番外編(恋②)

【高校２年のあたしの恋～後半～】

家に帰ってから、今日あったことを良美にメールで報告した。しばらくすると、良

美から電話がかかってきた。「ビックリしたよ・・・。キスとか冗談で言ってたけ

ど、ホントにすると思わなかった・・・。　明日行っちゃダメだよ！！ハッキリ言

って、先輩、ともちゃんの事好きじゃないよ。明日行ったら絶対エッチするよ。エ

ッチって、お互いが好きな人同士じゃないと意味ないって。」。あたしは、良美の

言うことに全て「でも～～だよ」と返し、先輩を良い方に持ってった。でもホント

は、わかってた。先輩があたしじゃなくて「女の子」を見てるってことも、明日行

ったらセックスするってことも。だけど、あたしはどうしても明日行きたかった。

だから、良美に何を言われようと、関係なかった。絶対行くつもりだったから。　

次の日、学校で良美にまたいろいろ言われたけど、あたしの考えは変わらなかっ

た。良美をなんとか説得して、待ち合わせ場所に行き、先輩と合流した。そのま

ま、例の先輩のお兄さんの家に行った。倉庫代わりの部屋と言っていたので、どん

な部屋だろうと思っていたけど、ほんとに狭いアパートの一室だった。４畳くらい

かなぁ。でも、普通に生活できるような感じ。冷蔵庫もあるし、ラジカセもある

し。先輩が出してくれたお茶を飲む。なるべく、雰囲気が出ないように、あたしは

歩き回って、部屋に置いてあるいろいろな物を見ていた。ふと、先輩の方を見る

と、窓のブラインドを閉めている。ヤバイ・・・。きた・・・。先輩は腰掛けて、

こっちおいでよと言う。あたしは、先輩の横に座った。「僕、結構筋肉ついてるん

だよ。ほら。触ってみて。」笑いながら言う。笑いながら先輩の肩に触れる。キ

ス。ディープキス。歯がこつこつ当たる。抱き締めあう。押し倒される。触られ

る。太もも・・・あそこ。　その瞬間、あたしは先輩から離れた。ダメだ。あたし

は、この人とはセックスしちゃいけない。直感的にそう思ったから。「先輩・・・

あたしのこと・・好きじゃないでしょ？ヤリたい・・だけじゃないんです

か・・・？」「そんなことないよ・・。好きだよ・・・。」笑っちゃいそうになっ

た。先輩、あなた演技ヘタすぎ。そんなセリフ、誰が聞いても嘘だってわかるよ。

　その後、また抱き締められた。キスされそうな感じだったけど、あたしは拒ん

だ。だって先輩、すごくこわい目をしてたから。野性の目。いつもの優しい先輩は

、どこ行っちゃったんだろう。あたしはその先輩がすごく好きだったのに。　数分

後、先輩は時計を見て、あたしから離れた。「あ、ここの屋上から見る夕日がすご

いキレイなんだよ。行ってみる？」何事もなかったかのように、そう話す。あたし

は、頷く。屋上へ行く。夕日がホントにキレイだった。夕日が沈んだ後、先輩と部

屋に帰ってコップを洗って部屋を出た。駅まで歩いているとき、先輩は、ほとんど

喋ってくれなかった。あたしは、もう、昨日のように、先輩と手を繋ごうとはしな

かった。先輩とは少しだけ距離を置いて歩いた。５０センチも、５０キロも同じだ

と思った。セックスしなくてよかった。　先輩と別れた後、良美に電話した。心配

をかけたことを謝り、その日のことを全部話した。　電話を切って、なぜか一人で

栄に行った。　あたしの恋は、氷のように溶けてなくなってしまった。

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