笑来有望

笑来有望

MDプレイヤー



耳が悪くなりそうでも、少し大きめの音を出して聞いてみる。

目を閉じて全ての神経を音に集中させる。

そうすると、隣りに誰もいなくても孤独なんて感じない。

この世の全てが音で成り立っている気さえもする。

  ─ MDプレイヤー ─

「あー、成る程ね。だから俺が話しかけても気が付かないんだ」

拗ねたように頬を膨らませながら、潤が俺を睨み半分で見つめる。

「そう。だから、シカトしたんじゃないって言ってるでしょ?」

音楽に夢中で、話しかけても反応がない俺に、潤が怒りだしたのはどの位前だったか。

何時までも機嫌の直りそうにないこの相方の扱いには常に手を焼かされるが、

今回は特に面倒臭そうだ。

「・・・何の歌聞いてたわけ?」

「あ、聞いてみる?すっげー良いよ、この曲」

「俺より夢中になれる曲とやらを研究させて貰うだけだよ」

イヤホンの片方を潤に渡し、もう片方は自分に付ける。

「・・・なーんだ、またロック系か」

「『なーんだ』って何だよ。良いじゃんロック」

潤が音楽に集中し始めてのを確認して、俺もまた音楽に神経を傾ける。

しばらくの間、心地の良い沈黙が続く。

「あれ?なんか急に静かな音になったけど・・・」

「これバラード。このグループさ、ロックも良いけどバラードも良いんだいねー」

「ふーん。なんか・・エロい歌詞が多い気がするんだけど?」

「まぁ・・・うん、それなりには有るよ。気にすんな」

また、沈黙が続く。

ついいつもの癖で、目を閉じて音だけに集中する。

暫くすると、なにか違和感を感じた。そう、口の辺りに違和感が・・・

「ん・・・潤!!?何やってんのお前!?」

「何って・・・キスだけど?」

目を開けてみれば潤がさも当然のような顔をして口付けをしていた。

「そうじゃなくて、何で俺にキスしてんのかって聞いてんの」

「今の歌詞聞いてなかった?ほら、さっきのチャラ~♪って所」

「チャラ~?・・・あぁ、あそこの歌詞・・?」

『 目を閉じたらそれがサイン 私にそっと口付けをして 』

「・・・・潤さん、俺が目を閉じたのはサインじゃないんだけど」

「そうなの?俺はてっきり遠回しにキスを求めてきたのかと思っちゃって」

「嘘をつけ」

ニヤニヤと底意地の悪そうに笑う潤の頬を力一杯につねってみる。

途端にジタバタと抵抗を始める潤に微笑を投げてから、MDプレイヤーを片付ける。

「もう二度と潤と何かMD聞かねぇから」

「何だよー、小沢さんの照れ屋。まぁ別に聞かなくてもキスはするから良いけどね」

痛みに歪んでいた顔が、また笑顔に戻っている。

くるくると表情が変わり、いつだって俺を楽しませてくれるこの相方以上に、

俺を夢中にさせてくれる物なんて、この世には存在しないかもしれない。

そして、もしかしたら俺は潤以上に夢中になれる物を探していたのかもしれない。

「小沢さん、この歌聞こうよこの歌!ちょっとエロい歌詞が入ってるけどね♪」

「お断り。知ってるぞ潤、その歌詞に『抱いて』って歌詞が入ってること」

「じゃぁこの曲は?『抱いて』より更に過激な歌詞とリアルな表現が!!」

「潤・・警察に通報されたい?」

その後買ったばかりのMDプレイヤーは、潤のおかげでお蔵入りする事となった。

「小沢さーん、この歌ならいいでしょ!?」

「いい加減にしろ!!」






小沢さんはロックがとても好きだそうです。
誕生日プレゼントで、兄貴がMDプレイヤーを買ってくれました。
プレイヤーを弄くりながら小沢さんと潤さんだったら二人でプレイヤー聞きそうだなーと妄想してました。
兄の前で突然ニヤニヤと笑い出す妹。
ゴメンお兄ちゃん、あなたの妹はあなたの知らない世界に羽ばたいてしまっているのよ。
でも、楽しいよ、この世界☆
ちなみに、管理人は潤さんにだったら襲われても良いと思ってます。(本当にちなみにだな

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