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平穏な日々。~ドラマCDに明け暮れて~
ユダとシンの日常☆誤解☆
∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨キリンも歩けば亀にぶつかる~番外編:ユダとシンの日常☆誤解☆~~∵¨∵¨∵¨∵¨∵¨
「レイ! あまり(そんな手で)ベタベタ触らないで下さいっ!!」
シンが珍しく声をあげてレイに抗議していた。
「シン……ユダさんに対してでしたら、そんな事は言わないですよね?」
少しからかう意味を込めてか、レイは言った。
「そんな事はありませんよ。(言わないとは思いますけど)」
「そうですか? そんなに触られたくないのですか?」
「あたりまえですよ。レイ……」
ユダは偶然、その会話を聞いてしまったのである。
(シン。本当はあまり触られるのは好きではないのか……)
今までの行動をユダは考え反省した。
シンは優しいから、嫌だと言えなかったのだなと。
そうではないのに。
またもや、ユダの大誤解が炸裂した瞬間である。
なんとまぁ、タイミングの悪い。
シンがレイに触るなと言ったのは――
丁度、シンとレイは屋上の花壇の手入れをしていた。
土をいじり、肥料をまき。
手は土で汚れ、もちろん服も、水で濡れていた。
確かに、そんな手では触られたくないだろう。
シン達の姿を見れば誤解することは無かったのだろうが。
丁度、屋上に上がり、外に出る前に、シン達の会話を聞いてしまったものだから、そのままシンに声をかけることができなかったユダである。
ユダは部屋に戻り考えていた。
近づくのは駄目だとして……話し掛けるのはいいのだろうか。
うーん。何処までが良いのか悪いのか判断がつかない。
シンが戻ってくるまで悩み続けるユダであった。
しばらくして、シンが戻ってきた。
「ユダ、上はだいぶ片付きましたよ。少し、汗を流してきますね」
埃っぽい己にいっぱいいっぱいで、今のユダの状況まで把握出来ないシンだった。
そのままシャワーを浴びに行く。
「ユダ、お待たせしました」
シャワーを浴び終わったシンがユダの元までやってくる。
「いや。そろそろ食事も出来る頃だ」
ユダは、シンがシャワーを浴びている時に、夕食の用意をしていた。
普段であれば、シンに『お疲れ』といって、額にキスをするのだが。
出来るだけ離れようと決心しているユダは我慢していた。
「ユダ? どうかしましたか?」
ユダが不自然な態度を取るのに、この時やっとシンは気付いた。
「どこかおかしいか?」
少しぎこちなく答えるユダであった。
「さ、おなかすいているだろう?」
そう言って、イスに座らせ食事を始めた。
(話をするのは多分いいだろう)
「レイとはどういった話をしていたんだ? 俺も手伝えばよかったな。すまない」
「いいえ、気にしないで下さい。今日はレイと、いちごとミニトマトの苗を植えました。上手く生るといいですが。それに、チューリップとパンジーを植えました。早く咲く
といいですね」
にこやかに色々と話をしてくれるシンに相槌を打ちながら食事をする二人であった。
食事を終え、流しに食器を運ぶ。
「今日は私が片付けます。ユダはテレビでも見ていて下さい」
「じゃぁ、頼むな。シン」
ユダはある一定の距離を保ちながらシンと話をしていた。
いつもと態度の違うユダに、シンはいぶかしんだ。
「本当にどうかしたのですか? しんどいのですか? 熱は?」
熱があるかとみる為にユダの額へ触れようとした瞬間。
すっとシンの手をさけ
「いや。なんでもない。急ぎの仕事があるから……恐らく時間がかかるだろうし、今日は先に眠っていてくれ。シン」
そういって、ユダは書斎へ向かった。
「え?」
シンは何が起こったのか解らず、しばし呆然とそのままの状態でユダの姿を見送った。
食器を片付け終わり、シンはふぅと溜息をついた。
(ユダ……どうしたのでしょう。今日は少しいつもと違う……)
そこでシンは違和感の原因に気がついた。
(いつものようなユダからのスキンシップがなかったんだ……もしかして、私に触れるのが嫌?)
一人で考え込んでても良い結果をうまないのは十分に経験済みなので、シンはユダに尋ねる事にした。
コンコン。
シンが書斎のドアを叩く。
「ユダ、少しいいですか?」
書斎のドアが開いた。
「シン。どうしたんだ?」
シンの顔を見て、ユダが問いかけた。
何か心配事があるときの顔をしていたから。
そりゃそうだろう。その原因は、お前だよ……ユダ。
「あの、コーヒーを持ってきたんです。良かったら……」
「ありがとう」
そう言ってシンを中に通した。
「ユダ、お仕事中に申し訳ないですが、少しだけ時間を頂いてもいいですか?」
「別にかまわないが?」
そっと、ユダの腕に触れようとしたのだが。
自然にユダはかわすのだった。
「……そんなに私に触れるのが嫌ですか? 私、何かユダの気に障る事でもしてしまいましたか?」
「そんなことはない」
「それでは、何故?」
ユダは少し考えた後、屋上でレイとシンの会話を聞いてしまった事を語った。
「――もう少し、お前の事を気遣うべきだったなと反省したよ」
ユダは苦笑した。
「どうしてあの会話からそういう事になるのですか? 私は、レイの手が泥まみれになっていたから、それで触らないでと言っただけです」
「……あぁ、なんだ。そう言うことか」
そう言えば、状況的から考えても、そうだろうなとユダは思った。
「すまない。今までの行いが悪かったからだろうな。あまりにベタベタするのはきっとお前も嫌だろうとなんとなしに思ったんだよ」
「私は、ユダにならいつだって触れられていたいですよ……」
「そうか」
とても嬉しそうにユダは微笑んだ
「では、今更だが……お帰りのキスをしてもいいか? シン」
「ええ……でも、キス、だけですか? あ、でも。ユダ、お仕事中だったのですよね――」
少し驚いて
「お前から誘ってくれるのは、あの時以来だな」
そう言って微笑んだ。
だが、本当に外せない仕事があったのだ。
「また、明日……同じ事を言ってくれると嬉しいな」
「ユダが望むなら、いつだって言いますよ。おやすみなさい、無理はしないで下さいね」
「あぁ、分かった」
ユダに気遣っていつまでも眠らないと逆に心配をかけてしまうので、シンはおとなしくベッドに潜り込んだのだった。
ユダとシンの非日常~悪夢~
次の日目覚めると、シンの隣には誰もいなかった。
いつもは、ユダがいるはずなのに。
布団を触ると冷たかった。
というよりは、ユダが眠った形跡が無いのだ。
ここ数日いつもそうだ。
そう思った時。
書斎から大きな音が聞こえた。
ガターンッ
シンは急いで書斎に駆けつけた。
「ユダ!? どうしたんですか? 中に入っても良いですか?」
ユダから返事は無かったが、急いでシンは部屋に入った。
すると、ユダが倒れているではありませんか。
「ユダっ!? 何があったんですか? 大丈夫ですかっ!?」
頭を打っていたら大変なので下手に動かす事も出来ない。
シンはユダが目覚めるまで、声をかけ続けることしか出来なかった。
時間がどれくらい経過しただろうか――
「ん……ここは……」
ユダが目覚めた。
「ユダ、良かった……気がついたのですね……」
「……お前は誰だ?」
いぶかしげにシンを見るユダだった。
「何を言ってるんですか、ユダ。笑えない冗談はやめて下さい」
全くの赤の他人を見るようなユダの視線に、シンは嫌な予感を感じる。
「……俺は冗談など言っていないが? そもそも何故お前がここにいるのかという疑問もあるが、それ以前にここはどこだ?」
「ここは、貴方と私の家ですよ」
「俺とお前の?」
「そのままで、少し待ってて下さい」
ユダの様子がおかしい。シンは慌てて、隣のルカの元へと走った。
ルカとレイを連れ、シンはユダの所へ戻った。
「ユダ。私がわかるか?」
「……知らん」
「ルカさんの事まで解らないなんて……病院、病院に行きましょう」
顔面蒼白で、シンはルカに詰め寄った。
「病院って。俺はどこも悪くないぞ」
シンが言った事が聞こえてユダは機嫌悪そうに言った。
今までのユダであれば、絶対にありえない態度――
ルカも、どうすればいいものか困惑している。
「頭を打っているかもしれません。検査しましょう」
「いらん、異常などない」
ユダに否定の言葉をかけられたが、それでもシンはユダに詰め寄った。
「ここにかけつける前、凄い音がしたんです。もし、頭を打っていたら……。頭の中の事なんて、調べてみないと解らないでしょう! 外から見ただけでどこも悪くないなんて言わないで下さいっ」
必死に言い募るシンに、ため息をつきながら
「分かった」
そう言い放った。
「一先ず、病院へ行こう。その後、色々と聞きたいことがある」
とりあえず4人は病院に向かった。
検査の結果。脳波には全くの異常なし。脳の内部も損傷してる箇所は見られず、正常な状態であった。
が、打ち所が悪かったらしく、記憶の全てを喪失している事が判明した。
病院から戻った4人は、ユダたちの家に戻って話し合う事になった。
「で、俺はシンと暮らしていると言う事だが、その理由は?」
「それは、貴方と私が結婚してるからです。……夫婦なのですよ、私たち」
ユダの瞳と真っ直ぐに見つめて、シンは言った。
「夫婦?」
あまり感情を伴わない瞳でシンを見ているユダであった。
一見感情が見えないだけで、かなり動揺はしていたのだが。初めから。
「それは、昨日まで……だ。今の俺とは違う。それに……」
言葉を続けようとするユダだったが、ルカにとめられた。
「ユダ。今日は少し休んだ方がいい。そしてゆっくり考えろ。シン。ユダを寝室に連れて行ってやれ」
「……はい、ルカさん。ユダ、こちらです」
半ば強引に、シンはユダを寝室まで連れて行った。
「今日はここで休んで下さい。私がいては気も休まらないでしょう。何かあったら呼んで下されば来ますので。それでは」
それだけ言いおいて、シンは寝室を出た。ルカとレイが待つリビングへと戻る。
「ルカさん、レイ。今日は済みませんでした。とりあえず、このまま様子をみてみます」
「シン……泣いて……」
「え?」
レイの言葉に、シンは目元に手をやる。いつの間にか、涙が溢れだしてきていた。
ユダの前では気丈に振舞っていたが、気が緩んで箍が外れたのだろう。次から次へと溢れだしてくる。
「おかしいですね、どうしてでしょう。止まらない……」
自分を見て、にこりともしないユダ。他人を見るように見られて、シンは辛かったのだ。
無理に微笑もうとするシンが痛々しい。
ルカとレイは、シンにかける言葉が思いつかず、無言で互いを見詰め合ったままだった。
ユダは寝室に入ったものの、やはり落ち着かず、寝室を出ようとした。
するとシンの泣き顔が目に入ってきた。
何故、こんなに心が痛むのだろう。
シン。お前を見ると、不思議な衝動にかられる。
大切に守りたい。その反面、いらいらする。すごく……落ち着かない。お前を見ると。
初めは俺を心配しているのだと思った。
だが、違う。俺だが……俺ではない。
この焦燥感はなんだろう。
ドアを半開きにしていたユダ。
丁度シンと目があったのだが、声をかけることなく、寝室へ戻ってしまったのである。
その夜は、互いに眠れずに過ごした。
翌日。ユダがリビングに行くと、笑顔のシンに迎えられた。
「おはようございます、ユダ。ゆっくりと休めましたか?」
にっこりと微笑むシンの目元にはうっすらと隈が出来ている。
「私が作ったのですが、良かったら朝食を一緒に食べませんか?」
テーブルの上には、端の方が少し焦げたトーストと、完全には固まりきっていないスクランブルエッグ。付け合せの野菜は洗ってちぎっただけのレタスに、不揃いのキュウリのスライスと、櫛形とは言いがたいトマトが並んでいる。
シンの手元を見ると、半分以上の指に絆創膏が貼られていた。
「……すみません、普段やりなれていないので……こんな物、食べたくありませんよね。何か買ってきます」
「いや。それでいい」
そういって、テーブルに座り食べ始めた。
シンは呆然とユダを見つめた。
「シン。お前は食べないのか?」
「いえ、食べます」
ユダの前の席に座り、シンも食事を始めた。
ふぅ。と溜息をつき、
「昨日は寝室を占領してすまない。お前は昨日どこで眠ったんだ?」
「お客様用の和室があるんですが、そちらで休みました」
本当はぬいぐるみ部屋で、一晩中、カメとキリンのぬいぐるみに埋もれて、いつまでも訪れない睡魔を待ちながら寝返りを繰り返していたのだが。
「そうか」
シンが嘘を言ってるのは一目瞭然だ。
だが、それについて追求はしなかった。
シンが食事を終えるまでユダは椅子に座っていた。
「後片付けは俺がしよう」
そう言って、片付け始めた。
「いいえ、私がしますから……」
慌てて、シンがユダを止めようとする。
「気にするな。そんなにふらついていて。倒れられても困る」
呆れたようにユダはシンに言った。
そうして、さっさとお皿を片付けた。
「昨日は話の途中で中断してしまいましたが。解らない事だらけで不安も多いでしょう。私で説明できる事でしたら、全て言いますので、何でも聞いて下さい」
一生懸命、記憶の無い自分(ユダ)と向き合おうとしているシン。
……何故俺はこんなにイライラするのだろう。シンを見ていると。シンに対してイラついているのか? いや、違う。俺自身にだ。
「じゃぁ、お前からみた俺はどんなヤツだったんだ?」
「……ユダはとても優秀な人です。なんでも卒なくこなして、周りを良く見ていて、どんな事でも的確に判断できて。頭の回転の速い人で……でも他人を気遣うことも忘れない……。私に対しては、過保護な位に優しくて、いつも気を配ってくれて、包み込むようなたくさんの愛情を与えてくれました」
穏やかな表情で、シンは語った。
穏やかに語るシンを見て、ユダも心が暖かくなった。
と同時に、もう一つ訳のわからぬ想いにかられる。
「……なるほど。今の俺とは大違いだな。まるで、違う人の魂が乗り移ったかのように?」
ユダは、自分自身にいやみを言ったつもりだが――
「どうしてそんな事をいうのですか? ユダは変わらず私に優しくしてくれるじゃないですか。違いなんてある訳ない。記憶がなくても、ユダはユダです」
(あんなに悲惨な料理を、文句の一つも言わずに全部食べてくれた。全然、美味しくなかったのに……)
真摯な瞳で自分を見つめているシンの視線とぶつかった。
「やさしい? 誰が? 俺が?」
ふんと鼻で笑い、シンから目を外した。
「で、俺はこのままここで生活をした方がいいのか? それとも、ホテルにでも行った方がいいか?」
「ここは貴方の家です。いて下さい」
「シン。お前は”ユダはユダだ”と言ったが……俺自身は、そうは思わない」
「何故です?」
「きっと、”ユダ”はお前をとても愛し、とても大切にしていただろう。お前を見ると、それがよく分かる」
シンは無言でユダの言葉を聞いていた。
「だが……俺は……俺は違う」
「どう違うというのですか?」
ふぅと一息置き
「さぁ。何が違うんだろうな」
そういって、また感情のあまりないユダに戻ってしまった。
「私には、違うようには感じません……ユダこそ、私がここにいては気が休まりませんか? 今の貴方は、とても苦しそうです。それは、記憶がないからだけでは、ないのでしょう?」
探るようなシンの瞳にユダは、少し眉をしかめた。
「そう質問攻めにされると……」
先ほどから頭痛がひどくなってくる。
頭が……割れるように痛い……。
「ユダっ!? 頭がいたいのですか? そこのソファーに横になって下さい」
気遣わしげにシンはユダの身体を支え、ソファーに横たわらせる。
少し時間を置いたら落ち着いたようだ。
「シン。先ほどの質問だが……お前の傍が居心地悪いと言うわけではない。恐らくどこに行っても同じだろう。俺からも聞いて良いか?
お前がすべての記憶をなくしたと仮定する。自分のことをおそらく誰かに聞くだろう。だが、聞いた後は?
知ったからといって記憶が戻るわけじゃない。前とまったく変わってないと言われても、分からない。
逆に……自分の知らない誰かとそっくりだと言われているように錯覚すらする。俺は俺だが……俺ではない。じゃ、今の俺は一体なんなのだろうと」
「そうですね……そう聞かされると、戸惑いしか感じないでしょう。自分ではない誰かとそっくりだと言われても、どう受け取って良いのか解らない……。
私の言葉が、今のユダには記憶を失う前のユダを押し付けているように聞こえてしまったのなら謝ります。
でも、違うのです。私には、記憶をなくしてもなお、以前と変わらない貴方を感じました。ユダの本質というか内面を垣間見たような気がしたのです。
……でもそれは、今の貴方にとっては、苦痛でしかなかったのですね……」
「苦痛とは少し違うな。お前にそれを言われるのと他のものに言われるのとでは違うだろうしな」
「? どう違うのでしょう……」
ユダは少し考えてシンにまた問いかけた。
「シン。お前は……”ユダ”に言われた言葉と他の者に言われた言葉は同じように受け取るのか?」
「いいえ……同じには受け取らないでしょう……」
そう答えてから、はっとしたようにシンはユダを見つめた。
「それは、今の貴方もそうだと……そう受け取っても良いという事ですか? 私を、他の人たちとは違うと、そう思ってくれていると……」
「そうだな……そうか……も……」
ユダは何の前触れも無く、シンの目の前で倒れた。
そのまま救急車で運ばれ、病院につくと―――
バタバタと診察室へユダは連れて行かれた。
そして、診察室から医者が出てきて
「患者さんのご家族ですか?」
「はい、そうです。ユダはどうなのですかっ!?」
「もう……」
「もう、なんなのですか!? 説明して下さい!!」
言いづらそうにシンを見つめる医者に、シンは目の前が真っ暗になった。
「シン! シン!! どうしたんだっ!?」
はっとシンが目覚めると目の前にはユダが心配そうに見つめていた。
「ユダっ!」
ユダの名を叫ぶと同時に、ユダに抱きつき号泣していた。
「シン? どうしたんだ? 怖い夢でも見たのか?」
「……夢? あれは夢?」
夢と現実が区別つかない。
あれは……夢?
「ユダ。私のことが分かりますか?」
「シンだろ?」
「頭は痛くありませんか?」
「痛くないが……どうしたんだ?」
シンは、夢の話をした。
「……シン。それは夢だよ」
ユダは苦笑していた。
シンがそう言う夢を理由に心当たりがあったからだ。
昨夜寝る前―――
『ユダ。これ、レイから借りたのですよ。今、すごく流行しているドラマらしいです!』
それは……まさにシンが夢を見た物語と同じドラマである。
それまで仲良く暮らしていた夫婦。
夫が、倒れる事により全ての記憶をなくしてしまう。
倒れたのは、本当は病気のせい。
だが、始めは分からなかった。
病気だと気付いた時には手遅れで――
といった話だ。
寝る前にシンが
『ユダは大丈夫ですよね?』
と心配そうにいっていた。
ドラマに感情移入しすぎたようだった。
それにしては、あまりにもリアルで……。
「良かった……」
その日、1日シンはユダからくっついて離れる事はなかった。
その姿があまりに可愛いので、ユダは何を言うことも無く、シンの自由にさせていた。
夕方……レイが訪ねてきた。
「シン。あのドラマどうでしたか? とても面白いでしょう? 後、こういったお話のドラマもあるのですよ」
そういって、ビデオをシンに渡そうとした。
「いえ、レイ。もうああいう話は結構です」
「どうしたのですか? 面白くありませんでしたか?」
不思議そうな顔で、レイが尋ねる。
「もうあんな夢はたくさんです」
シンは今朝見た夢の話をレイに語った。
「そんな夢を……僕も見たくないですね……でも! これは大丈夫です!」
そう言ってビデオを渡された。
果たして、今夜はシンはうなされずに眠れたでしょうか?
それは、シンとユダのみぞ知る。
これまた、昔に書いたものですが(^^;
いかがでしょうか・・・?(>。<)
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