インディー(49)




「祇園のit’s・・」

「もしかしたら、いっぺん連れて行ってもろたことがあるわ。もみじがとてもきれいな季節やったような」

「桜もきれいやで。」

「芸能関係御用達で、女優さんとかが良くおしのびで来てるよ」

「でも、ずいぶん高かったような・」

「そら、当たり前や」


噂のハセ氏登場。

以前、会ったときは、超ロンゲでカクテルをシェイクしていたが、久々に会ったハセさんは、髪をバッサリ切り落とし、真っ赤なジャケットを羽織って、まるでルパン三世の風情。


「やぁ、ひさしぶり!ずいぶんスッキリしましたね」


「えぇ、まぁ」と歯切れが悪い。
まだ頭が回っていないようだ。と、言うか、私の声が二日酔いの頭に響いてしまったか?

無理もない。昨日は週末稼ぎ時。まして、花見の観光シーズンまっさかり。

おそらく朝7時ごろまで、働いていただろう。

オーナーというのは、売り上げの締めの作業を行わないといけないから、他の従業員より1、2時間は就寝時刻が遅くなる。


「こちらルーンのママのキヨミさん、それから、飲み仲間のヒロトとナオミ」

ヤベの携帯に電話したら、今、起きたばかりだと言う。

「ハセさん、もう来てはるで。先に始めとくわ。」


まず、一本目は、シャンペン、ロゼ、ブリュット。

作り手は、スーサという家族経営の小さなドメーヌ。

これは、富山にある酒屋おおさきが主導権を握って輸入している。


この日の酒は、実はすべて先週、富山で仕入れて来たものばかり。


先週のコート・ドールでのナオミとの編集会議の翌日、朝から北陸道をすっ飛ばして、酒を仕入れて来たのだ。


富山までわざわざ行ったのは、それなりに理由があった。


(つづく)



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