インディー(138)



「なんで、そんなに受けるの?」

「ククククッ・・」

笑いころげて返事にならない。

なんで、こんなに受けるのか不思議でならなかった。


「そろそろ行こうか?」


「エッ、まだ6時前だよ」

「時間あるから、先にLOVE FMも行っておきたいんだ」

「さっき落ち込んでたのに、もう回復したの?」

「回復が早いのがオレの取り柄」

「そんな感じ」

南森町から地下鉄で梅田へ。
そして梅田から阪神で西元町まで。

薄暗がりの街を南へ。

ビルに入っても閑散としていて、「ほんとにここに局があるのか?」と疑ってしまう。

階段を上がって局の入り口にたどり着いても、受付嬢も警備のおじさんさえもいない。

中に入ると2、3人の男女が立ち話をしていた。

「あのぅ・」
と、おそるおそる話しかける。

「はぃ?」

と怪訝な顔で振り返ったのは、気さくでオジサンっぽいオニイサン。

「なにか?」


「あの、インディーズの新人ユキのプロモーションでおうかがいしたんですが、制作部の方はおられますか?」

「え?制作部?」
と言いながら、居合わせた仲間と顔を見合ったあと

「それじゃ、ぼくが受けておきますよ」

とオニイサン。

ユキを前に押し出して挨拶させる。

「ユキです。よろしく!」
とぎこちない挨拶。

名刺とデモテープを渡す。


今度は、私の番。

こちらは、私が始めたばかりのフリーペーパーでして、よろしければ、みなさんでお読みになってください。

「はぁ」
とオジサンは面食らっていた。

立ち話をしている間中、奥の事務所の方から、バカ笑いの声が響き渡っていた。

LOVE FMを引き上げ、BONOに向かう道すがら、ユキと話す。


「オレ、LOVE FMが一番気に入ったわ」

「あたしもー」

「おんなじFM局でも、カラーが全然違うね!」

「そうやねえ」


「あー、おなかすいたー」

「もうすぐ着くから辛抱やで」

「BONOってどんな店?」

「イタリアンテイストのバー」

「ほんなら、パスタとか、いろいろあるんや」

「うん、今なら冷たいパスタがうまいよ」


「たのしみやわあ」


ドアをあけるとやっさんが一人カウンターの向こうから、気合いを込めた「いらっしゃいませ」をかましてくれた。


(つづく)


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