こしゃくな読書

こしゃくな読書

不思議の国のトットちゃん


黒柳 徹子(著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4101334072/ref=nosim/?tag=donzoko-22





 「“鼻毛切り挟み”みたいなものってあるのかな?

大体、鼻毛って何で切るのよ?

どうやら、鼻毛はお肌の手入れコーナーじゃなさそうね…」


私は、いわゆる“ららぽ”の1F奥、「○フト」の

スキンケア商品の陳列棚を前にして悩んでいた。




半年前に発見した鼻の奥の白髪、どうしても抜いてみたい。

だから、「ホワイトリカー・氷砂糖・ハンドクリーム・鼻毛抜き」

という買い物メモを握りしめ、

普段はあまり好きではない大型ショッピングセンターに来たのだ。





収穫は

「どうやら、シリンコンフリーというのが

最近のシャンプーの売りらしい」

という情報。

鼻毛のことはまた今度、ということで隣の書店に入った。



 あ!また来ちゃった…そう、この本

このショッピングセンターに来るたびに目につくので、

ついつい読み進めている。

この日はとうとう、買わないで読み終えてしまった。

立ち読みしながら鼻をすすり、涙ぐんでしまう。





 黒柳徹子という人は、

決してねらった文章や文学的な表現をする人ではない。

淡々と、日々の出来事に過去の経験の回想をからめて、

ストレートに思った通りのことを文にして伝えてくれるだけだ。

ただ、

その経験の質も量も半端じゃない。


 世界には

横から見た幅が5cmしかないほど痩せている子どもたちが

当たり前にいる国々がある。



10歳の時から毎晩複数の兵士たちにレイプされながら育って

「家族で自分だけ生き残ってしまった」少女たちがたくさんいる。





 私にはどうしてもこの本を買って帰れない理由があった。

ある国での、女性に対する「伝統」と言われている習慣。


それはとても恐ろしく悲しく、信じ難く、本を持つ手が震え、

涙が止まらなくなるような仕打ちだった。

そのページを最初に読んでしまったので、それ以来

そっと開いては、少しだけ読み進め、

カナシイ気持ちだけ握りしめて

平台に本を戻して帰らなければ、やりきれなくなってしまうのだ。





 ごめんなさい。きっと、あたし・・・きょうだって

鼻毛の白髪なんて、本当はどうでもよかったんです。


ただ、このひどい「伝統」をはじめとする世界の貧しさを

多くの人に知ってもらわなきゃいけない、と


…どこかでそう言っているもう一人の私がいたのだろう。

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