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堀井学物語
堀井学(Horii manabu 33歳)は、冬季五輪3大会連続出場、世界大会通算27回優勝を
誇る元スピードスケート選手として有名です。
【生涯成績】
世界大会:優勝27回 2位20回 3位22回
世界記録:3回 日本記録:4回
500m自己記録:34秒90
1000m自己記録:1分9秒25
2005年5月28日(土)14:00から表参道の東京ウイメンズプラザで
『堀井学 目標達成 講演会』があり参加しました。
2時間10分にわたり感動したすばらしいお話しをお聴きすることができましたので、
お福わけをいたします。
よいと助言されたことはそれを信じてトコトンやる。おじいちゃんの教え通り、野球をめざし、
横綱めざし、スケートをめざした。
やる以上、頂点をめざした。お母さんの苦言にも立ち向かい、高校の監督・コーチの
助言もすべて吸収した。
素直で、努力の手を抜かない天才だと思いました。
そして、ビジョンもすばらしい。
私も負けないように練り直します。
堀井学からのメッセージ
夢と目標を持って自分を信じて顔晴(がんば)ろう。
◆登場前にビデオが流れる
堀井は、98年の長野五輪ではフラップスケートに対応できず惨敗した。
だが96年、97年のワールドカップでは総合優勝を果たしている他、
97年の世界選手権でも優勝している。
「また堀井か」と思えるほど堀井無敵時代があり、長野五輪ではもがき苦しむ姿があり、
その後、また世界チャンピオンに返り咲いている。
◆おじいちゃんっ子だった私は、幼児体験でおじいちゃんに基本的な考え方を叩き込まれた。
野球好きのおじいちゃんから野球道具をプレゼントされた時、
「学(まなぶ)、将来はプロ野球選手をめざせ。」
「おじいちゃん、そんなのムリだよ。」
「一生懸命やればなんでもできるようになるんだ。」
◆「いいぞ、今のはいいぞ、プロ野球選手になれるぞ。」
いつしか洗脳されたように、小学1年の時の夢は「プロ野球選手になる。」
◆小学生のある時期、ものすごく肥りはじめた時に、相撲好きなおじいちゃんは、
「学、おまえはやっぱり横綱をめざせ。」
「おじいちゃん、ムリだよ、あんなに大きくなれないし、強くもなれない。」
「一生懸命やればなんでもできるようになるんだ。」
相撲大会で2回戦まで勝った時に、
「学、おまえは横綱をめざせる。」
「一生懸命やればなんでもできるようになるんだ。」
「わかった、横綱をめざすよ。」
と、素直に横綱をめざしはじめた時もあった。
◆そんなある日、通っていた小学校にスケートがとても速い子供が転校してきた。
その子に速い理由を聞くと、「少年団に入って練習している。」という。
あこがれて、「僕も少年団に入ってスケートで速くなりたい。」と思って家族に話すと、
スケート靴を買うお金がない、といわれた。
そこでおじいちゃんに相談すると、
「学、スケート靴はおじいちゃんが何とかしよう。そして将来、オリンピック選手、日本代表を
めざそう。」
「おじいちゃん、そんなのむりだよ。」
「一生懸命やればなんでもできるようになるんだ。」
◆小学校卒業のときに書いた作文「ぼくの将来のゆめ」は、
オリンピック選手になりたい。黒岩選手も橋本選手もみんな努力してオリンピック選手に
なったので、ぼくもがんばってオリンピック選手になりたいと書いた。
それはおじいちゃんの教えの影響だった。
作文の内容については、友達からも先生からも誰からも何にも反応がこなかった。
おじいちゃん以外、誰も信じてくれなかった。
◆「スケートなんかやめよう。」
中学に入って人生が変わるほどのすばらしい恩師と出合った。
記録が伸び悩み、焦りを感じる自分に向かって、
「おまえは柔らかいフォームと柔らかいバネを持っている。きっとよい選手になる」と、
いつも励ましてくれた。
この恩師の励ましがなかったらスケートはやめていた。
そして、高校進学について先生と親との三者面談の時期がきた。
◆進路指導の先生は「堀井はFランクだから行ける高校はここかここだ」という。
でも私は、全国からスケートのエリートが集まる日本一の「白樺学園」に入りたいといった。
母はそれを聞いて、「あんた何を馬鹿なこといっているの、あんたに行けるわけがない。」
と激しく怒った。
父にお願いしても、父は、「学、スポーツでメシは食えん。」。
その瞬間、私の夢というお皿は、こなごなに砕け散ったように思えた。
スケートから遠ざかり、無目標でダラダラした生活をおくっていた。
◆おじいちゃんが見ていて、叱られた。
「おまえはたった1回の親の反対にあって夢を諦めるのか?」
「わかった、おじいちゃん。もう1回父にかけあってくる。」
一生のお願いがあると土下座して訴え、父も根負けして、
「わかった、学。おまえがそこまでいうなら行かしてやろう。ただし、条件がある。
次の大会で16位以内に入って全国大会に行けたら白樺学園を受験してもよい。」
◆うれしくなって母にそれを報告に行くと、
「おまえが16位以内に入れるわけがない。もしそんなことが出来たら、ハダカで
逆立ちして町内一周したる。」といわれた。(いまだこの約束を実行していない。)
500mではトップ選手の転倒に巻き込まれて転倒、残りは不得意な1500m
なので諦めていた。
恩師である監督が、
「まだ1500mが残っている。可能性に挑戦しろ。」
気を取りなおして準備してでたレースは厳しかった。
最後の最後まで諦めなかったので、百分の16秒差で16位入賞を果たした。
このレースで、一番苦しい時に頭に浮かんだのは、「お前にはムリだ。」という
母の顔と声だった。
母は後日、おまえの神経を逆なですることで奮起を期待したのだ、と笑っていた。
母にも感謝しなければならない。とにかく私は両親との約束を果たし、
白樺学園を受験させてもらえることになった。
そして、無事、入学試験に合格した。
◆ところが入学式に行き、スケート部の集まりに参加して愕然とした。
日本全国から速い選手が特待生として集まっている。
自分より早い女子選手までいた。
どうやら試験で入ったのは自分だけのようだ。周りはみんな自分より速い。
すごい所へ来てしまったと焦り、不安になった。
気後れして暗い気分のなか、監督の挨拶が始まる。
「みんな、入学おめでとう。ところで、君たちの夢と目標は何だ。
出したいと思っているタイムを紙に書いてベッドの上に貼っておくように。」
という訓示があった。
◆宿舎に帰り、さっそくカレンダーの裏側に『43.0秒→40.0秒』と書いて貼りだした。
1年間で3秒もタイムを縮めようという目標だ。
ちょっと欲張りすぎたかなぁ、と思っていたが、いつもこの紙を見ているうちに、
絶対やるんだという気持ちに変わっていった。
そして、1年生で40.0秒を達成。2年生でも同じように『38秒7』と書き、それを達成。
3年生でも『38秒2』と書いてそれをクリアした。
◆白樺学園の2年後輩で、金メダリストの清水選手や、Fさん、Kさんなど
世界で活躍した人は皆、監督の指導通りに目標を紙に書き、壁に貼って記録を達成している。
ところが、そんな単純なことすらやらない選手もたくさんいたのは意外だった。
◆今でも忘れられないエピソードがある。
それは高校1年生の時、1軍が参加しない地域大会で私が予選落ちした時だ。
周囲で予選落ちするような選手はほとんどいない。
ペナルティとして、先輩の道具運びはもちろんの事、歌ったり踊ったりしなければならない。
それはもう、みじめな気分で宿舎に戻った。
そのあわれな私の姿を監督とコーチが部屋から見ていたのだろう。
部屋に戻るなり電話があり、「今すぐこい。」と呼び出しがあった。
◆「お前みたいな選手はいらない。もう辞めろ。」と言われるに違いないと思って
覚悟して部屋をノックした。
入室するなり、監督から
「堀井、悔しいか。」と聞かれた。
緊張して足をふるわせながら、「はい、悔しいです。」と答えるのがやっとだった。
すると監督は意外にも、
「おまえは、何の目的で入ってきたんだ。日本を代表する選手になるためにここに
きたんじゃないのか?」
といわれた。予想外のコトバだ。しかも、それに続いて
「堀井、一生懸命がんばれ、あきらめるな。」といわれた。
◆自分はダメだ、と思っていた矢先のこのコトバに感極まってお礼をいい
部屋に戻ろうとした。すると、となりにいたコーチから、「堀井、一緒に風呂入るぞ。」
といわれた。
風呂に入って、コーチの背中を流していると、「おまえも反対になれ」という。
なんと、コーチが私の背中をやさしく流してくれ、こんなコトバをいってくださった。
◆「堀井、おまえが一生懸命やっているのは、オレにはわかる。お前は特待推薦で
入部したのではない。他の選手と同じことをしていてはダメだぞ。他の選手より努力しろ。
他の選手より知恵を使え、盗め。努力に勝る天才はいない。
オレは、おまえに期待しているからな。見返してやれ。絶対に諦めるなよ。」
監督とコーチが先に上がってから私はブワーと涙があふれてきて、
「絶対に速くなってやる。」「恩返しのためにも速くなってみせる。」と強く心に誓った。
もし、あの時「おまえなんか辞めてしまえ。」っていわれたら、本当に辞めていたと思う。
愛情溢れる励ましほどパワーがあるものはない。
◆速い選手のマネをする。速い選手に聞いて教えてもらう。他の選手の倍は
トレーニング、練習をした。
◆努力のかいがあって高校2年でインターハイに使ってくれ、優勝できた。
努力はウソつかない。
努力はあとからついてくる。
帯広白樺学園インターハイ500mで2連覇できた。
◆日本体育大学に99.9%行くことが決まっていた時に、専修大学の
黒岩監督が見えた。
「堀井、おれと一緒に世界をめざさないか。」
この一言で専修大学に行くことを決めた。
すばらしいリーダーのコトバは人を引きつける強烈なパワーがある。
専修大学インターカレッジ500m3連覇
◆そして、王子製紙に入社して競技活動を継続
94年 リレハンメル五輪 500m銅メダル
96年 ワールドカップ500m総合優勝 1000m世界記録
97年 世界選手権500m優勝
97年 ワールドカップ総合優勝
◆期待された長野での惨敗。正直、「もう辞めよう」と思った。
静岡の小学校から励ましの手紙と手作りの金メダルがダンボールで届いたりした。
「1回くらい負けたくらいで何だ。」
「逃げたらあかん。」
「このまま終わっちゃダメだ、一生後悔する。」
「もう一度勝負したい。」と固く決意した。
◆会社を辞めてプロ宣言して背水の陣をひいた。
反対者だらけ。妻と清水などのトップ選手だけが賛成してくれた。
ソルトレイクに向けての行動計画を作り、消化していった。
01年 ワールドカップ500m優勝 総合4位
02年 ソルトレークシティー五輪500m出場
さらなるモチベーションが生み出せず引退を決意した。
◆今まですべて自分で決めて生きてきた。
これからもそうする。
自分の経験を伝えるために指導者を育成する事業を興した。
苫小牧に在住
講演活動
北海道教育局非常勤講師
白樺学園スピードスケート特別コーチ
サクセス ダイナミックス 北海道 代表取締役など、
多方面にわたって活躍中
◆指導者に望む7箇条
1.選手以上の夢・目標があること。
2.自分の指導能力を信じていること。
3.選手の能力を信じていること。
4.試合の負けや失敗はすべて指導者の責任であることを認める。
達成した成果は本人の努力である。
5.選手以上の向上心を持っている。
6.人間の最も強い欲求は他人に認められたいという欲求であることを知っている。
7.才能・能力のある者だけが夢・目標を実現するのではなく、夢・目標を持ち自分を信じて
挑戦した者だけが一歩一歩段階を追ってその夢・目標を実現していく。
著書
終わりなき挑戦
◆堀井学のビジョン
2010年(38歳) 有限会社サクセス ダイナミックス 北海道を株式会社に 社員30名
2015年(43歳) 政界に進出、大臣をめざす
2025年(53歳) 参議院比例区で立候補して当選
2030年(58歳) オリンピックスポーツ・アマチュアスポーツを改革する
北海道オリンピックを誘致する
スポーツ選手のセカンドキャリア創りを改革する
2045年(73歳) 文部科学大臣を務め、政界から引退
2050年(78歳) 勲一等を天皇から頂戴する
2060年(88歳) 妻に看取られ、いい人生だったとお前と出会えてよかったと88歳で永眠
2072年(100歳) 天寿を全うしてから12年後、功績が称えられ故郷・室蘭に銅像が建つ
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