Einsatz

9.風の家族






9.風の家族









無事、合流したカガリとナジュリアは風の城の周りを囲む城下町へとやって来ていた



「私、一度、家に戻るね!」



そう言い残してナジュリアは実家に向かって走っていく



「ナジュにとっては四年半ぶりだもんな」

「そんなにか」

「うん。で、私達はどうする?」



カガリはファンロックに問うた



「とりあえず、私達はこのままでは目立つ。何しろ、レジェンズが三体も街中をうろついているのだからな」



ファンロックは言いながら、辺りをきょろきょろと見回す



「まぁ、いいんじゃねぇの?ここは城下町だろ?」

「じゃ、竜王のところに行こう。シルファー、案内して」

「わかった」





>>>





シルファーに案内され、城の前に到着した一行
ファンロックが門番らしき、クラウドジャイアントに話をすると、あっさりと通してくれた
重厚な扉がギィと音を立てて開く



「風の城なんて久しぶりだ」

「んだ?サーガ。前に来たことあんのか?」

「うん。ナジュの両親と、竜王に、ちょっとな」

「着いたぞ」



「竜王の間だ」と言うシルファーの声に足を止めるカガリとシロン
シルファーがその大きな扉を開く



「やっと来たか」



扉を開け、中に入ると、すぐ目の前に一体の巨大なレジェンズが待ち構えていた
ファンロックがそのレジェンズを紹介する



「現風属性竜王のオメガだ。竜王に就任して日は浅いが、様々な面で能力を発揮している」



ふぅん、とシロンは興味無さ気に竜王を見る



「久しぶりだな。ブラック家のお嬢様…カガリ・L・ブラック」

「覚えててくれたんだな、オメガ」

「もちろんだ」



数年来の再会にお互い喜び合うカガリとオメガ
ふとオメガが後方に目をやると、



「シル…っ!?おまっ!!」

「久しぶりだな、オメガ」



驚愕するオメガといささか以上に不機嫌そうなシルファー
その知り合い以上の絆を感じたカガリはすぐ横に立っているファンロックに問う



「どういう関係だ」

「あぁ…あの二人は兄弟だ」

「「はぁぁぁ!!?」」



その驚愕の事実にカガリとシロンは同時に声を発した
たしかに、両極端なタイプの二人を兄弟だと思う者は少ないだろう



「オメガの弟、シルファーは次期竜王候補だったのだ」

「だった…?」

「なんで過去形なんだよ」



今度はシロンがファンロックに問う



「シルファーが断固として拒否しているのだ」

「ふーん…なるほどね」



そんな会話をしている間も、シルファーとオメガは何故か睨み合ったままだった
それを見たカガリとシロンは



「ファンロック。オメガと話すことがあるんだろ?」

「あ、あぁ…まぁな」

「んじゃ、シルファーとオメガを頼んだぜ」



そう言って一方的に兄弟をファンロックに任せ、竜王の間から一時退散した





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先ほど、カガリ達と別れたナジュリアは実家へと足を運んでいた
家の前まで着くと、懐かしい扉の取っ手に手をかける



「すぅー……ただいま!」



大きく息を吸い込み、勢い良く言う
中にいた人間─ナジュリアの家族─は突然の声に驚き、とっさに振り返る



「ナジュ…リア?本当にナジュなの!?」

「ナジュ!」

「お母さんっ!」



ナジュリアの母、カオルはナジュリアの帰還を心から喜び、我が子を抱きしめた



「よく戻ってきたな」

「お父さん」



そう言って今度は父、ギンタが傍に寄ってくる
そして、愛しそうにナジュリアの頭を撫でる



「元気そうで何よりだ」

「お兄ちゃん!」



父の後ろに続いて、兄であるクロウドもやってきた

ピンポーン
束の間の再会を喜んでいるブロウバードの一家に一つの呼び鈴が鳴る
ナジュリアが戸を開けると、目の前にいたのはカガリとシロンだった



「カガリ!どうしたの?皆は?」

「あぁ、ある程度の用事は済んだからな。私もナジュのご家族に挨拶をと思って」



カガリとナジュリアが玄関で立ち話をしていると、そこへクロウドが割り込んできた



「何が『ご家族に挨拶を』だ!!
 俺達がどんだけナジュを心配したと思ってんだ!?
 四年なんて言ったってなぁ、言葉みてぇに短くねぇんだよ!!」



クロウドはカガリの訪問に興奮し、言うだけ言い終えるとカガリを睨みつけた
一方、両親であるギンタとカオルの方はクロウドの突然のカガリの非難に対し、ただ呆然としている



「だから、今日はそのことを謝罪させていただきにきた
 ギンタさん、カオルさん、クロウドさん…そして、ナジュ。本当に──?」



カガリの言葉を遮ったのはナジュリアだった



「カガリは悪くない!悪いのは私なの!!
 あの日、カガリは、私が無理を言ったから、私の我が侭を聞いてくれただけなの!!」



ナジュリアの弁護にカガリは勿論、クロウドまでもが驚いた
しかし、カガリはすぐにナジュリアの側まで歩いて行き、言った



「ナジュ…ありがとう。」



ナジュリアの肩に手を添え、礼を言うカガリ
「でもな」と続ける



「私がしたことは取り返しのつかないことだ。私はナジュの家族から思い出を奪ってしまった
 それは許されるようなことじゃない。私がブロウバード一家に亀裂を入れた…イレギュラーを起こしてしまったんだ」

「カガリ…」



カガリは改めてギンタ、カオル、クロウドの方に向かい直って言った



「本当にすまなかった」



カガリは深く辞儀をして、謝罪の言葉を言うと、玄関口でずっと黙っていたシロンに「待たせたな」と言って、ブロウバード家邸宅を後にした



「カガリ!!」



ナジュリアは急いでカガリを追おうとするもその動きは兄、クロウドによって阻まれた



「何なの!?お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんも!!そんなに私とカガリが一緒にいるのが駄目なの!!?
 カガリは私の我が侭を聞いてくれて、こんなにも私のことを考えてくれてるのに!
 それなのに、カガリに罵詈雑言を浴びせて…恥ずかしいと思わないの!!?」



ナジュリアは目から涙を流しながら抗議した
それに対し、ギンタは

「わかっている。我々も情けないことをした。連合国の代表に大変──」



ナジュリアの抗議に対し、答えようとしたが、ナジュリア自身に遮られた



「わかってない!!全然わかってない!!私が言いたいのは、カガリの身分のことじゃないの!
 カガリは、…カガリは私の親友なの!!」



ナジュリアの迫力に圧倒され、黙り込むギンタ、カオル、クロウドの三人 さらにナジュリアは続けて言った



「私、もう行くね。…今度はいつ戻ってくるかわからないから!!」



バタンと大きな音を立てて、部屋を出ると、再びバタンと大きな音を立てて邸宅を後にした




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