独り言祭り

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リード・マイ・リップス

リード・マイ・リップス ◆20%OFF!<DVD> [ZMBY-1745]
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久々に上質のクライム・サスペンスという物を見た気がする。

まず、女主人公の設定が面白い。ある会社のオフィスで働くOL.美人とはいえないし、髪型、服装も地味。頭は切れるのだが、下働きの仕事しか与えられていない。電話の応対、コピー、書類の整理などを日課としている。

もう若くはない。恋人もいない。友達もいない。会社の中でも孤独で、ランチはいつも一人。

耳がよく聞こえないというハンディもある。まわりに大勢の人間がいるのに、誰も彼女に注目することはない。

およそ物語の主人公にはふさわしくもないような設定であるが、この女性を主人公に据えることによって思いがけないドラマが展開していくことになる。

演じているのはエマニュエル・ドヴォスという個性派。この地味な女性がいったい何をするのか。

会社に彼女のアシスタントとして、若い男性が入ってくる。前科のあるチンピラであり、長髪に革ジャン、ヒゲをはやしている。およそ、オフィスにはふさわしくないが、どこか野生的な魅力を感じる男だ。

彼女は次第に、この若者に惹かれていく。

と、まあそれだけならよくある恋愛物語なのだが、ここに犯罪が絡んでくるのが面白い。

彼女は耳が不自由であるがゆえ、読唇術(題名はここからきている)がある。ある日、二人がレストランで食事をしているとき、彼女が向こうのテーブルにいる会社の仲間の話をすべて唇から読んでしまうので、男は驚く。

その特技を使わない手はない。関係が深まった時、彼女に話がもちかけられる。悪の世界のボスが盗んできた大金をひそかに強奪するという計画だ。悪人から金を横取りするのだから心は痛まない。危険は大きいが、リターンも非常に大きい。

男に惹かれている彼女は、この話に乗る。このまま会社勤めをする日常などもうたくさんだ。

面白いのは、それまで地味で受身だった彼女が、男と知りあうことにより、二人で犯罪を犯すようになることあたりから、生き生きしてくるということ。彼女の方が、犯罪にも恋愛にも積極的になってくる。

最後を詳しく書くわけにはいかないが、彼女の機転と、読唇術という特技がものをいってあっと驚く結末がまっている。弱い女性が、いつのまにか強い女性へと成長している。

この、エマニュエル・ドヴォスという女優が実に魅力的。美人でもないし、セクシーさもないのだが、表情豊か。いいね。

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