こしゃくな読書

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デッドエンドの思い出 [単行本] よしもと ばなな(著)


よしもと ばなな(著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4163220100/ref=nosim/?tag=donzoko-22






 妹は若くして夫を失い、多額の生命保険が入ったのだが、

分不相応な暮らしと、二人の男に騙され、

5年後には逆に借金を抱えた。


 正確にいえば騙されたのかどうかというのは、どうか。

一人の男が車を買う時には、一緒に試乗までして、

その場で妹のクレジットカードで支払いをしているわけだから。

「後で振り込むから、とりあえず名義だけ貸して」

と言われて、何で貸すかな?




出頭命令が来た旅館の宿泊、飲食の非払い裁判に関しても、

その取り調べの内容は、姉の私がきいても

そりゃ、一緒に旅行に行って、無銭飲食とは

『知らなかった、騙された』じゃあ、世間に通用しないだろう、

とあきれたものだ。



 とにかく、『頭が悪い妹で申し訳ありません』と、

その場では平謝りするしかないと判断したのだが、

いまだに、そのセリフは妹から恨まれている。


借金払ってやったんだから、いいだろうと思うけどね、本音は。

もう二度と払えないから、よろしくね。・・・って感じだ。

そう言ったら、『冷たいね』と、もっと恨まれた。



悪気が無いのは、罪である。

頭が悪いのは、もっと罪である。



 この短編集の表題作、『デッドエンドの思い出』には

そういうわけで、並々ならぬ因縁を覚えて読んだものである。


え、なに?と思いの方は、この短編集の一番最後の話を

立ち読みでも十分読めるから、目を通してみて下さい。





 ラブストーリーというのは、お金が絡むほど哀しさが増す。

離婚が結婚の三倍の労力を必要とするといわれるのも、

やはりお金が絡むからだ。


妹の場合だって、お金が絡まなきゃ、

結婚詐欺の被害者だの、犯罪者の共犯扱いだの、ではなく

ただの失恋で済んだだろう。


それにしても、こんな風にあからさまに言えるのは

やっぱり時効だからで、痛みも風化してよかったな。






この短編は

「一番好きな小説で、これが書けたから小説家になってよかった」

本人もあとがきで語っている。


ばななさんのこういうコメントは

素直が一番だなと思い出させてくれて、いい。

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