独り言祭り

独り言祭り

フォーン・ブース

フォーン・ブース (DVD)
フォーン・ブース (DVD)
現代人にとって必須アイテムとなっている電話―。しかし、今は携帯電話の全盛期時代となっており、公衆電話の需要はないに等しい。そこをあえて公衆電話という題材に注目した点は新鮮だ。

主人公スチュは自称一流メディア・コンサルタント。自慢の口で、クライアントとの交渉などを電話ですませている男。いわゆる人生の「勝ち組」であり、女性関係も豊富。もちろん、浮気もしている。だが、弱者をかえりみないという冷たい男でもある。人には憎まれるだろうが、誰しもこういう男に憧れる時はあるのではないか。

スチュが何気なく歩いている時、ふと公衆電話が鳴る。誰も興味を示さない。しかし、近くにいたスチュはふいに電話に出てしまう。電話が鳴ると衝動的に出てしまう現代人を象徴するかのようなシーンだ。

電話の主は知らない相手。しかし、「電話を切ればお前を殺す」というメセージに妙にリアル感をおぼえる。電話の主は実際に人を殺してみせ、単なる脅しではないことを示唆していく。そして、電話ボックスという密室で犯人との駆け引きが始まる。

今まで自慢の口八丁で、どんなに困難な状況をも打破してきたスチュも、この事態にはあせる。さすがに、言葉でごまかせる相手ではない。

犯人はスチュの家族や愛人を街中に呼び出し、彼の素性を暴いていこうとする。嘘で塗り固められた偽善者であるスチュを裁くべく。警察もかけつけ、事態は急展開していく。しかし、スチュは電話を切れない。犯人と電話しつつ、警察とも話をあわせなければならない。このコリン・ファレルの演技が実に絶妙。

次第にスチュの女性関係、嘘の自分などが暴かれていく。スチュも事態を打開するために、相変わらずの口をうまく使い、警察に犯人の存在を知らせようとする。

その両者の決着は最後につく。犯人はゆがんだ正義感で、スチュを裁こうとする者だった。

電話ボックスという狭い空間でのコリン・ファレルの演技が素晴らしい。というより、この映画ではそれ以外に見るべきところはない。コリン・ファレルが役者としてステップアップした作品と言えるだろう。

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