こしゃくな読書

こしゃくな読書

医者にウツは治せない


織田 淳太郎(著)
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 私が昔努めた会社にパニック障害の女性がいた。

その人が転職するため、仕事を引き継いで教えてくれたのだが、

とてもエネルギッシュな印象を受けた。


その人は『宅建』の勉強をしており、

退職後は「司法書士も目指したい」と言っていた。

こんな前向きな女性がなぜパニック障害?

・・・と不思議な気持ちだった。



 しかし、彼女から聞いた家庭内別居の生活は悲惨なものだった。

二人の子供が生まれるとすぐ、

お互いの愛情は『涸れ切ってしまった』。



彼女が受けるという夫の陰湿な言葉は聞いているだけでも、

気持ちが暗澹としてくるものばかりだった。



「私は嫌われているからひどい仕打ちを受けるのは仕方がないけど、

子どもたちに苦労させるわけにはいかない」

と、結婚生活を続けているのだった。


 帰宅すると大急ぎで家事をこなし、

夫が帰って来る時には玄関わきの3畳の部屋にこもって

出て行かないのだという。

『チッ!』とで舌打ちされるのが嫌だから。

『俺の前に姿を現さないでくれ』とも言われるから。

夫が起きている間は、

トイレに行きたくなっても我慢するのだと聞いた。



 こんな、聞いているだけで涙が出そうな逸話を、

明るく笑顔で語るのである。

それだけで、やっぱりこの人は心の病かもしれない、という気がした。


でもどうしてパニック障害なのだろう?ずっと不思議だった。




 この本に書かれていた記述を読んで

15年ぶりにやっとその疑問が解けた。


「意外に思われるかもしれませんが、

パニック障害で苦しむ人というのは前向きなタイプが多いんですよ」


「不安があることを認めなさいと言っても、絶対認めようとしない。」


なるほど彼女は、

自己イメージを保つ事が何より大切なことだったのだろう。



 これはうつ症状の場合にもあてはまる。

自分の中のうつを本当に受け入れられたとき、

うつがなくなるのだという。




心の自然治癒力を信じて生きる。

これは難しいことではないのだが、

正直に生きる意味を取り違えると、難しくなる。





 感情もまた味わいつくすことにこそ、出現する意味があるのだ。

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