こしゃくな読書

こしゃくな読書

小澤征爾さんと、音楽について話をする


小澤 征爾 (著), 村上 春樹 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4103534281/ref=nosim/?tag=donzoko-22





 感想はこの本の一部に限らせていただくほかはないようだ。

でなければ、500ページの長編感想文になってしまう。


では、213ページの“You do yourself”から。




 マーラーの演奏をする際、感情移入は結果的に出てくる…

というやり方が主流になりつつあるようだ。

楽器のそれぞれの音がしっかり聞こえる演奏だという。

というのも、マーラーの曲は驚いたことに、

AとBという二つのモチーフが同格で同時進行するという。

主従の関係ではなく、まるっきり同じ強さで、だ。

しかも、AとBは全く関係の無いモチーフであったり、

正反対の方向性をもったモチーフであったりする。



 「崩れ方がとにかく生半可じゃない」

「あの時代の大きな役割を果たした創作者は、

カフカにせよ、マーラーにせよ、プルーストにせよ、

みんなユダヤ人です。」


「既成の文化構造に周辺から揺さぶりをかける」


などと、小説家村上春樹はその豊富な知識と語彙で説明する。



 しかし、小澤氏は村上さんのように、

マーラーの曲で溺れかける事はまずない、という。

村上さんが音の脈絡や必然性に首をかしげるのに対して、

「そういう風に物を考えることがない」からだ。


「部分部分に意味を求めるのではなく、

ただ純粋に音楽を音楽として受け入れる」

ということらしい。



 ひゃっほ〜!

声を出して喜んでしまった。

この感覚すごくよくわかるような気がする。

「人に説明するのがとってもむずかしい。自分なりに

その音楽の中にすっぽり入っちゃう」


「論理的にあれこれ理解するんじゃなくて?」


「そういうんじゃないね、ぜんぜん」


いやっほ〜!!!!

こんどはもっと大きな声をだしてしまう。


 すごくよくわかる!うれしい!

「1日に三冊もどうやって読むの?」

と聞かれた時の私のようだ。

いわゆる“速読”というものではない。

その本の中にすっぽり入りこむ。


マエストロもきっと、イメージの人なんじゃないだろうか。


 村上さんは

“小澤語を日本の文章に換えていくのはなかなか簡単ではない”

とまえがきでに言っていたが、こういうことか、と思った。

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