ザビ神父の証言

ザビ神父の証言

2008.10.21
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カテゴリ: 教育問題
学級の誕生(96)

生徒達との質疑応答を繰り返しながら、生徒達が自分自身で考えるように、誘導していく授業は、当然教え込みの一方通行の授業に比べれば、時間がかかります。それゆえ進度は遅くなりますが、しかし、学んだ知識の定着度は高くなり、思考力が鍛えられることで、創造性や論理性は格段にアップします。

こうした授業を続けるためには、基礎・基本を含めた教材の徹底した精選が欠かせません。すなわち、この言葉がよいかどうかは別として、私が申し上げた「ゆとりの教育」の実現が必要だということになります。

アメリカのフランクリンは、「人間とは道具を作る動物である」と定義した人物としても知られます。彼に先立ち、近代合理主義の父とされるデカルトは、有名な「吾思ふ、ゆえに吾あり」という名句を残しています。

デカルトは大航海時代(15世紀末から16世紀いっぱいにかけて)の様々な発見によって、カトリック神学が定式化した西欧中世の教会的認識が、次々にその根底から覆されていった現実を見て、全てを疑え、疑い尽くす中から真実を見つけることが必要であると思い定めたのでした。そこから彼は、「たった一つだけ、疑い用のない事実がある。それが、あらゆることを疑い、考え悩んでいる自分が、今ここにいるという事実だ」と結論付け、「吾思ふ、ゆえに吾あり」という言葉が、生まれたのです。

フランクリンの言わんとするところは、道具を作るという行為の背景には、こういう道具があると、高い場所の木の実を取ったり、動物を捕らえたりするときに便利だとする思考力が芽生えていること、同時にこんな形にすればという、作ろうという道具の形状が、頭の中にイメージとして形成されているという、二つのことが存在している。即ち、道具を作る行為は、ヒトが考える力を身に着けたことを証明しているのだということです。

ヒトがヒトたるゆえんは、考えることにある。何にも考えないとするなら、それはヒト足りえません。考えることは深ければ深いほど、楽しめる世界が広がると言えましょうか。

それなのにです。とりわけ、共通一次試験(現在のセンター入試)導入頃からの日本の現実は、若者の考える力=思考力を削ぐ方に削ぐ方に進んできたのではないかと言うことです。ひたすら教師の話を聞き、言われたままに暗記に精を出し、考える時間は無駄だとでも言わんばかりの指導は、どこから見ても教育的であったとは、決していえないように思います。ヒトは百科事典ではないのですから‥

ただ誤解のないように申しておきますが、私は、覚えることが不要だとは申しておりません。様々な教科の基礎・基本はしっかり覚える必要があります。富士山を筆頭に名山と呼ばれる山々は、いずれも広い裾野を持っています。脳の中に蓄えられた知識は多ければ多い方がよいことも事実です。ただし、それは引き出しからの出し入れが自由でなければなりません。しまわれたままで、出し入れが出来なかったり、しまったつもりがどこかに漏れてしまっていたのでは、役に立ちません。


                               続く





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最終更新日  2008.10.21 15:28:27
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