こしゃくな読書

こしゃくな読書

短編復活 (集英社文庫)


赤川 次郎 (著), 浅田 次郎 (著), 伊集院 静 (著), 北方 謙三 (著),
椎名 誠 (著), 篠田 節子 (著), 清水 義範 (著), 志水 辰夫 (著),
坂東 眞砂子 (著), 東野 圭吾 (著), 宮部 みゆき (著),
群 ようこ (著), 山本 文緒 (著), 唯川 恵 (著),
集英社文庫編集部 (編集)

http://www.amazon.co.jp/dp/4087475174/ref=nosim/?tag=donzoko-22





  自分の都合を押し付けたり、言い訳にしたりするのは、

本当の優しさではありません。

わたしが受けてきた無償の優しさはそんなものではなかった。


そんな奇跡のような、ただここにいる、生きてきた、

という恩を思い出させてくれる短編集でしたよ。




 どこまでが回想なのか夢なのか、現実なのか。

赤川次郎さんの優しさはどこまでも胸に沁みこむ希望と共にありました。



浅田次郎さんの優しさは何回読んでも鎖骨がうずく。

本を閉じてからこめかみがじんとしてきます。

目を閉じるな!瞼を閉じたら泣いてしまう。



 伊集院静さんはやっぱりラストにその優しさがにじみ出ます。


北方健三さん、ハードボイルな優しさって言うのですか?

きっとこれが。



椎名誠さんの示唆に富んだおどろおどろしさは、

やさしい語り口ゆえに戦慄するのです。


篠田節子さんの皮肉な黄泉の国を訪ねて、

記憶とは何より優しいものであることを知りました。

美しい記憶はいつのまにか、ノイズが消されているものなのです。



 なによりもこの短編集を読んでとりこになってしまったのは、

清水義範さんです。これ、すごいね。

手法もすごいけど、義経の優しさがスゴイ。

本当にこうだったのかもしれないと、

私の中で日本史が変わってしまいましたよ。

この先この方の本を探さずには居られません。




 宮部みゆきさんの描く、キリハラさん、優しいです。さすがです。

群ようこさんの描く優しさは、とても『らしく』て

小さく吹き出してしまいます。


唯川恵さん、こういう小説を書く方だったんですね。

つくづく本当の優しさって何だろう、と考えてしまいました。



 何よりのぜいたくは自分の中の

ずるさや逃げや言い訳に気づくことなのでしょう。


そうして、私は本当に優しくできているだろうか。

「生きて」いるのだろうか、としばし自分を思考と言う鍬で

耕すのが癖になることです。


人生はバランスです。




 見せかけの優しさや、イケイケの盛り上がりに疲れたら、

こんな短編集を読んでみるのはいいことでしょう。

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