7.
入院当初39℃以上の発熱が 三日三晩繰り返した。
同室の人がびっくりするほど、うなされ浅い呼吸になっていた。
じっとしていられないほどで、奇妙な夢を見た。
ベッドの傍に 見慣れた服装を着て立っている男性。
じっと何も会話は交わさなかったけれど、すぐにわかった。
あの服装は夫の葬儀で棺に入れた お気に入りの服装だった。
また別の日、夢を見た。
夫と二人いつも乗っていた車で出かけていた。
信号のない交差点で、不意に横から飛び出した車。
私達は大きくハンドルを切る刃目に・・・
その運転者に向かって、車から降りて私はその人に話していた。
「ちょっと、気をつけてよ…!
今私が事故で大変な目に会う事は出来ないの。
これから、3人の子供を育て上げなきゃならないんだから・・・」
そんな事を叫んでいた。
一緒に車に乗っていたはずの夫は、いつの間にか
ずっとずっと先の方にいてこちらを見ていた。
会話は一切なかった。
もし夢の中で事故にあい、危険な状態だったら
一緒に連れていこうとしたのだろうか?
それともこっちに来てはいけないと、別れに来たのだろうか?
熱にうなされてみた幻夢なのか?
生前は・・・
休日というと、必ず一緒に出かけていたものだった。
その後熱は下がり、入院生活も特に心配していた手術もしないですんだ。
次ページへ