◆◇◆色（いろ）・彩（いろ）日記◆◇◆

金銭◆お金との付き合い

　そもそもは、私の育った家庭では、お小遣いをあまりもらえなかったところにあります。当時は“我が家は貧乏なのではないか”と思っていたのですが、大きくなって、私の両親が子供にあまりお金をかけたくない性分の持ち主であったことを知りました。そのうえ、母は管理したがる人でしたから、私が「欲しい」と言ったものを買ってもらえることはありませんでした。
　そのため、幼いころから「何とかして欲しいものが買いたい」気持ちが募っていたのでした。

稼ぐことが目的だった10代

　「稼ぐ」ことのキッカケとなったのは、「高校への数学」という雑誌の投稿欄でした。幼い頃インド人のベビーシッターに育てられたお陰か、数学は得意でしたので（バンビ614さんのページにもそれを匂わすことを書いちゃいました…汗）、「高校への数学」に懸賞問題の解答を投稿してみました。運よく解法投稿欄に掲載され、図書券（だったと思う）をもらえたことから、稼ぐことが楽しくなってきました。
　投稿しているうちに、「次回はもっと分かりやすく説明しよう」と思うようになり、解法の書き方もプロっぽくなってきました。そうこうしていると、「数学の解法をエレガントに説明できる学生がいる」との評判が伝播するようになり、中学3年生のころには、進学雑誌や参考書などに数学の解説を（ゴーストライターとして）執筆するようになりました。同時に、いくつかの学習塾からスポンサーの話が来るようになり、中学後半からは塾には特待生として行けるようになりました。
　そのうち、「他のジャンルでも稼いでみたい」という欲が出てきました。10代後半からは、NHKをはじめ、いくつかのテレビ局の学生レポーター、読者モデルなどをしはじめました。当時は、芸能人を間近で見られることが楽しくて、それに芸能人と掛け合いができることが嬉しくて、無我夢中でやっておりました。懸賞論文も「自分のお金で旅行ができるかもしれない」と応募するようになりました。運よく、ほぼ百発百中で入賞できたので、20代前半までの旅行は全て「懸賞論文等で得た景品」という状態でした。
　それらのことと併行して、高校からは、夏休みや冬休みに長期間のバイトをするようになりました。扶養家族から外れる寸前ぐらいまで稼いでいた気がします。

　今思うと、自分を評価してくれるものが欲しかったのでしょうね。私の親が「子供は褒めない」方針の人でしたし、いじめられっ子でしたので、10代までは自分を褒めてくれる人が周囲にいませんでしたから…。
　「お金を稼げる」イコール「自分には価値がある」と思うことで、ハードな境遇に耐えていました。稼ぐことは生き甲斐に近かったのです。

お金で「自由」を得ることを知った20代前半

　10代後半からの「稼ぎ口」のうち、稼ぐたびに面白さが増したのが、レポーターの仕事でした。いろんな経験ができるうえに、それを語ることで稼げるというのは、本当に楽しかったです。また、現場のスタッフの方々や、番組でご一緒した芸能人の方々からも「マスコミに向いている」と言われ、何とかもおだてりゃ…で、大学以降はマスコミ志望となりました。10代からの執筆経験がものをいったのでしょう、マスコミ専門学校の類には通わずに（特待生としては通いました）、思い通りのところに就職することができました。そのお陰で、ときどき各地のマスコミ塾や文章塾などの講師として呼んでいただけるようにもなりました。

　入社3年目には、10代の頃からの収入と合わせて、1000万円を超える貯金をもつようになりました。
　そして、その約1000万円は、その後1年半あまりで使い果たしたのでした。

　入社3年目に私は人生の大きな節目を迎えました。結婚です。結婚では、海外挙式の費用や招待客の旅費、国内披露宴での諸費用など、かかる費用の全てを、元夫と私の二人でまかなうことができました。自分で払うのですから、自分の好きなことを思う存分にできたと思っています。
　そして、出産時は好きな病院で産むことができました。お友達のなかには「夫に気兼ねするから」と、安い産院で産む人がいましたが、私はそうしたくはありませんでした。最高の医療設備と接客（病院は接客業だと思います）が望める病院で産もうと思いました。出産には、妊娠中の健診や入院を合わせると、約200万円かかりましたが、母子二人の命がかかることですから、決して高いとは思いませんでした。
　さらに、離婚――。私に収入があったせいか元夫は働かず稼がない人となり、しかも封建的な振る舞いをしてきたため、私は産後すぐに別居し離婚協議に入りました。ここでも、自分一人で自分と子供ぐらいは養っていける自信がありましたので、迷うことなく離婚できました。育児休業中で無収入でしたし、離婚時に相手が欲しがるものをあげたため、離婚したては裸一貫に近い状態でしたが、20代前半までの貯金があったお陰で、生活を立て直すことができました。離婚記念に、憧れていたセブンチェアやFORMAソファを買ったりしました。
　育児休業中は、どうせだから自由を満喫しようと、時々子供を預けては、フィニッシングスクールに通ったり、茶道の免状を取ったりしました。それも、金銭に余裕があったからできたことです。
　この時期、面白半分にフリーマーケットにも一度だけ出店してみました。ですが、他の出店者が“もう着られない”ぐらいほつれたボロボロの服を出品していたり、お客さんに“安ければ何でもいい”感覚の人が多かったりしたので、二度と出店もせず客にもならないことにしました。今では、着られなくなりそうなものは、まだもう少し着られそうなうちに知人にあげることにしています。

投資感覚が芽生えた20代後半

　育児休業が終わり、会社に復帰した私は、それまで以上にお金のことを考えるようになりました。新しく配属された部署が、経営に直轄していたからです。お給料は、会社が自分の働きに対して払ってくれるものであるということを強く感じるようになりました。「会社員である間は、給料に見合う以上の働きをしよう」と思うようになりました。

　そして、少なくとも子供が独立するまでは、「稼げる人材」でいなければならないとも思い、お給料のうちある程度は自己投資に使おうと思うようになりました。
　自己投資としてまず使ったのは、パソコンでした。以前の部署ではMac.を使っていたのですが、産後配属された部署ではWindowsのみでした。そのため、まずはパソコンを人並みに使えなければ仕事になりません。急いで自宅用にパソコンを買い（それまでのパソコンや周辺機器は離婚時に元夫に取られました）、一夜漬けでWordやExcelの基本操作を身体にたたきこみました。
　同時に、ビジネス書を大量に購入しました。最低でも顧客と経済について対等に話せる人間になりたいと思ったからです。今でも、ビジネス系と経済系の書籍には、毎月3万円ぐらいを使っています。
　そして、化粧品やファッション関係も、自己投資と思っています。趣味◆個人活動の愉しみコラムにも書いたように、ファッションやメイクは自分をプレゼンテーションするためのものだと思うからです。自分をエレガントかつ知的に見せる服や化粧品を選ぶようにしています。

　この頃から、「投資」という概念が自分の中で確立されてきました。
　20代後半ともなると、起業する友人が増えてきました。そこに、少しでも資本参加することで、応援したいと思うようになりました。

種まきをしはじめた30代

　そして最近は、「自己投資」をしています。
　その一環がマンション。作家稼業も将来事業の一部と考えているので、休憩所兼アトリエ兼ゲストハウス兼将来の住居として（数字を苦手とする女性作家などからゴーストを頼まれることが多く）、マンションを買いました。今は休憩所（仕事が遅いときに泊まる）とゲストハウスとしての使い方がメインですが、将来的にはアトリエ機能を充実させていきたいです。

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