ご自宅の近くから良い里山散歩コースがあっていいですね。影持の君の影にもお目にかかれて光栄でした。

歌の数々、自分なりの解釈で情景など思い浮かべて楽しませていただいてます。
一つだけ教えてくださーい。
枳の棘原刈そけ・・・・という歌の、心情はどのようだったのでしょうか?
御訊きするのも恥ずかしいと思いましたが。 (2009.11.15 23:29:18)

偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2009.11.15
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 昨日の府民の森散歩の続編です。万葉植物展示園ほかで目にした木々と万葉歌を並べてみましょう。
 ところで、府民の森というのは、生駒山を中央に、南は高安山、信貴山、北は竜王山、交野山、国見山までの生駒山系の山を縦走する道に沿って設けられた7つの園地を含む公園のことであるが、この縦走路を「竜の道」とも呼ぶらしい。大阪府と奈良県の境界をなす南北に長い生駒山地の稜線が竜に見えるという処からの呼称とか。(小生には竜に見えたことはありませぬが。)まあ、古来から行基や役小角などが修行した山であり、今も様々な信仰の寺院、神社などが無数に山中に在るのであってみれば、竜の道という名も成程である。
コナラ.JPGクヌギ.JPG
(こなら)          (クヌギ・つるばみ)

下毛野 ( しもつけの )   三毳 ( みかも ) の山の  小楢 ( こなら ) のす
         ま
( ぐは ) し兒ろは  ( ) ( ) か持たむ (巻14-3424)

(下野国の神の山に生えるコナラのように美しい娘は誰の笥<食器>を持つのだろう。)

( くれなゐ ) は 移ろふものぞ  ( つるばみ )
       馴れにし
( きぬ ) に なほ ( ) かめやも (巻18-4109 大伴家持)

(紅の色は移ろいやすいものだ。つるばみで染めた着なれた衣に及ぶものではない。)

( つるばみ ) の  ( きぬ ) は人皆 こと無しと
          いひし時より 着欲しく思ほゆ (巻7-1311)

(つるばみで染めた衣は目立たなくて無難であると人が皆言うので、それ以来その衣を着たいと思うようになったよ。)

ヒノキ.JPG ビナンカズラ(さねかづら).JPG
(ヒノキ)          (サネカズラ・さなかづら)

( まき ) ( むく ) の  桧原 ( ひはら ) に立てる 春霞
        おほにし思はば なづみ
( ) めやも (巻10-1813)

(巻向の桧原に立ちこめる春霞のように、ぼんやりと思っているのであったなら、苦労してここまでやって来たりしません。)

あしひきの 山さな ( かづら ) もみつまで
          妹に逢はずや わが恋ひ
( ) らむ (巻10-2296)

(山のサネカズラが赤くなる時まで、私は妻に逢わずに恋うているのだろう。)

さね葛 のちも逢はむと  ( いめ ) のみに
祈誓 ( うけ ) ひわたりて 年は ( ) につつ (巻11-2479)

(サネカズラのように後にも逢おうと、夢の中ばかりでうけいをしながら、年を過ごしています。)

カラタチ.JPG(カラタチ)

( からたち ) の  棘原 ( うばら ) 刈り ( ) け 倉立てむ
( くそ ) 遠くまれ 櫛造る ( ) ( )   (巻16-3832)

(棘のあるカラタチの原を刈り払って倉を建てよう。糞は遠くになされよ、櫛作りのおかみさん。)

すもも.JPG
(スモモ)

わが園の  ( すもも ) の花か 庭に降る
         はだれのいまだ 残りたるかも  (巻19-4140 大伴家持)

(わが庭のスモモの花だろうか、それとも庭に降った、まだら雪がまだ消え残っているのだろうか。) 

橘.JPGつげ.JPG
(タチバナ)         (ツゲ)

わが 屋前 ( やど ) の 花橘の いつしかも
      珠に
( ) くべく その実なりなむ  (巻8ー1478 大伴家持)

(わが家の花橘は、いつになったら玉に貫けるように、その実がなるのだろう。)

橘は 実さへ花さへ その葉さへ
( ) に霜降れど いや 常葉 ( とこは ) の樹  (巻6-1009 聖武天皇)

(橘は実も花も輝いて、その葉さえ、枝に霜が降っても、ますます常緑の樹であることよ。)

君なくは なぞ身 装餝 ( よそ ) はむ  ( くしげ ) なる
          
黄楊 ( つげ ) 小櫛 ( をくし ) も 取らむとも思はず (巻9-1777 播磨娘子)

(あなたがいらっしゃらないならどうして身など装いましょう。櫛笥にしまってある黄楊の櫛も手に取ろうとは思いません。)

枯れ萩.JPG (枯れ萩)

 萩は万葉集に140余首、最多登場の花であるが、かくも枯れ果てては歌にもなりませぬかな。ならば、偐家持に立ち枯れの萩を詠わせてもみましょう(笑)。

夕づけば 寒くなりゆく 山風の
           悲しからずや 萩立ち枯れぬ (偐家持)






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最終更新日  2016.05.09 19:13:38
コメント(15) | コメントを書く


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Re:府民の森・万葉散歩(11/15)  

Re:府民の森・万葉散歩(11/15)  
nanasugu  さん
どれも素敵ですが、私が一番歓声をあげてしまったのは「こなら」と「クヌギ・つるばみ」のツーショットです。
「スモモ」と空の雰囲気も好きですが、トップにあったふたり(?)の写真にやられました。

>(下野国の神の山に生えるコナラのように美しい娘は誰の笥<食器>を持つのだろう。)

こんな美しい娘さんがいたら私はついて行ってしまいます^^

解説付きは有難いです。どうも有難うございます。
(2009.11.16 00:11:10)

カコちゃん08さんへ  
けん家持  さん
おはようございます。
 上のカラタチの歌は、戯れ歌で、宴席で詠われたものかとも思いますが、飲食の伴う宴席で屎を詠うのは、糞飯物、いや噴飯物でありますな(笑)。
 巻16には多くの戯れ歌が収録されていますが、この歌もそのひとつで、題詞に「忌部首、数種の物を詠める歌」とありますから、枳、倉、屎、櫛、刀自などのどれかを詠み込むという歌であったかと思われます。だから、歌の心情などはなく、言葉の流れの面白さや組み合わせの妙を楽しみ、笑い合うものであったのでしょう。
 ただ、和歌は本来が言葉の持つ呪力を引き出すための営為ですから、万葉の歌はそういう側面があるでしょう。子供の口喧嘩なんかで相手を穢い言葉でののしったりするのもその名残りですが、屎を詠むことにもそういう呪術的な意味があったかも知れません。「糞喰らえ」と同じです(笑)。
 また、笑にも呪力があるとされたようで、不吉なことや悩ましいことに出会った時に、それを祓う武器として「笑」を使ったようです。それは「漫才」のルーツでもあるでしょうね。能にも狂言という笑が付着しているのも、無関係ではないでしょう。
 自宅から徒歩5~6分で登山口ですから、もう生駒山中は歩き尽して居り我が庭の如し、であります。最近は影持との同行二人が専らですが(笑)。
(2009.11.16 10:40:20)

nanasuguさんへ  
けん家持  さん
 「こなら」ちゃんと「くぬぎ」君のツーショットがお樹に、いや、お気に召されましたか(笑)。
 大きな樹は下から見上げてやらなくてはいけませんね。色んな樹をこの角度で撮って万葉歌で飾ってみるのも面白いかも知れません。候補としては、松、杉、欅(槻)、桜、椎、タブノキ(都万麻)、楓、桐、桂などですかね。
(2009.11.16 11:10:23)

Re:カコちゃん08さんへ(11/15)  
けん家持さん

ありがとうございました。
もしかして思っている人に寄せた歌としたら深ーいものがあるのかなと。無知ですみませーん。
また教えてくださいね。 (2009.11.16 19:36:09)

人麻呂も 憶良赤人 家持も 詠まずありけり カラタチの花(偐家持)  
けん家持  さん
 つまらぬ解説でご期待に添えなくて申し訳ありません(笑)。
 島倉千代子の「からたち日記」は「心で好きと叫んでみても、口では言えぬ・・」と美しい片恋の詩なのに、恋の歌集でもある万葉集の「からたち」はまことに悲惨な扱われ方です。カラタチは万葉集ではこの1首だけですから、カラタチには申し訳ないのですが、仕方ありません。

雨に濡れ 咲く恋の花 カラタチを などて詠まずや 万葉歌人 (偐家持)
    (2009.11.16 21:31:44)

こんばんは  
カマトポチ  さん
樹木をみて回りながら、その名称と樹木名を詠み込んだ万葉集歌を知ることができる「万葉植物展示園」は、万葉集のふるさとならではの素晴しい発想の植物園ですね。
小石川植物園の素っ気ない表示、見習って欲しいものです。。
(2009.11.16 22:59:50)

Re:府民の森・万葉散歩(11/15)  
小万知 さん
可愛いサネカヅラの赤い実がぶら下がって何ともいえず良いですね。
実鬘がもみつまで・・・時がゆったり流れ、万葉集の時代はいいですね。
来年まで待つと鬼が笑うでしょうが、実が赤くなるまで位ならそっとしてくれるでしょう。 (2009.11.16 23:42:47)

Re:こんばんは(11/15)  
けん家持  さん
カマトポチさんへ
 この種の万葉植物園は関西では珍しくもなく、あちこちにあるのですが、大抵はその後の維持管理が行き届かなくて、万葉歌の標識はあるがその草や樹木がない、または雑草に覆い尽くされて定かには分らない。逆に標識が汚損・破損・摩耗・褪色していて、歌が判読できない。等という処が多いです。府民の森のここも残念ながらそのようになりかかっていますが、まだ辛うじて面目を保っているといった処でしょうか。
 小石川植物園のような処では歴史的な意義から、万葉集という訳にもまいりませんから、万葉集に限らず今日までの先人の全ての和歌・狂歌や俳句・川柳や詩などからマッチするものをその名の脇に添え書きすると楽しいかも知れませんね。出来たら広く都民に募集をかけて、樹木ごとに誰のどの歌や句にするかを決めるということにすれば、関心も高まっていい宣伝になるかも(笑)。まあ、これにかける費用とその効果とをよく吟味しないと、事業仕分けではねられますけれど(笑)。
(2009.11.16 23:48:42)

小万知さんへ  
けん家持  さん
昔は人は「待つ」ということに馴れていたというか、待たざるを得なかったし、時間の流れもそれを許したのでしょうね。現代は人もその長寿化にもかかわらずドッグ・イヤーを生きているようで、前へ前へ、効率アップ、スピードアップ優先にて、「待つ」ということの出来ない社会になっているようですね。かくて、社会から身を引いて初めて「待てる」ことになるのですが、今度は、「待つ」ものがない、という次第にて、困ったことです(笑)。
(2009.11.17 00:00:59)

Re:府民の森・万葉散歩(11/15)  
ひろろdec  さん
君なくは・・取らむとも思はず。
女性の微妙な心理。。う~ん わかりますね^^;
その大事な方は遠くに行かれたのかしら?
「つげ」とは、赤い実のなる。。あのツゲですか? (2009.11.17 21:19:35)

ひろろdecさんへ  
けん家持  さん
 上の播磨娘子の歌の題詞には「石河大夫の任(まけ)遷さえて京に上りし時、播磨娘子の贈れる歌二首」とありますから、大事な石河君が大和へ転任してしまって逢うことが叶わなくなったことを嘆いて作った歌でしょう。
 「つげ」、は赤い実ではなく黒くなるのではないですかねえ?イヌツゲとホンツゲがあって、ここで言うツゲは櫛にするツゲですから、ホンツゲの方ですね。イヌツゲと同じで実は熟すと黒くなるのではと思いますが、ちょっと自信はありません。
(2009.11.17 22:32:20)

京阪バス 1日乗車券 大阪版  
淡路人 さん
こんにちは、4月に京阪バス 1日乗車券 大阪版を
利用して、阪急高槻市駅から乗り序でJR津田駅まで行こうと思いますが、京阪バス 1日乗車券 大阪版は500円で元は取れているので、JR津田駅から
交野山を通り、ぬかた園地まで歩いて行こうと
思います。 (2010.03.19 14:55:30)

淡路人さんへ  
けん家持  さん
 文面からは小生の友人・知人のような感じもしますが、淡路人という名は初登場にてドナタとも想像がつきません。蝶麻呂さんのような気もしますが、違っていたら、失礼の段ご容赦下さい。
 ぬかた園地まで歩かれて、下山は枚岡公園または枚岡神社・梅林の方になさるのでありましょうか?
 小生の友人にてあれば、枚岡辺りでご接待申し上げるに吝かではありませぬので、然るべき方法でご連絡賜れば幸甚です(笑)。
 そうでないなら(笑)、どうぞお気を付けて府民の森の春をお楽しみ下さい。4月始めの頃なら枚岡公園は桜が満開のことでしょうから、桜もお楽しみ戴けると存じます。
(2010.03.19 19:18:04)

Re:府民の森・万葉散歩(続)(11/15)  
小ナラッぺ大賞 さん
AIさん見解なら
この結論が示すこと
​この結論は、文学作品の解釈において、地名研究と地理的文脈がいかに決定的な役割を果たすかを強調しています。
​1. 現代のイメージと古代の現実の乖離
​現代の感覚(イメージ): 「美可母の山の許奈良の須」という表現は、「山と砂州(す)」という組み合わせから、海に面した象徴的な景勝地、特に天橋立のような独特な地形を強く連想させます。
​古代の現実(文脈): 実際には、これらの地名は下毛野(現在の内陸部に近い栃木県など)に属するもので、地理的に天橋立とはまったく異なります。
​2. 地理的区分(東歌・下毛野)の役割
​もし万葉集に「東歌」や「下毛野」といった地域的な分類タグがなければ、現代の読者は景色のイメージに引きずられ、これらの歌の舞台を誤って海沿いの景勝地(天橋立)と解釈してしまった可能性が高い、ということです。
​この区分があるおかげで、読者は「これは東国、特に下毛野の歌だ」と認識し、歌をその地域の風土や生活、そして実際の地形に合わせて正しく読み解くことができます。
​📌 要するに
​「下毛野」という区分は、誤解を避けるためのストッパーとして機能しており、万葉集の歌を地理的・文化的に正確に理解するために不可欠である、という点を明確にしています。

(2025.11.29 21:57:09)

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