書くことの意味

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2004年11月28日
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 エリック・ボッファーの自伝に「運命の極点」という題のエッセイが含まれていた。

 ロサンゼルスの州立無料職業紹介所で臨時のアルバイトを見つけては食いつなぐという生活を続けていたホッファーが、生まれて初めて就いた定職が、ユダヤ人シャピーロが経営する導管倉庫の仕事だった。ホッファーはシャピーロとの間に友情を育み、ここでずっと働くのも悪くないと思い始めていた。ところが、ホッファーが27歳のとき、シャピーロは肺炎で亡くなってしまう。ホッファーは、それが運命の極点のように思えて、1年間、働かずに読書の日々を送ることを決意する。その期間に、残りの人生をどうやって過ごすか考えようと思ったという。

 最初に「極点」という言葉を目にしたとき、その意味がよく分からなかった。頂点なのだろうか、それにしては、言葉の響きが寂しいと思った。今日、70代の友人と会う機会があったので「極点」の意味を質問した。

 「ある放物線があるとすると、その頂点が極点だ。しかし、本当ならまだまだ上り詰められるのに、その段階まで至っていないから、頂点とは言わず、極点と言うのだね」。年上の友人はそう、解説してくれた。ホッファーのエッセイのことは何も相手に説明しなかったのに、その解説があまりにもホッファーの味わった心境にぴたりと当てはまる気がして、はっとした。そうか、ホッファー自身、シャピーロの若死が、とても悔しく悲しかったのだろう・・と思いを馳せた。と同時に、ホッファーの使った単語(どんな英単語か知らないが)に、きちんと「極点」という日本語をあてはめてくれた、翻訳者の中本さんに改めて、頭が下がった。

 今まで、あまりにも思考に走り過ぎていたのでは・・と思った。実際、手や身体を動かすことをせずに、頭だけをぐるぐるめぐらせていたものだから、すぐに行き詰ってしまうのではないか。65歳まで肉体労働を続けながら、読書と思索の日々を送ったホッファーの力強い文体を目の当たりにして、自分の脆弱さを痛感する。これまで、どんな環境にいても「ここは自分の本当の居場所ではない」と、違和感ばかり味わっていたが、そろそろ、自分の場所を見つけて、自分の両足ですくっと立ちたいと、強く願う。





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最終更新日  2004年11月29日 02時19分05秒
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