worry×enjoy

worry×enjoy

僕たちの明日。3話。


何かの音が自分に近づいてくる。それが何なのかもわからない。
(もう俺は死ぬんだ・・・)
祐太は目をつぶり、力を抜いた。
その瞬間、子供が「ほら、このお兄ちゃんだよ」と言う声が聞こえた。
さっきの子供だろうか。
それに続いて、低い声が「ありがとう。おじさんがこのお兄ちゃんを面倒みるからね」
とその瞬間、祐太の体が浮いた。
うっすら目を開けてみると、
50歳ぐらいだろうか、警察官の服を着たおじさんが
自分を抱きかかえ、微笑みかけている。
警察官の手には、赤い液体が流れている。
それが警察官のものではないことはすぐに分かった。
「ふぁ・・・っ」
祐太が「離せよ」と言おうと思った瞬間、
声にならない呼吸の音が耳に聞こえた。
「あ、大丈夫?今からここからすぐの交番に行くからね。安心して休みなさい。」
警察官がまた微笑みかけてくる。祐太は思わず目をそらした。
「君もありがとう。偉いね。おじさん助かったよ。ありがとう。」
警察官はポケットから小さな飴玉を出して
子供に渡した。子供は「ありがとう」と言って手を振りながらその場を去っていった。

「さぁ、行こうか。」
その声が出た瞬間、足が速くなり自然の音など聞こえなかった。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: