Einsatz

4.ヒポグリフの苦難






4.ヒポグリフの苦難









カガリ、シロン、ナジュリアの一行が歩いていると、突然、頭上から声が聞こえた



『おい!お前ら』

『私たちの縄張りに何の用!!?』

「何だ?縄張りなのか?」



その耳を劈くような声の主は、まさに鷲と馬とが融合したようなレジェンズ
それを、どうやら



「そうみてぇだ。ヒポグリフのな」



ヒポグリフというらしい
五、六体ほどが宙に浮かび、追い出さんばかりに攻めてくる

「…現物を見るのは初めてだ」

「うん」

「俺と同じ。風属性のレジェンズだ」



シロンがヒポグリフ達を凝視しているカガリとナジュリアに軽く補足説明をする
しかし、それも束の間、



『おい!聞いてるのかお前達!』

『入ったからにはただじゃすまされぬぞ!!』

「どうするってんだよ」



シロンが為す術無しとでも言うように、呆れ顔でヒポグリフ達の行動を見る



『こうするのよ!レストトルネード!!』



ヒポグリフたちが一斉に技を発動し、風を巻き起こす
その風はカガリ達の体に纏わりついた
ナジュリアを除いては



「ナジュ!」

『こいつは俺達が貰ってくぜ』

『ちょうど良い生贄さ』



そう言うと、一体のヒポグリフがナジュリアの両腕を掴み、空高く舞い上がる
そして、他のヒポグリフもそれに続き、森の中へ入って行った
ヒポグリフの群れはナジュリアを連れて飛び去った



「ちっ…」



カガリはナジュリアが連れ去られた方を見て、舌打ちをする



「ヒポグリフは本来、あんな性格じゃねぇはずなんだが…」

「…で……よ」

「サーガ…?」



ボソリと呟いているカガリを不審に見るシロン



「……なんでナジュなんだよ」

「お、おい」

「ナジュを取り戻しに行くぞ」



カガリは怒っていた





>>>





「もう!いい加減降ろしてよ!!」

『だーっ!うるさい!!』

「……降ろしなさい!!」

『お前こそ、いい加減にしろ!』



ナジュリアはヒポグリフに掴まれたまま空中移動していた



「だいたい何で私なのー?」

『あ?金髪のやつぁ、この国の姫様だろ?だから、お前くらいがちょうどいい捧げものなんだよ』

「捧げもの?誰に?」

『オーガだよ。オーガのジェイムズ』

「オーガの、ジェイムズ?」

『あぁ。"人食い鬼"って呼ばれててさ、同族性でも恐れる巨人さ』

『あいつは僕達の縄張りを荒らすんだ』

「それ、もう少し詳しく教えてくれない?」

『…実は……』



少し躊躇ったあと、ヒポグリフ達はポツリポツリと話し始めた



『数週間前からオーガ…ジェイムズが俺達の縄張りを荒らし始めたんだ』

『何度も、何度も……』

『私達は戦うことを決意した。でも、属性の相性も悪く、あっさりと負けちゃった』

『ジェイムズは「これ以上縄張りを荒らされたくなければ、代償として生贄をよこせ」と要求してきたのだ』

「…で、それが私?」



察しの良いナジュリアはヒポグリフが言わんとしていることを理解した



『そうよ……』



ヒポグリフは降下し、ナジュリアを地上に降ろした



「…ここは……?」



キョロキョロと周りを見渡すナジュリアに一体のヒポグリフが訊ねた



『お前、怖くないのか?』

「ん~~…たぶん、怖いんじゃないかな?生贄になるんだし…」

『たぶんかよ!』



相変わらずマイペースなナジュリアにヒポグリフ達は警戒心を忘れていた
むしろ、このナジュリアの何もかも包み込むような心の温かさに安らぎをも覚え始めていた

ガサガサ
突然、草むらから音がした



『何だ!?』

「え?なになに??!」



ガサ…ガサガサ…ザサァ!!
音からして、大きなものだと推測する



『誰だっ!?』

「あ、シ……!?…ロンじゃない!!」

「……」





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