こしゃくな読書

こしゃくな読書

負けるが勝ち、勝ち、勝ち!


萩本 欽一 (著)
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 同僚の口から

「財産争いって本当にあるんですね」

という言葉が漏れたとき、そうなの?と思った。


私自身は、母が亡くなった時も、夫の父親が亡くなった時も、

全くそういった趣は感じられなかったからだ。



 「最初は150坪でいいかと言ってきて、冗談じゃないと

断ったら今度は200坪でいいか、と。まだ、不満と言うか」


「ふ〜ん、田舎の財産は土地だからたいへんね」

「そうなんです!銭だったら良かったんですけど!」


ぜ、銭?

この言葉遣いは神様に好かれそうもないなあ。



 「人を蹴落としたり、嘘をついたり、ずるいことをしなければ、

神様はちゃんと味方してくれます」

と欽ちゃんは書いているが、

少しでも財産の分配を釣り上げようとしている人にそのまま伝えても、

意味は通じないだろう。

だから、私の経験談を少々話すことにした。



 「そういうわけで、母が遺してくれた500万円のうち

400万円は身内の借金の返済に、残り100万円は、

離婚して一人身でいる姉に渡すことにしたの」


「信じられない!自分の取り分は主張すべきです!」


「それがね、何年も経ってふり返って見るとそうでもないのよ。

姉はリストラにあって、その時の100万円のほとんどを

生活費に使わざるを得なくなった。

借金を払ってあげた身内はね、流産を何回もして、

結婚話も立ち消えになって精神的に不安定になったり、

いろいろあったわ。今も決して幸せそうじゃないもの。

逆に私なんか、母の不幸で

貰うどころか、お金使ったし、喪主だったし、たいへんだったよ。

でも、一番、今、恵まれているのよね」



「偶然でしょう?」



「私は偶然じゃないと思っている。そういうものかもな、って。

亡くなったおじいさんは田舎の人たちが

大切に面倒見てくれていたんでしょう?

貰うにしても、またその人たちのところに

遊びに行けるくらいにしておいた方がいいんじゃない?」



 彼女に、少しでも運の仕組みがわかりますように。

負けるが勝ち、勝ち、勝ち!なんですから。

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