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平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~
~初日の出~
∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨キリンも歩けば亀にぶつかる~初日の出~∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨
――海辺にて
年が明け、陽が上り始める頃、シンはユダの肩にもたれかかり、すやすやと眠っていた。
山の頂にて――
年が明け、陽が上り始める頃、ルカの肩にもたれかかり眠っているレイがいた。
二人に共通している事。それは、シンとレイの薬指に――
それは、年末の忙しい時期、大晦日の日であった。
相変わらず、仲の良いユダとシンはある約束をしていた。
「シン。お前と出会って、初めて年を越すな。出来れば一緒に年を越さないか?」
「はい、嬉しいです。何処で過ごすのですか?」
「一緒に初日の出が見たいんだ。お前と共に」
「……年の初めの朝日をユダさんと一緒に見れるなんて、私は……幸せです……」
「良かった。断られたらどうしようかと思った。とても朝日が綺麗に見れる場所がある。どうしてもお前を連れて行きたくてな」
「そうなのですか? きっと、とても素敵な場所なんでしょうね。今から楽しみです」
「……出来れば、これは俺とお前の秘密にしておいて貰えると、とても嬉しい」
「はい、ユダさんと、二人だけの秘密ですね」
シンはにっこり笑って答えた。
一方ルカも――
「レイ。もうすぐ、年が明けるな。お前と出会ってからは、時間が経つのが早い」
「僕もです。ルカと出会ってから、あっという間の日々でした……」
「今年は、さすがに無理だったが……今年の最後の日と来年の始りの日を私と過ごしてはくれないか?」
「僕もルカと一緒に過ごしたいです。嬉しい……」
「レイ。これは、私とお前だけの秘密だ。分かったか?」
「はい、誰にも言いません。勿体無くて……」
出会った頃よりも、艶っぽさが増したレイがあでやかに微笑んだ。
ユダとルカは二人で、ある計画を立てていた。
「ルカ。俺は、自分がこんなに独占欲が強いとは思わなかった」
「私もだ。そして、これほど心が満たされた事もなかったな」
シンとレイは幼馴染でとても仲がいい。
どちらか一方だけ、贈り物をすると、どちらか一方が悲しい思いをするかもしれない。
そう思う、ユダとルカは、できる限り同じ時期に同じような事をしようと協定を組んでいた。
計画とは、年が替わる時に、あるものを贈ろうというものだった。
その贈り物を購入しに、今日は久しぶりに二人で出掛けている。
本来なら恋人同士で入る店なのだが、びっくりさせたいのでシンとレイは連れてこなかったのである。
店からユダとルカ達が出た後が大変だった。
店員が。
「どう思う? 今の方達って」
「やっぱりそうなのかしら?」
「え~~~っ。じゃぁ、どっちがどっちよっ」
「私は~~」
言いたい放題言われていた……。
ま、ユダやルカは言われなれているので、なんとも思わないだろうが……。
レイが聞いたらきっと誤解をするだろう。
それはさておき、ユダ達は無事贈り物を買うことが出来、あとは、互いのパートナーを誘うだけとなった。
「レイは、すぐに贈り物の意味を分かるだろうが……シンは、どうだろうか?」
唐突にルカは言った。
「分かっても、分からなくてもいい。俺が贈りたいだけだからな」
「そうだな」
お互い幸せそうに微笑んでいた。
少し時間を遡って。シンとレイの今年最後の恒例のお泊り会。
レイのベッドに二人一緒にもぐりこんで、今日も恋人の話に花を咲かせていた。
「今年はあっという間に過ぎていきましたね、シン」
「本当ですね、レイ……とても良い年でした……」
「僕たちにとって、とても大切な1年になりましたね。ルカと出会えて、恋人同士にもなれて……」
「ええ……ユダさんと出会えて、本当に良かったです。幸せです」
二人は顔を見合わせ、微笑みあった。
「でも! 僕は一つだけ心残りがあります!!」
「どうしたのですか、レイ。突然……」
「ずっと思っていたんです。ルカから、あの指輪が貰いたい、と」
「指輪? 指輪なら、誕生日に頂いたのではなかったですか? レイ、見せてくれたじゃないですか」
かというシンも、誕生日にユダから指輪を贈られていた。なくすといけないので、いつも鎖に通して、首につけていた。ユダと会う時にだけ、薬指にはめていた。
「もちろん、それも欲しかったんですけど。また、意味が違うのです!!」
「指輪に意味があるのですか?」
「ええ、僕がルカから贈って欲しいのは、エンゲージリングです」
「エンゲージ?」
「シン……ここまで言っても解りませんか? エンゲージ、つまり、婚約指輪ですよ」
「婚約……指輪……?」
「そう。ルカが、そのうち一緒に暮らそうと言ってくれました。なので、期待していたのですが……来年にかけます!!」
意気込んで語るレイの隣で、シンもほぉ~っと溜息をついた。
(ユダさんも高校を卒業したら、一緒に暮らそうと言ってくれた……婚約指輪なんて、もし貰えたら、ずっと一緒にいる証を貰ったみたいで、嬉しくてどうにかなってしまうかもしれません……)
「貰えるといいですね」
「絶対です! お互い頑張りましょう!!」
何をどう頑張るのか解らなかったが、シンも笑顔で答えていた。
――陽が登りきった頃。
丁度時間的には、シン達がいつも起きる時間になってようやく、シン達は覚醒しようとしていた。
逆に、シン達が起きるのを待っていたユダ達は眠っていた。
――朝日が眩しい海辺。海面はとてもキラキラと輝いていてた。
差し込んでくる朝日に、シンは目を覚ました。澄んだ空気が辺りを覆いつくし、新年に相応しい清々しさを醸し出している。
隣を見上げると、ユダが眠っていた。顔には微笑が浮かんでいる。
幸せそうなユダの寝顔を見て、シンも幸せな気持ちに胸が満たされた。
ユダが寒くないようにと、包まっている毛布をかけ直そうとした時、ふと、自分の左手に光る物を見つけた。
(これって……)
シンは己の左手を目の前にかざし、夢ではないかと確認した。
左手の薬指に、朝日を浴びて輝く、ダイヤモンドを戴いた指輪が――
目を離すと幻のように消えてなくなってしまいそうで、シンは無言で指輪を見つめ続けた。
その頬を、静かに涙が次から次へと伝っていった。
「ん……俺、眠ってしまってたのか」
ユダが起きたようだが、声がかけられず、シンはユダだけを見つめた。
「シン!? どうかしたのか!?」
ユダが起きてシンを見ると泣いていた。
寝起きにいきなり恋人の泣き顔を見ると、そりゃ、びっくりするだろう……。
「ユダさん……これ……」
シンは左手をユダに差し出した。
ユダはニッコリとシンに微笑んだ。
「一緒に買いに行った方が良かったかもしれないが……びっくりさせてみたかったんだ」
「……驚きました……これは、婚約指輪だと、受け取っていいのですか?」
シンが指輪の意味に気づいていた事に少し驚いたが、ユダはしっかりと頷き、真摯な態度で告げた。
「シン。受け取って貰えるだろうか?」
「もちろんです……嬉しい……夢みたい……」
幸せそうに左手を抱き締めて、ユダに微笑みかける。
ユダはシンに優しい口付けをおとす。シンへの愛しさが募ってきて、触れ合うだけのものから徐々に深いものへ変化していき……シンもユダに応えてくれた。
唇が離れる頃には二人ともすっかり息があがっていた。
「そろそろ、家に戻るか。今日はお昼からルカたちと初詣だからな」
そう言って、余韻を残しつつシンを家に送って行ったのである。
――山の頂の朝も、爽やかであった。鳥たちがさえずり、朝日が木々の葉の朝露に反射して輝いていた。
しんから冷え込んだ山の空気に、レイは目を覚ました。
少し寒いが、傍にいるルカの体温を感じると、心まで温かくなってくる。
隣を見上げるとルカが微笑みを浮かべて眠っていた。
その顔を見て、レイもあでやかに微笑んだ。
もっとルカのぬくもりと感じたくて身を擦り寄ろうとした時に、左手に違和感を感じた。
何だろうと思い左手を見てみると、薬指には陽の光にも負けず輝く、ダイヤモンドの指輪がはめられていた。
(これは……)
ルカから贈って欲しくて堪らなかった、ただ一つの――
いてもたってもいられなくて、レイは眠っているルカに声をかけた。
「ルカっ……ルカっ……」
ルカは、自分の身体を揺さぶるレイに激しく起こされていた。
「どうしたんだ? レイ」
「ルカっ、これ……」
レイに身体を揺さぶられたせいで、少し頭がくらくらするルカであった。
「気づいたか。今年初めに、どうしても渡したかったんだ。受け取って貰えるだろうか?」
「もちろんです。これ……エンゲージだと思って良いんですよね?」
「ああ」
「僕、ルカからこれを貰いたくて仕方が無かったんです。夢が叶って幸せです」
涙ぐむレイが可愛くて、ルカは断りもなくその唇を奪った。
レイは嫌がる事なくルカに応える。
互いを貪るような激しい口付けの後、二人は名残惜しそうに唇を離した。
「レイ。そろそろ帰らないとユダ達との初詣に間に合わないな。帰るか」
「そうですね、二人をお待たせしたら申し訳ありませんから」
――帰宅した時に
『シン。俺は着替えに一度家に戻る。迎えに来るから必ず、レイと一緒にいるんだぞ。絶対だぞ』
『レイ。私は着替えに一度家へ帰る。迎えに来るから必ず、シンと一緒に待っていてくれ。必ずだぞ』
ユダとルカはシンとレイにこう言っていた。
二人は何故、そんなに念を押すのか理由は分からなかったが
『分かりました』
と答えた。
ユダ達が迎えに来る前に、レイはシンの母親に着付けて貰う為、シンの家に向かった。
しばしの着物との格闘の後、綺麗に着付けて貰った二人はシンの部屋で、ユダ達が来るのを待っていた。
「シン! 見て下さい。これ!!」
レイが嬉しそうに、自分の左手の薬指をシンに見せる。
「今朝、ルカがくれたのです。眠っている僕の指に指輪をはめていてくれて……起きて指輪を見つけた時には驚きました。木々の間からは朝日が差し込んで輝き、葉は朝露に濡れて煌めき、辺りの空気はとても澄んでいて、神聖な雰囲気の中……小鳥たちのさえずりも響いていました……きっと、僕たちのことを祝福してくれていたのですよ。それはそれはロマンチックで……」
一通りレイが話を終えたその時……
「シン。それって……」
シンの左手の薬指にも、同じような指輪を発見した。
「はい、ユダさんが下さいました……今朝……」
恥ずかしそうに微笑みながらも、シンも嬉しそうに話をする。
「年の初めから夢が叶うなんて、僕たちはなんて幸せ者なんでしょう」
「はい、そうですね、レイ」
二人が話が盛り上がってたその時――ユダ達がやってきた。
ユダたちの目の前には、振袖姿のシンとレイの姿があった。
シンの振袖は黒を基調にし、可憐な白い花が散りばめられた柄で、清楚なシンには相応しい物だ。
逆にレイの振袖は赤を基調にした、豪華な紫色の花があしらわれてある柄で、艶めいたレイには似合いの物だった。
まるで、シンとレイの為に誂えたような着物の生地に、ユダとルカは目を奪われた。
それは見事な1対の人形のような二人に。
無言で己の恋人に見惚れている二人に、戸惑ったような声がかかった。
「やっぱり似合いませんか? もっと地味な色合いの物で良いと言ったのですけど、お母さんが、もう着る機会もなくなるかもしれないから、今年はこれにしないさい、と……」
「僕もお母さんに押し付けられて、これしか持ってこなかったから、おば様にお借りしないと……」
シンとレイが困ったに呟いた。
「シン。初詣に行くのは止めにするか……そんな格好だったら……」
「そうだな。今日は家で過ごすのもいいかもな。レイ」
「すみません、ユダさん。……着替えてきますから、もう少し待って頂いていいですか?」
「違うんだ。そんなに可愛いシンを他のヤツに見せたくないんだよ」
ユダとルカは
(自分の可愛さに自覚のない恋人を持つと互いに苦労するな……)
と目で語り合った。
シンやレイがすごく初詣を楽しみにしていたのを知っていたので、結局は行くことにした。
自分が守ればいいだろうと結論付けて。
二人とも普段下ろしている髪を上へ結い上げているので、首元がはっきり見える。
襟足から覗く項が、妙に色っぽい。
隣に立ち、それを思いっきり目に入れてしまった二人は、益々今日はシンとレイから離れられないなと思った。危なさ過ぎて……。
お参りをした帰り――
「シン。お前は何をお願いしたんだ?」
「内緒です。言うと、叶わなくなってしまうと聞いたことがありますから」
「レイは何をお願いしてたんだ? えらく長かったようだが」
「はい、いっぱいお願いすることがありましたから。でも、内緒……」
各それぞれ、とても暖かな幸せな気持ちでお正月を迎える事が出来た。
明るい将来に向かって歩き出したのである。
ただ、明るい未来は簡単に手に入るものではない。
これからの未来、それぞれ思う処に辿り着けるかは、それそれの想い、強さにかかっている――
後書き
甘いお話を書いてみたくて書いたのですが・・・
私的には激甘ストーリーになってしまった・・・
砂はいちまうよっ・・・(*。*)
たまには、こういったあま~~いお話もいいかも?しれませんっ。はい(^^)
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