XFROMJAPAN+VIOLET UK

XFROMJAPAN+VIOLET UK

ARTOFLIFE永遠の旅

ARTOFLIFE永遠の旅


art of life


ART OF LIFEの誕生秘話


YOSHIKIが半生を描いたという大作『ART OF LIFE』をリリースしたのは93年だが、実は1989年からその制作が始まっていた。
YOSHIKIは「ROSE&BLOOD TOUR」の最中に倒れ過労性神経循環無力症と医者に診断された。
しかも頚椎脊椎板カリエスという病気にかかってしまう。
とにかく治療のために絶対安静、しばらくはバンド活動から離れざるを得ない状況になってしまった。
メジャーデビューをはたし、観客動員も順調に増えてすべてが順調な時だった。

そんなときに訪れたYOSHIKIにとっての最初の危機。不自由な体をベットに横たえて、YOSHIKIはいったい何を考えたのだろう。
思ったように音楽活動ができないことに対するあせり。崩れてしまいそうな自分の体に対する苛立ち。
ひとは誰でも病気になったときに、人生について深く考えるようになるという。
けっして平凡ではなかった、むしろ荒波のなかの小舟のように激しくゆれ続けてきたそれまでの半生。

『ART OF LIFE』は、そんなYOSHIKIのなかから、まるで泉のように沸き出てきた。クラッシックのような美しい旋律のストリングス。
弾丸のように早く激しいドラミング。
組曲の形で三十分も続く演奏は、まさにYOSHIKIの人生を表現したものだといえるだろう。

それでは、この『ART OF LIFE』の歌詞について深く考えてみよう。
まず第一楽章ともいえる前半部分で、YOSHIKIの置かれている絶望的な状況が表れる。
そこはまるで「砂漠」そのままの、生を感じられない場所である。慈悲となる「雨」さえ降ればと願うが、それも叶えられない。
YOSHIKIはここからの脱出を望んでいるが、ほかにいき場所はない。

続く中盤では、「destroy my mind」、「madness」、「insane」といった明らかに「狂気」を感じさせる言葉がめだつ。
絶望しかない状況の中でYOSHIKIの中に明白な「狂気」が芽生えていたのだ。「狂気」に恐れおののくYOSHIKIの姿。
「狂気」をダイレクトに表した不協和音ばかり続くピアノのフリーインプロビゼイションの後には、「夢」「真実」
といった希望を感じさせる言葉が目立つ。

YOSHIKIは追い詰められることによって、そこについに希望を発見したのだ。
いや、発見という言葉は正しくないだろう。希望を作り出した、というべきだ。

『ART OF LIFE』とは、かんたんに日本語訳してしまえば『人生の芸術』とでもなるのかもしれないが、
ここでは別の意味があると考えなければならない。
「LIFE」という単語が宗教的に使われると、「肉体の死を超越した魂」、あるいは「人生、生まれ変わり」という意味になる。

つまりYOSHIKIは、この作品を思いつき、そして完成させるまでの間に一回死んで、そして生まれ変わったのだ。
歌詞の一番最初と最後にでてくる「ROSE」というのは、YOSHIKIの分身に他ならない。
アメリカで最初に完成されたこの作品には、こんな意味が隠されているのである。



『ART OF LIFE』レコーディングについて


『ART OF LIFE』のレコーディングの最中TOSHIの生活は地獄のようだった。
毎日、毎日、レコーディングのためにスタジオに出かける。しかし、かならずしも録音があるとは限らない。

YOSHIKIは何よりも、精神面を大切にする。したがって気合いが乗らなければ、レコーディングは始まらない。
TOSHIが、せっかくスタジオに出かけても何もしないで帰ってくることもしばしばだった。
YOSHIKIの精神状態の良くないときなど、そんな日が、一週間ほど続く。

しかし、TOSHIはスタジオに到着すると、発声練習をして、いつ、YOSHIKIから声がかかってもいいようにスタンバイしている。
TOSHIはいつでも始められるように、毎日のコンディショニングには充分すぎつほど気を使っていた。
YOSHIKIの気合いが乗って、TOSHIがブースのなかに入ると、簡単にその日のレコーディングの曲を一回通して唄ったあと、
ひとつのフレーズに取りかかる。

CDの歌詞カード、一行分くらいを何度も何度も繰り返し、唄うことになる。
先にも触れたが『ART OF LIFE』はすでにYOSHIKIの頭のなかではすみずみまで曲が完成していた。
YOSHIKIはそれを形あるものにするために、どんな音がほしいのか、充分すぎるほどわかっている。
しかしTOSHIはそうではない。何度も何度もYOSHIKIの気に入るフレーズが出るまで歌い続ける。

XJAPANの曲は、TOSHIの声に合わせて曲のキーを設定している。
しかしこの時ばかりはTOSHIの精一杯の声の高さよりも、さらに高い声が要求されるフレーズが、何度か出てきてしまった。
YOSHIKIは、もちろん曲のキーを下げようとはしない。このままでは『ART OF LIFE』は完成しなくなってしまう。

そこでTOSHIの取った方法は、医学的な方法を使って無理矢理高い声を出すというものだった。
医者に声帯を広げるための注射を打ってもらい、声が出る形にしたのだった。
この注射は直接ノドに打ち込むというもの。成分になにが含まれているかはわからない。
実際に注射のあとは、頭がポーッとしているような気がするという。

しかし、とにかく注射さえ打てば、一瞬でも声が出るようになる。
ドクターをスタジオに待機させ、いざとなったら、この注射を打ってレコーディングを続けられるようにした。
注射を打つのは一日に三回が限度。実際に声を出すことの出来るのは、せいぜい三時間。
それをすぎるともう声は出なくなってしまう。うまくいかなければ、数日後にまたやり直し。

実はこの注射、とにかく声が出るようになるが、それ以外の副作用については、わからないところがたくさんあるものだった。
TOSHIにしても、どんな副作用がおそってくるか精神的にかなり恐かったはずだ。
ひょっとしたら一回注射を打つごとにノドに大きなダメージを与えているかもしれない。
しかしそれでもTOSHIには、注射を打つしか方法はなかった。

YOSHIKIだって、自らの体をボロボロにしながらドラムを続け、精神が病むほど自分を見つめて曲を書いているのだ。
まさしく倒れるのが先か、レコーディングが終了するのが先か。スタジオには、沈痛なおももちのムードが漂っていた。
このARTOFLIFEが完成した時にはお互いに涙を流しながら抱き合った。
そしてYOSHIKIがスタジオを破壊した事は有名である。
それほどこのARTOFLIFEの凄さが伝わる作品である。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: