紙漉きで絵を描くって…?
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まだまだ朝晩、冷え込みますね。ところで、顔は水で洗ったりしますか?お湯を使う人のほうが多いかも知れませんね。蛇口をひねると簡単にお湯がでますからね。別の質問ですが、この時期、蛇口からでた水の中に手を何分くらいつけたままにできるでしょうか? けっこう冷たいですよ。おそらく30秒と、もたないかもしれません。一度、ためしにやってみてください。あまりの冷たさにびっくりしますよ。和紙造形の作品を制作するときには、この冷たい水の中に4~5分くらいは手をいれたままで素材を攪拌します。制作するにはまず素材作りからはじめるわけですが、その作り方は水の中に楮(こうぞ)の繊維を入れて、素手で攪拌するのです。↓慣れるまでは、ゴム手袋を使ったり、別のボールにお湯を用意して、その中に手をいれては暖をとったりする方もいます。従来の紙漉きでは漉き槽に棒をつっこんで、攪拌しますので、和紙造形でも素手ではなく、なにか使える道具はないかと思うのですが、適当なものがないのです。泡立て器はどうかという発想もありますが、繊維がすべて絡まってしまいます。従来の紙漉きのような棒を使っても、作品制作に使えるほどにはよくほぐれません。和紙造形の作品制作にはかなり繊細な素材を必要としますので、やはり素手に勝るものはないのです。もともと紙漉きは冬の仕事とされてきました。それはなぜでしょう?農閑期を利用して紙漉きが行われたからという話もありますが…。それも間違いではないかもしれませんが、それよりも納得できるのは、「ねり」の性質によるということです。紙漉きで大事なのは「ねり」の働きです。「ねり」は時間の経過で水に戻ってしまいます。夏場はとくに早く水っぽくなるのです。そうすると、また「ねり」をたして攪拌しなければなりません。作業が煩雑になります。また「ねり」の状態が安定しないと均一な紙が漉けません。それに「ねり」というのは「とろろあおい」や「のりうつぎ」といった植物の根っこをたたきつぶして、ねばりのある成分をとりだすのですが、夏は腐りやすいのです。このようなことから、冬の方が適しているというのです。和紙造形の素材に使う楮の繊維は一旦、乾燥してしまうとほぐれにくいのです。それで、この繊維はつねに水を含んだ状態で冷蔵庫で保管します。それでも夏ははやくカビが生えてきます。やはり、たとえ水が冷たくても、冬の方が適しているわけですね。最初は冷たく感じますが、徐々になれてきます。顔を真っ赤にして、攪拌するうちに体もポカポカ温まってきます。この暖気運転を経て、いよいよ作品制作開始となるのです。冷たい水で気もひきしまり、素材作りで作品制作の態勢が整います。もうじき、といっても3月のことですが、和紙造形展が開催されます。今年はどんな作品に出会えるか、楽しみです。今日はこのへんで。読んでいただいてありがとうございます。よろしければ、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしてください。1日1回クリックしていただけると、たいへんうれしいです。お手数ですが、よろしくお願いします。参考までに、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしても、ブログランキングのページが表示されるだけです。なにかを記入したりする必要などはまったくありません。ブログランキングのページが表示されたら、他のページをのぞいてもいいですし、終了するのも自由です。●yunさんの運営する「和紙造形のコミュニティ」がMixiにあります。Mixi会員の方だけになりますが、ぜひのぞいてみてください。http://mixi.jp/view_community.pl?id=2305021
2009年01月22日
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