で一番石の加工能力に長けている天使に二つ指輪を作って貰えないかと相談を持ちかけた。
石自体が珍しい物だったようで、興味を示したその天使は、二つ返事で加工に了承してくれた。
石を預けて数日、やっと今日出来上がったと、天使から指輪を受け取った。想像していたよりも、更に素晴らしく仕上がった指輪に、シンも喜んでいた。
基本的デザインは全く同じだが、サイズが少し違う。一つは細身で繊細、もう一つは力強く雄雄しい二つの指輪。片方は自分。もう片方は、ユダに渡そうと思っていた。
(それが……こんなことになるなんて……)

ユダは、シンを追いかけるかどうかを迷っていた。
(追いかけていいものかどうか……でも、シンは辛そうにしていた……今にも泣きそうな……消えてしまいそうなくらいに儚げに……)
「一体、俺は何をしているんだ!」
ユダは自分を叱咤し、シンを追いかけた。
(多分、あそこにいるだろう……)
シヴァやマヤ・ガイの言う事は事実かもしれない。でも、それだけではないのかもしれない。
真実を知っているのはシンだけだ。
(俺は愚かだな……相手のためと言いながら……自分がこんなにも弱いとは思わなかった)
とにかく、シンに早く会わなければ、シンの口から直接聞かなければと思った。

泉のほとりについたユダは、珍しく息を切らしていた。
肩で息をつきながら、
「シンっ……話がっ……」
呼吸を整え、シンの元へ歩み寄った。
俯いて左手を眺めていたシンは、ユダの声にビクリと身体を揺らし、左手を強く握りこんだ。
顔をあげもせず、微かな声で答えた。
「いいえ、私にはもう、貴方と話をする事など……」
「シン、先ほどはすまなかった。お前を信じてないという訳ではないんだ。ただ……お前の口から直接聞くのが怖かったのかもしれないな……」
「私がどう答えるのが怖いと言うのですか? ……私には、今の貴方の心が分かりません……」
「シンっ!」
「貴方からの言葉は貰えず、私からの言葉は聞いて貰えず、これ以上私にどうしろと言うのですか?」
「っ…………」
「私はただ……これを貴方に貰って欲しかったかっただけなのに……」
きつく握り締めていた左手をシンはそっと開いた。その上には、二つの指輪が――
「でも、もうこんな物――」
シンは指輪を右手に持ち替えて、それを泉めがけて投げ捨てた。

ユダは咄嗟に泉に入った。
まだ、凍てつく寒さの中――
指輪を泉から拾い、それを握り締めて、シンの元へ行った。
「ユダっ!! なんてことを!!!」
顔面蒼白になりながら、己のした事によりユダがこのような姿になった事を後悔したシンは、身体をカタカタと震わせていた。
「気にすることは無い、シン。俺が勝手にした事だ。……俺は、お前が思っているような立派な天使でもなんでもない。他の天使達と同じだ。お前に恋をしたり、嫉妬したり、我儘を言ったり……本当は同じなんだよ。ただ……そういうことを表面化させてはいけないとは思うがな……お前が離れてしまうと思った時、足が竦んだよ。いつも側にいてくれると……勝手に俺が思っていただけなのかと」
気弱げにユダは微笑みながら、言葉を続けた。
「本当は弱みを見せたら駄目なのかもしれない。ルカには、いつもすぐにばれているがな……お前だけなんだ。俺の心をこんなに支配する天使は……」
「ユダ……」
そして、ユダは決心したように、話し出した。
「シヴァ達から聞いた話は、お前が上級天使と一緒にいた事。そして、ずっと一緒にいようと誓いの指輪を渡されていたという事だ」
「それは、この指輪の事だと思います。貴方と私を映したような石を見つけて、嬉しくて、ずっと身につけておきたいと思ったんです。それで、その……私は手先はあまり器
用ではないので、レイに相談して、天界で一番石の加工能力に長けている天使に指輪にして貰うように頼んだんです。きっと、出来上がった指輪をその天使から受け取ってい
る所をシヴァ達にも見られていたのでしょう……。ずっと一緒にというのは、どうして同じデザインの指輪を違うサイズで作るのかとその天使に疑問に思われてしまって……ずっと一緒にいられたらと願いをこめて、同じ物を二人で持てたら嬉しいと考えていると、答えたんです。その事を、指輪を受け取る折に、少し茶化されました……」
苦笑交じりの声でシンが答えた。
「そうか……では、二人で会う時にだけつけてくれと、その天使から言われていたというのは?」
「それは……揃いの指輪をつけていたら他者に勘ぐられるから、二人で会う時だけつけてくれとでも言うのか?と、からかわれただけですよ……」
「……俺の勘違い……なのか?」
「マヤ達やシヴァがどの部分だけ聞き取っていたかは分かりませんが、これが私の真実です。他には何を話せばいいですか?」
「俺は愚かだな……何故だろうな? お前の事に関しては自分に自信が持てなくなる」
シンに触れていいものか少し迷いながらも、シンへ手を差し伸べた。
少しだけ、自分の中で賭けをしたのだ。
自分の元へ来てくれるかどうか――
シンは俯き、そのまま立ちすくんだ。
「そうだな……こんな俺は呆れてしまっただろうな。シン、何度も側にいたいと言ってくれたのに。俺はそれを信じず……周りの言葉に振り回されてばかりだ……。これを……」
シンが投げ捨てた指輪をシンの手の上に乗せ、
「もう、要らない物かもしれないが、上級天使に作って貰った物なのだろう? そう粗末にするものじゃない」
指輪を捨てると同時に、シンは、俺にに対しての気持ちも捨てたのだろう……ユダは自分自身、シンを信じてやれなかった自己嫌悪に陥り、また、後悔した。
本当に、大切な者を信じなくてどうする……俺は…………。シンがこんな俺と過ごす事はシンの為になるのか?……今の俺では駄目だな――
そのままシンを背に、ユダは立ち去っていった。
誤解は解けたはずなのに……一つ何かを間違えると全てが崩れ去るものなのだろうか――

翌日――
普段と変わりなさそうなユダがいた。
「シン。昨日はすまなかったな」
シンと偶然出会ったユダは、それだけの言葉を交わし立ち去っていった。シンはユダに言葉をかけようとして、迷った末にかけられずじまいだった。
その後。神殿で、ルカと出会った。
「ユダ。誤解は解けたのか?」
「その事を知っていたのか?」
「あぁ、レイに昨夜聞いた」
少し自嘲じみた笑いをユダはした。
「誤解だとは分かった。が、なんだか、自分が許せなくてな。いつも俺はシンを傷つけてばかりだ。俺などいないほうがいいのでは……と思うくらいにな」
「ったく……何故そういう考えになる」
「何故だろうな……? シンに対してだけは、自分のコントロールが利かないんだ」
ユダは溜息をつきながら呟いた。

(私は……どうしたら……)
ユダの態度が哀しくて、辛くて。捨てるつもりなどなかったのに、気が付けば泉に投げ捨ててしまっていた。
それをユダが拾い出し、手渡してくれた。水の冷たさに怯みもせずに泉に飛び込んで――
(でも、このまま持っている事も出来ない……)
ユダと私、それぞれの色を戴いた二つの指輪。ユダの色の石を私、私の色の石をユダへ……。傍にいる事が出来ない時も、少しでも身近に感じられるようにと、想いをこめたこの指輪……。
(決断はユダに下して貰おう。私はそれを、受け入れるだけ……)
二つの指輪を握り締め、シンはユダの所へと急いだ。

「ユダ、すみません。最後に一つだけお願いが……」
ユダを見つけ、シンは駆け寄った。
「シン……どうしたんだ?」
「これを……」
シンはユダに、二つの指輪を渡した。
「貴方に受け取って貰えないならと、一度は捨てた物です。でも、貴方が拾ってきて下さった……。嬉しかったけど、辛い……。貴方の傍にいることの出来ない私には、これ
を持っているのが辛いのです。これは私の想いをこめた指輪……。手元に置いておけない以上、貴方の好きにして欲しい」
言うだけ言って、失礼しますとシンはユダのもとから足早に去っていった。
取り残されたユダは手の中にある指輪を眺めた。大きさの異なる、二つの指輪。見つめていて、ふと違和感を感じた。
(どうして石の色が違って入ってるのだ?)
普通ユダに贈るのなら、ユダの色をあしらった紅と蒼の石の入った物になるだろう。だが、それは小さい指輪の方にはめ込まれている。逆に、大きな指輪には薄碧と琥珀
の石。
――貴方の傍にいたい……そして、私の傍にいて欲しい……ずっと、永遠に……
シンの言葉にしない想いが、二つの指輪から伝わってきた。

ユダは、指輪を握り締め、シンを追いかけた。
(シンっ!)
すぐに、ユダはシンに追いつき、背後から抱きしめた。
「えっ? ユダ?」
「どうして、こうも話がややこしくなるのだろうな。想いは同じだと言うのに」
何度も、つまらぬ自分の想いでシンを傷つけてばかりいた。自分自身が弱いために……想いだけでは、駄目なのだと。自分自身も強くならねばと。シンのためにも――
ユダはシンを振向かせ、安心させるように微笑みながら
「下界でも、永遠の誓いとして、指輪を交換するそうだ。一生共にいるために」
そう言うと、ユダは改まって真剣な顔で
「シン、俺と共に……永遠に共にいてくれないだろうか。楽しい事も悲しい事も共に分かち合って貰えないだろうか」
「ユダ……私で良いのですか? 貴方がそう言って下さるなら、私は傍を離れませんよ?」
泣き笑いの表情で、シンが何かを堪えるように呟いた。目元が潤んでいる。
そっと、ユダはシンの左手の薬指に指輪をはめた。
「シン。俺にはお前が指輪をはめてくれないか?」
「はい……嬉しい……」

互いの薬指の指輪。
それは約束の印――
永遠に一緒にいようという……
これは、まだ天界に不穏な空気が流れる前の出来事であった。

~後日談~
「シン。今日は泉のほとりで待ち合わせをしよう。今夜の月はとても綺麗だそうだ」
「はい。……では、ハープを持っていきましょう」
少しはにかんだ顔でシンが答える。ユダも嬉しそうに頷いた。
一見、前と変わらぬ様子にもみえたが――
「もちろん、指輪もつけていこう。本当はずっとつけていたいがそうもいくまい……だが、お前と二人だけの秘密というのもいいものだな。今夜、お前と会えるのを楽しみにしている」
そっとシンだけに聞こえるよう囁くユダであった。



後書き
本当は、こんなに続く予定ではなかったんですが(^^;)
友人と互いに”せつないよ~~(泣)”と言いながら頑張って書いてみました。
今回の、ユダは、すごくマイナス思考・・・おいっ。
ユダがシンに迫るお話もよいですが、シンがユダに強気で行ってくれるのも萌えませんか?(^^)
シンと共に切なくなっていただけましたでしょうか?

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