平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~

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W・D編その3

∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨キリンも歩けば亀にぶつかる~W・D編その3~プロポーズ~∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨



後から上がってきたユダとルカは、思った以上に屋上の庭が綺麗でびっくりした。
「シン。ここはどうだろうか?」
「はい、とても気に入りました! お部屋も、お庭も」
「じゃぁ、ここにするか。ルカたちはどうするんだ?」
シンが気に入ったようで本当に良かったとユダは胸をなでおろした。
「レイ、お前はどうする?」
「もちろん、ここ以外にはありえないと思うくらいに気に入りました」
ということで――
「あぁ、私達も、ここに決めたよ」
「じゃ、早速明日にでも契約してくるとするか。シンは一緒にくるか? 明日も予定が無ければだが?」
「はい、一緒に行きます。もし予定があったとしても、空けます。これは、私とユダさんのこれからについての事ですから」
「そうか」
嬉しそうにユダは微笑んだ。
14日以外の平日は用事があるのではなかったのか? ユダよ……。
「これで、また、お前達二人で月に一度のお泊り会が出来るんじゃないか? 互いの家を交代に使って。色々二人で話したい事とかも出来るだろうしな」
「お泊りしなくても、大丈夫ですよ?」
「そうか?」
決まった日でなくとも、どちらかが遊びに行ってそうだなとユダは思った。
ふと、庭の池を見たユダは――
「あぁ、池もあるが……何か飼うか? シン」
「好きなものを飼ってもいいのですか? ……では、亀を……。一匹じゃ可哀想なので、二匹以上が……いいのですが……」
「ああ。もちろんだ。俺達みたいに仲の良い亀を飼おう」
庭を見た後、もう一度部屋をゆっくり見る事にした。
「シン。僕は、もう一度部屋を見に行ってきます!!! 家具の配置とか考えないといけませんからっ」
レイは張り切ってルカを一緒に連れて行った。
「レイは元気だな」
ふっとユダは笑った。
「本当ですね……私達はゆっくりと決めていきましょうか。何を置くか……」
「そうだな。シンは、どのような部屋にしたいんだ?」
「えっと、リビングには大きめでゆったりとしたソファーを置いて、いつでも寛げるようにしたいですね。それで、大画面のテレビを……」
シンは楽しそうにユダに希望を説明する。

「シン。今さらと言うか、順番が逆になってしまったが。まだ、俺ははっきりと言ってなかったな」
シンには、何を言われているか、よく理解できなかった。
だが、いきなりユダが真面目な顔になったので、どうしたのだろうと心配になったのである。
「なんですか? 何か忘れている事が、ありましたか?」
「あぁ、とても大切な事だ」
「???」
本当に解らないらしく、シンは首をかしげている。
(シンらしいな)
「シン。お前は、まだ十代だ。これから先、もっといい人に出会えるかもしれない」
「ユダさん……それは、私は、貴方の傍にいてはいけないと言う事なのですか? やっぱり、私では……」
シンは幸せの絶頂から、どん底まで突き落とされた気分でいた。
「ちょっと待て。最後まで聞いてくれないか?」
ユダは、ふっと微笑みながらシンに言った。
「そう思うこともある。だけど、俺がお前を一番幸せにしてやる自信もある。これから先、色々あるとは思う。辛い事、悲しい事もあるかもしれない。そういったこと、全て俺と共に分かち合ってくれないだろうか。これから先、ずっと……永遠に」
「はい……何があっても、貴方の傍にいます。辛い事も、悲しい事も、貴方と一緒なら全て乗り越えて行けるから……だから、共に歩ませて下さい。これからの人生を、共に……」
「本当にいいんだな。シン」
「ユダさんが嫌だと言っても、私はもう絶対に離れませんから」
「それは、俺の台詞だ。シン」
二人は見つめあい、そっと口付けを交わした。
「明日、このマンションの契約が終ったら、お前の家に挨拶に行ってよいだろうか?」
「はい……」

一方ルカも――
「レイ。少しは落ち着け」
あまりにはしゃいでいるレイを見て、ルカは言った。
「あ、すみません。あまりに嬉しかったもので、つい……」
「いや。お前らしいがな。少し話をしたいんだが、いいだろうか? ちょっと順番が逆になってしまったな」
「はい、なんでしょう? ルカ……」
レイは畏まった風にルカを見上げた。
「レイ。これからずっと、私と共に生きて欲しい。ずっと傍にいて欲しいと思う。お互いまだ若い。お前は、もっと色々な人に出会うチャンスがあるのかもしれない。だが……そのチャンスをつぶしてでも私はお前と共にいたい。私だけを見て欲しいと思う」
「僕も……ルカを共に生きていきたい。ずっと、傍にいたいです。これからの出会いなんていりません。僕にはもう、ルカがいるから……ルカしか見えない」
レイはルカにぎゅっと抱きついた。
「もう、僕……ルカが嫌だと言っても、絶対に離しませんからね」
「望む所だ。レイ」
ルカもレイを抱きしめた。
「明日、お前の家に挨拶に行っていいか? レイ」
「はい、嬉しいです」

次の日~~
マンションの契約をしに、四人は不動産屋にいた。
シンとレイは、賃貸契約だと思っていたようだ。
だが……一括で買取をしているユダとルカであった。
「え~では、ここの契約書にサインをしていただけますか?」
「あぁ、分かった」
丁度、ユダとルカがサインをしている時、シンとレイはその金額を見てしまったのである。
ありえない金額がそこに記されていた。
レイもルカが蓄えはたくさんあると知っていても、引いてしまうくらいの金額である――
パニックに陥りかけて咄嗟に止めようとしてしまった二人だが、昨日のプロポーズを思い出して、落ち着きを取り戻した。
「シン? なぜ息切れしているんだ?」
「いえ、かなり驚いたので……」
「レイ。お前も顔が赤いぞ?」
「ルカと一緒だと驚きの連続です……」

「さてと、これで、ここでの用事は終ったな。ルカ、また、後で落ち合おう」
そう言って、ルカはレイの家へ、ユダはシンの家へ挨拶へ行く事にした。

シンの家に向かっている途中――
「シン。お前が緊張してどうするんだ?」
隣で、カチンコチンになっているシンを見て、ユダは笑いながら言った。
「もし、断られたとしても何度でもお願いしに行くから安心しろ。シン」
断られる事は無いと確信しているのかしていないのか……。
えらく自信のあるユダであった。

ユダ達はシンの家に着くと、和室に通された。
(失念してたな。シンの母の方が厳しいんだったな)
「お義母さん。初めまして。ユダと申します。本日はご挨拶およびお願いに参りました」
「初めまして、ユダさん。貴方の話は息子と夫から聞いております。お願いとは何でしょうか?」
「シン君と結婚させて頂いてもよろしいでしょうか? 必ず幸せにします」
(……キラ……お前は、俺の事をどういう風に話をしていたんだ?)
「ユダさん……そんなに睨まないでくれ……」
キラが参ったといった風な声をあげる。
その隣で、母親がびしりと言い出した。
「ユダさん、私達は息子を甘やかして育ててきました。なので、世間の荒波を何も知らない子に育ってしまいました。ですが、これからも、辛い思いをさせずに暮らさせてやりたいと思っています。これは親の身勝手ですが、その覚悟が貴方にはおありですか?」
「お母さん!?」
母親のきつい言いように、シンが慌てて口を挟もうとしたが、
「シン、貴方は黙っていなさい。私は、ユダさんにお聞きしているんです」
「ええ。もちろんです。シンに苦労をさせる気は毛頭ありません。ただ……完全に何もかも守ってやる……とはいかないかもしれません。四六時中一緒にいるということは不可能に近いですから。共に過ごすとは言え、シンにはシンのするべき事やしたい事があるでしょうから。だが、壁にぶつかった時や辛い思いをした時があるのであれば、俺も共に悩み苦しむだろう。シンが笑顔でいられるよう、最善を尽くす覚悟です」
そう言い、ユダはそっとシンを見た。
シンはユダの言葉に涙ぐんでいた。
「そうですか。それなら、もう何も申しません。――不束な息子ではありますが、これからのこの子の人生を、貴方にお預けします。どうぞ、幸せにしてやって下さい」
そう言って、母は畳に手をつき、ユダに頭を下げた。キラもそれに習って頭を下げる。
「ありがとうございます」
ユダも頭を下げた。
そして、そっとシンの手を握った――シンもしっかりと、ユダの手を握り返した。

一方ルカは――
「レイ。聞き忘れてたが、お前の父は、一体どういう人なんだ?」
今更聞くな……ルカよ……。
「ルカは何度かうちに食べに来てくれた事があるので、見かけた事はあるのではないですか? 料亭『朱雀』の料理長ですよ? 実権はお父さんではなく、お母さんが握ってますが……」
「あぁ、あの人か」
「あと、料理の案に煮詰まると、うちで所有してる山に、木をなぎ倒しに行ってます。薪にする為に。薪で炊いたご飯って、美味しいんですよね~」
「……ちょっと想像が出来ないが」
話している内に、レイの家に着いた。

客間に通された、ルカとレイであった。
「初めまして。ルカと申します。ご挨拶が遅れ、申し訳ございません」
「いいえ、ルカさん。貴方のお姿はお店で何度か拝見しましたよ。今日は改まって、なんでしょう?」
「本日は、申し込みに来ました。レイさんと結婚させていただけないでしょうか? 私が責任を持って幸せに致します」
ゴウは無言でルカを見返した。
「あなた、何、睨んでいるんですか? ルカさんに失礼ですよ」
母親がぱしっとゴウの頭をはたいた。
「痛いな、何をするんだ、お前……」
文句をつくゴウを無視して、母はルカに向かって話し出した。
「ルカさん、本当にうちの息子でいいんですか? この子は甘えん坊で、よく周りを振り回します。幼馴染のシンちゃんが良い例ですよ。貴方も振り回されすぎて、疲れてしまうかもしれない。途中で投げださない覚悟はありますか?」
「お母さん? 何を言い出すのですか?」
「レイは黙っていなさい。お母さんは、今、ルカさんとお話しているのですよ?」
慌ててレイが止めようとするが、母親がにっこりとたしなめた。
「これでも私達の可愛い息子です。生半可な覚悟の方に、お渡し出来るほど、私は甘くはありませんよ」
「私は、レイに振り回された事は一度もありませんよ。この程度は可愛いものです。私がレイに見限られる事があっても、私がレイを手放す事はないだろう。この先ずっと」
確かに、ルカがレイを振り回した事があっても、レイに振り回された事はないような――
「そうですか、それは良かった。――不肖の息子ではございますが、これからもこの子を可愛がってやって下さい。これからのこの子の人生は、ルカさんに託しましたから」
にっこりと笑って母は言い、ルカに頭を下げた。ゴウも一緒に頭を下げる。
「ありがとうございます」
そう言って、ルカも頭を下げたのである。

無事、シンとレイの親への挨拶は終ったのである。
次は……ユダとルカの両親へ報告に行く番だ。




後書き
まだ続きます(^^;)
ここまで長くなるとは思いもしなかったですよ。はい。
本当のご挨拶ってこんなのなのでしょうか?
実際って、もっと緊迫感があるのだろうな~

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