日記

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その4



ある日の診察で実家はどのあたりなのか、聞かれた。

どうしてそんな話になったのかは、わからないのだが、話しているうちにあかねの実家のすぐ近くに医師が学生時代に住んでいたことがわかった。

どうかんがえても数メートルほどしか離れていない家に医師が下宿していたのだ。

あかねは高校時代のかすかな思い出がよみがえった。

あかねが同級生と歩いていた時、少し年上と思われる男性に同級生がすれちがいざま「こんにちは」と挨拶したのだ。

「知り合い?」と聞くと、同級生が答えた。
「あの人、すごく頭がいいのよ。医学部にかよってらっしゃるのよ。」
「へぇ~~。」
「でも、医学部の前は他の学部に通ってたらしいわよ。」
「ふーん。賢いんだぁ・・・。」

そんな会話を交わした覚えがあった。

その数週間後、近所の本屋さんでその時の医学生さんらしき人を見かけた。

半信半疑で(その人なのか確信を持てなかった)会釈をすると、その人も私のことがわからないようだけど、会釈を返してくれた。

恋というわけではなく、優秀な人に対する憧れを持った。

でも、親に「すごく賢い人が近所に住んでるんだよ。」と言うと、きっと、「あなたも、もっと勉強しなさい。」と言われそうで嫌だった。

あこがれてはいるけれど、避けたい対象だった。

「先生はあの時の学生さんなのかも?」

そう思ったら、ますます親近感がわいてきた。そして運命的なものを感じてしまった。




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