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『ピンジプ(空き家)/3-iron』 2004年/韓国・日本
監督・脚本・編集・制作:キム・ギドク
製作総指揮:鈴木径男、チョ・ヨンベ
共同制作:カン・ヨング、ス・ヨンジョ
撮影監督:チャン・ソンベク
美術監督:チュ・ジンモ
助監督:オク・ジンゴン
衣装デザイン:ク・ヘホン
音楽:スルヴィアン
出演:イ・スンヨン、ジェヒ、クォン・ヒョゴ、チュ・ジンモ、チェ・ジョンホ
受賞歴:2004年 第25回青龍賞・新人男優賞(ジェヒ)
2004年 第61回ヴェネツィア国際映画祭・銀獅子賞(監督賞)
2004年バリャドッド国際映画祭・金のスパイク賞
2004年 第24回映画評論家協会賞・脚本賞
2005年FIPRESCI年間最優秀賞
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
キム・ギドク監督作品!
ちゅーことで、いつもより高いレンタル店で借りてきてしまった(笑)
何だか上手く言葉に出せない映画だった。
映像の雰囲気というのか感覚というのか色合いというのか…
ああ、キム・ギドクだ!って感じ。
もう、それだけで浸れてしまう私って…(笑)
あまり言葉で語ろうとしないところが特徴の一つかと思うけど、
この作品はそれが取り分け顕著。
主役のジェヒは一言も話さないし、イ・スンヨンも最後になって短い台詞が数回あるだけ。
ジェヒ演じる青年テソクは>役名があっても、あまり意味ない
ビラ配りの真似事をして留守宅を探し、こっそり忍び込んで夜を過ごす。
宿代のつもりなのか、暇つぶしなのか
汚れ物を探し出して洗濯をしたり>洗濯機を使わず浴室で手洗い
壊れているものを修理したり>時計とか体重計とか玩具のピストルとか
庭の植物に水をやったりする。
それから食事を作り、入浴し、ベッドで眠り
住人が帰ってくる前に綺麗に姿を消す。
本来なら不気味な行為なんだけど、何だか楽しそうに見えてくる>ぇ
逆に言うと、自分の存在というものを殺した生き方だと思う。
自分が生きてきた痕跡を消し去りながら日々を過ごしているかのよう。
そんな彼がソナの家のガレージの前にうっかりバイクを止めて
ソナの夫に睨まれるという冒頭のシーンは、その後の展開を示唆している。
姿がないかの様な彼がソナの家に忍び込むと、そこにはソナがいる。
彼は気付かず、いつものように過ごす。
そんな彼をソナはじっと見ている。
今迄とは全く逆の光景。
夫のDVに怯えながら生きているソナは、ある意味テソクと同じ。
やはり言葉を発せず、自分の存在を消そうとしている。
無言の2人と言葉の多い夫。
この3人のシーンは面白いと思った。
無言のまま逃げていく2人。
テソクの生き方に合わせていくソナ。
何だかファンタジックで美しいとさえ言える日々。
でも、それがだんだん崩れていく。
ソナの顔の痣は次第に薄れ、表情も柔らかくなっていくのとは逆に
テソクの顔は殴られて傷や痣ができ、間違いで人に重症を負わせ自分の心も傷付き
最終的には刑務所に入ることになる。
これもまた、今までとは逆の光景。
テソクにとってソナとの出逢いは間違いなんじゃ…とさえ思えてくる(笑)
孤独死した老人を丁寧に葬ってやるところは良かった。
その後、その家に住むことになるのも、その老人も含め“家族”になったかのようで
それ以前とは違う温かさが加わった暮らしになったように見えた。
ただ、犬が何処に行ったのかは激しく気になったけど(^^;)
その暮らしも終わりに至るわけだけど…
それで悲劇として映画が終わりになってしまうのではなく、
テソクの奇妙な行動から始まって、一気にファンタジーになっていくところが良い。
テソクは自分の存在を消すことに成功する。
ソナにだけは彼が見える。
彼女の前で存在をなくすのは夫の方。
夫の前のソナは姿はそのままでも心は存在しない。
これもまた逆転。
2人が乗った体重計の針が刺すのは“0”。
2人が揃って、やっと0になれたってことだよね。
暴力シーンを始め、描写はリアルだったりするのに
中身はファンタジーなのがキム・ギドクの特徴かも。
私が彼の作品に惹かれるのは、そのファンタジー性。
それと、イ・スンヨンの憂いある美貌も素敵だったけど
何よりジェヒの目力が凄く効果的!
惚れますぜ(^^)
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