飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

★消滅の光景と改題●編集中(1988年)コンテンツあり


★消滅の光景と改題
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SK消滅の光景■セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ った。まったく奴らミレニアム信徒はひきも切らさず、この星へやってくるのだ。 一体、何のためにこんな辺境の星へ


山 田 博 一・
 連邦軍本部、セクター星に応援を何度も頼んだのだが、援軍が送
られてくる様子はなかった。
 考えにふけっているビ″トをレーダ手ハーラン伍長の声が現実に
戻した。
「飛行物体を発見しました。右17度の方向です。大きさはクルーザ
ー級。連邦軍の船ではないようです」
「また、来たのか。警告だ」
 グルドがなぜ、その星に降りようという気になったのか自分でも
ぼっきりわからなかった。みすぼらしい星だった。はるか昔は繁栄
を誇ったのだろうか。グルドの船は降下を続けていた。モニターに
は大都市の姿は映ってこない。地面の上でキーフリと光るものがある。
 急に通信機が声をあげた。
「こちらは、連邦軍だ。何者か」
「グルド=グアy、アルドy星の宇宙商人です」
「宇宙商人だと.、この星は輸出物資もなければ、商品を買うだけの
一
-2
 セクター宇宙連邦軍、ビット大佐の目下の悩みは、奴らの流入だ
った。まったく奴らはひきも切らさず、この星へやってくるのだ。
一体、何のためにこんな辺境の星へやってくるのだ。
 奴らの信仰が、彼らを狂わせているに違いない。狂気が奴らをこ
の星へ引き寄せているのだ。
 ミリアム信仰。世界が、この宇宙がもうすぐ滅ぶという信仰が、
総てが消え去る時に、聖地にいたいという願望。それがこの星の人
口を急激に増加させていた。もう星の収容能力をオーバーしている。
正規ルート以外に密航してくる奴らを連邦軍は追い払らわなくては
ならない。
 モれがビット大佐遠の役目であった。周辺航路を周遊し、見張り
つづけなければならない。
 ‘最近、富に密航船が増え続けている。
 しかたなく、ピット連は船を破壊しなければならないこともある。
 しかし、彼らを殺すこと。それはミリアム信徒の奴らに至撮を与
える事になるのだ。
 殺しても、奴らはやってくるのだ。
金持ちも存在しない」
 「ほんの気ばらしのつもりで着陸を」
‘「気ばらしだと、お前、ミリアム信徒ではないのか」
 「いえ、そんな昔ではありません」
 「そうか。この星はすでに収容能力を超えていが。残念だが、退去
してほしい。警告を受けいれない場合は、残念だが、君の船を攻撃
する」
 グルドはミリアム信徒という言葉が気になっていた。
「どうしても着陸したいのだ」
 グルドは語勢強く言い、ある暗号コードを連邦軍の船に対して送
り出していたo          .        ’        ・
 連邦軍の船はそれを受け取り、混乱したようだった。しばらくの
沈黙の後、やがて、ビ。ト大佐の声がグルドに届いた。
 「失礼いたしました。空港は一つだけです。誘導波を送りますから、
それに従って下さい」
 空港は色々な星から辿り着いたと見える種々の形状を持つ老朽船
で一杯だった。
 町並の方だろうか、星にはふさわしくない銀色に輝く巨大な塔が
望見できた。
 「一体、この船の群は」
 「ミリアム信徒の船なのです。この星で消滅の時を迎えようとやっ
てきた奴らの船です」               ド
「詳しい事は連邦軍駐屯地で聞こう」
「失礼ですが、IDカードを示していただけますか」
 グルドはIDカードをビッド大佐の前にさし示した。
 「わかりました。視政官、どうぞこのエア・カーにお瀞り下さい」
 空港から町へ出た。.大きな建物はない。た,だ無気味μ動めく人の
群があった。道路に人があふれ、建物に群れている。屏もせず、た
だ祈りをくりかえしている。小さな子供が道路の真中?祈っている。
クラクジョyを鳴らしても動こうとしない。ブレーキをかける。し
かしそれより先に、子供は逆にエア・カーにぶつかってきた。ヽにぶ
い音がした。 ’.
 グルドはうなる。、「自殺か、あんな子供が」
 「それより、あの子供がどうなったか、窓から見て下さい」
 ヽ道路には子供の死体がない。‐だ、だ光り輝く灰が残っている。
 今の光景を見ていた人々は、歓声をあげてエア・カjの方へ押し
寄せてくる。
 祈りを唱えながら、灰をすくいあげようとする。エア・カーの廻
りに人垣ができていた。
「どういうことなのだ」
「消滅現象です。ここではよくおこる出来事なのです」
 群集はあとから後から押し寄せてくる。人々は宗教匈恍惚状態で
ある。
「エア・カーの出力をあげ、説出しろ」,グルドは叫んが。エアで灰
は飛び散る。人々は少しでも灰を拾おうと狂乱した。
「いつもおこぞのか」
 グルドは今、見た光景を信じられないという面持ちがった。
 ピットは静かな声で言った。‘’
「そうです。毎日、おこっているのです。原因はまっtくわかりま
3-
-
せん」
「この星で何かおこっているな」グルドは独りごちた。
 駐屯本部宿舎に入ったグルドは、ピット大佐の個室を、夕刻、ノ
ックしていた。
「すまんが、ビ″ト大佐、町中の宿屋を紹介してくれんか」
「ええっ、視政官、それは危険です」
「人々の中に入らなければ、硯政官としての任ヽ務はできん。ミリア
ム信徒の様子を調べたいのだ」
「そうですか。そうおっしタるなら:・:・」
 ビットは少し考えていた。
「タルジマロ通りのキムの宿屋がいいでしょう。まだ安全でしょう」
「わかった。地図を書いてくれるかね」
「案内します、祝歌官」      〈、
「ばかを言いたまえ。君が付いて来れば、ぶち譲してはないか」
 ミ肌アム信徒で混雑するタルジマロ通りを歩いてようやく、グル
ドはキムの宿屋を見つけた。セクターー星では博物館入りの建物だ。
 これ以上、肉のつきようがない肉のかたまりの様な男がカウンタ
ーの中にいる。この男がキムの様だ。歩く度に重さで床がギジギシ
と鳴った。不機嫌そうな顔だ。
 「お客さん、残念ながら、ミリアム信徒ならおことわりだよ」
 グルドはキムの鼻先に銀河クレジ″トを押しつけていた。・
 「私はミリアム信徒ではない。泊めてもらおう」
 キムの表情がくずれ・だ。
 キムの口はとどまる所を知らない。
「宇宙商人の方ですか。こんな星に貿易にこられたのですか。残念
ながら、この星には何にもないですよ。そりタ、大昔には、この星
は繁栄していたらしいですが。私達はセクターから入植した人間の
子孫なんですが。祖先がもぅとましな星に入植してくれていたらと
いつも思ってますよ。
 そりタそうと、塔を御覧になりなさったかな.0あの塔くらいしか、
この星には見所がないですよ。ほら、この寫からも見えますよ」
 塔は、夜空の中に銀色に輝いていた。針のように天空に向けそ
そり立っている。突起物はなく、均質の物質で構築されていた。
 「まあ、明日の朝早く、行かれることですね。じタ、お休みなさい
ませ」
 グルドは見えない力に引き寄せられていた。抗いようもなかった。
意識の一部では自分があの塔に向かって突き進んでいるのがわかっ
ていた。何のため・に私は塔に向かっているのだ。グルドは自問した。
答は返ってこない。体が自分の物ではないような感じだ。
 町並が消え、塔が目の前に接近してくる。
 ただ塔のみが存在し、向こうの方に地平線が見える。あとはただ
赤茶けた荒地だけだ。                     フ
 塔は宇宙から飛来し、この大地に突きささっているようにも延え’
る。                                ・
 ガーディアyがゆっくりと近づいてくるのがグルドの硯野にはい
「お客さんがミ‥リアム教徒だなんて誰がいいました。どうぞどうぞ。ってきた。
この星で最高のお部屋にお泊めいたしましょう」
べ
ご
連邦軍のビット大佐の言った言葉が耳に残って
い
る
 ○
一りJーJsxーJーーーs%9j/’’ぷJj
4-
-
「わからん」
「硯政官グルドは優秀な男だ」
優秀である事を必聾とし、それは特権階級と結びついていた。
 自殺は許されていなかった。自殺した者はサイボーグ手術を施さ
視故官とは連邦内の故障や治安を観察し、報告するお忍びの連邦 れ、より死ににべい体へ変遷されるのだった。
職員である。それも超A級の上級職だ。
「地球には連邦軍の前硝基地があるが、兵員が少数だ。役に立つま
い。彼らは不思議な現象を報告してきている」
「何ですか」
「消滅現象だ。詳しい事はこのレポートを読め」
「わかりました」
「それにもう一つ、この男と一緒に地球’へ行ってくれ」
 長官は立体写真をチヒロに渡す。    ブ
「・この男はカド博士、一流の霊科学者だ」
 チヒロはカド博士を迎えに行くため、エア・カーに再び乗った。
情報省の最上ヽ層のパーキyグからはセクターの地平線.が見えている。
 セクター星は宇宙をおさめる大帝国の中心地であった。しかし
拡張の時代も終り、爛熟期にはいったセクター連邦は滅びを予感さ
せている。
 セクター人は科学の発達により、・不死の体となっていな。病気ほ
存在しない。逆に死ぬために大量の金を必要と七た。特権階級は死
ぬことを許されていた。そして特権階級は他の人々に死を施すこと
を許されていた。                \
 宇宙パイロットである事も死を求めるT手段であった。まだ宇宙
総ては彼らの于に帰してはいない。災害がパイロットの前,鰐立ちふ
さがり、死の房を開いていた。しかし宇宙パイロットであることは
 そんなセクター人にミリアム信仰が蔓延したのも無理からぬ事だ
った。
 ミリアム信仰はセクター連邦が、宇宙の創造者の怒りにふれ、今
年の内に消滅するという思想なのだ。人々は仕事を止め、ミリアム
信仰の聖地を求めて、宇宙を放浪し始めた。
 聖地はどこの星にあるのか知らされていなかったのだが、その聖
地を中心に滅ぴは始まるといわれていた。
 死は、消滅は、何よりもミリアム人にとって至福の時なのであっ
た。
 ラヽヽヽーは長い黙想の中にあった。何時間統いているのだろう。う
す暗い部屋の中に何十人もの人間が、黙想に耽っていた。
 部屋は小さなジムほどもあるだろう。ジフトな間接照明が彼らを
照らし出している。部屋は白い壁でかこまれ何の備品もなかった。
 ラミーの心の中は無であった。遠くから声が聞こえてくる。また
始まったわとラミーは思う。近頃’、黙想中に声が響いてくるのだ。
原因は不明だ。それは有無をいわせぬ力強さでラミーの心に語りか
けてくるのだ。ラミーの超能力を持ってしても打ち払うことができ
なかった。 レ          ≒
『ラミー、出発の時が近づいてい’る。男に会う、のだ。その男はお前
の助けを必要としている』             ’
 ラミーは黙想を止め、目を開き、出掛ける決心をした。二度とこ

「塔の側にガーディアyと呼ばれる旧式のロボクトがいます。別に
人略書を吽えるものではありまぜん。ただおの塔のまわりをゆブっく
りと歩き廻っているだけです。ただ気をつけて下さい。あの塔はこ
の星の聖地心しいのです。塔に近づこうとした鼎はあのロごボ″トが
容赦なく殺すのです。消滅現象はおこりません。
 あのロボットは塔を守るガーディアン(守護者)なのです」
 ロボットが目の前にいた。大きな手がグルドの体を掴み上げ、塔
から遠ざけようとした。が一瞬、ロボットはビクッと動きを止め、
グルドを観察しているようだった。巨大な無機質な眼がグルドを見
つめていた。やがてガーディアyはゆっくりと、大切なものを扱う
ようにグルドを地上へ降した。再びグルドは見えない力に操られ塔
へと近づく。ガーディアyはグルドを見守っているようだ。
 ジルパーの塔の外皮が眼前だ。突然、塔の基部に穴が出現した。
たじろぐ事なくグルドは中へはいる。ふと母の胎内へ戻ったような
安堵感がグルドを襲う。通路があった。さらに中へとグルドは歩む。
小さな部屋があった。べ″ドが真中に据えられている。グルドは横
たわる。マジックハyドがのびてきて、グルドをしっかり掴まえた。
天井から球体が降りてきた。瞬間、閃光が走り、グルドの体は光線
につらぬかれていた。その時、グルドは至上の喜びを得ていた。彼
の体はプラズマ状になっていた。
 チヒロが″オヤジ″から呼びだされた時、彼はカジノの中にいた。
ツキにツイている時だった。チヒロはしぶしぶ、コイyをチエ″カ
ーこ預ナた。
 4‐ ー
 「また後で来るからな、預かっておいてくれ、マド」
 顔見知りのチエ″カーに頼む。
 「今日もまた中座ですか。ツキが逃げますよ」
 「ツキが逃げるって、ツキの方が俺の後からついてくるさ」
 チヒロは給料のほとんどをカ.ジノに注ぎ込んでいる。フリータイ
ムはこめカジノにいる事が多い。
 カジノから連邦情報省までエア・カーでぶっ飛ばした。途中のロ
ードでいつも通りの行為にふける。
 「今日はこのくらいにするか」
 チヒロは独りごちた。情報省の建物が見え始めた。
 IDカードを示し、情報省内へとはいって行く。チヒロはセクタ
ー宇宙連邦情報省のエージエyトであった。
  ″オヤジ″、つまり情報省長官キドはいい顔はしていない」
 「チヒロ、遅かったな」
 「いや、いつもより、コンマ4秒は早いはずですよ。いつも通り3
台の車とコンバットしてきましたからね」
 「今日は3台か、お前にしては少ないな」
 ミカロ星戦役でなくした片眼の方、ロボット=アイが冷たくチヒ
ロの表情をながめている。
 「本題にはいろう。硯敵営が一人行途不明になった。
 「どこの星でですか」
 「地球でだ」
 「あのキごフガ辺境の地球ですか」
 「おまけにミジアム信徒が多数、モの星に集まっているらしい」
 「何か関連が」
-5-
こへ戻って以来れな・いだろう。確信が.彼女の心に芽生え七い  か疑問を感じた。
た
 ○
 中央で座ってヽいる一老人にクミLは心ヽで話しかけた。
『導師、私は出掛けなければ・なりません。これでお別れです』
 齢、数百を越す導師は静かに答えた。
『出掛けるかぐラミー。何がおころうと心の声に従うのじ・タ。それ
がお前に与えられた運命じ7からの。お前の存在理由なのじタ』
『わかりました。y導師、もう二度どお目にかかるととはないと思い
ます』ド
『さらばじ?ぃしかし気’にやむことはない。休は滅びようとも心は
永遠に残るからめ』
 ラミーは旅支度を整え、研究所の門を出て行った。
 チヒロのエ.ア・カーの前に何かが急.に出現した。・少女だ。ブレー
キーを踏む。ヽ自殺晋ならば、その少女を当局へ突き出さなければなら
ない。チヒロはエア・カーのボyネットを開け、話しかけた。
 「君は自殺しようとしたね」
 「いいえ、違います」
 「でも、君は、僕の車の前に急に飛び出したじ?ないか」
 「あなた、チヒロさんでしょ」
 「どうしてブ僕の名前を」
 「私を」緒に逓れていって下さい」
 「一緒に連れて?」
「そう、・地球へです」
 チヒロは、なぜ、この少女が彼が地球へ行くことを知っているの
「君は萌という名前だね」
「ラミー‘よ」                   ド
「なぜ、君は地球へ行きたいのだ」
「どうしても行かなければならないの」 <ぃハハ-
「よし・エア・カーに乗れ」
「.私を、情報省へ連れて行き、調べるつも0ね」
 チヒロ‘は内心驚いた。この子は私の心.を読みとるととができる。
「そう、私は人の心が読める。だからチヒロさん、あなたが地球に
向けて旅立つ事もわかったのよ」‘   ‘.’ヽノ乙《
 こいつはほ.おってはおげん。
 「そうよ。はおってはおけないはずよ」犬
 「とにかく、情報省へ行こう」           /
 「だ‘めよj情報省へ帰る前に、カド博士を助け・なければならないわ」
 「カド博士を助けろって」          『<
 「カド博士が滅びの戦士達‘に襲われているわ」       ‘ =
 「何だっ『て」で
 「私には見える。早く、早く、カド博士の家へ行っ’て、考えている
ひまはないわ。・急険なのよ」 ○                ’’・=
 チヒロはエア・カーの通信機で博士邸を呼グだそうと七だ。ド
 『通信回線不通、通信不可能』の文字がデブスブレイに出てく’る。
チヒロはラヽヽヽ-の・言葉を信じた。エア・・カーをぶっ飛ばす。
 「気をつけて、’滅びの戦士達があなたを待ち構えているわ」
 滅びの戦士。最近各地でおこりつつある、殺人、暴力行為、破壊
活動を行なう、自然発生的テーロ集団である。彼らは超合金のコyバ
7-

ットUスーツで身を固めている。特権階級であるとないにかかわら
ず、人々を殺戮しているのだ。彼らは特にミリアム信徒を目の敵に
していた。
 カド博士の家はジティの郊外にある。市街地から飛び出したチヒ
ロのエア・カーに上空から黒い物体が襲ってきた。チヒロの反射神
経はあやうい所でそいつを避けた。が車はチューブ・ドライプ・ウ
ェイの側壁に激突した。一瞬チヒロはコックピット内でしたたか体
を打ち、気を失なった。ラミーも身動きしない。
 上から3つの黒い物体が降下してきた。彼らは手に電磁ヤリを持
っている。彼らがまたがっているのは卵形をした、ホトと呼ばれる
生体メカの一種である。ロボット休の中に一部分動物の神経系が裸
め込まれている。一種のサイボーグであり、機械獣よりも反応速度
が早いのだ。このホーは黒いコこハ″トぃ日スーツに身を固めた滅び
の戦士達の意志を読みとり、自在に動くのだった。
 「とど‘めをさせ」
 戦士の一人が命令した。戦士がホーに乗ったまま、チヒロの様子
をうかがいながら、近づいてきた。動かないチヒロの体を見付けた
戦士は、電磁ヤリを持ち上げ、ねらいをさだめる。電磁ヤリは一撃
で一万ボルトの電気を放電し、物体を炭化する。
 電磁ヤリが突き出された瞬間、チピロの体は気を失なっ・なまま、
空間移動した。
 『チヒロ、目をさまして』チヒロの意識の奥で声が響く。激しい衝
撃がチヒロの体を貫らぬき、チヒロは意識を取り戻した。目の前に
再び、電磁ヤリが迫ってくる。体をかわす。レイ=ガyを出そうど
する。ない。エア・カーの中で落としたようだ。ナヒロは今、自分
―ーンーー

が空間で行動していることに疑問を感じてはいなかった。急に手の
中にレイ=ガyが出現した。チヒロの方へ突っ込んでくる戦士の目
の前まで引き付け、手を狙い、レイ=ガyの引き金をしぼる。ホー
が襲い、チヒロははじき飛された。しかし体には傷はない。戦士は
両手をレイ=ガyでやられ、電磁ヤリを落としていた。ヤリはチヒ
ロの手の中に飛び込んできた。チヒロは電磁ヤリを構え、戦士に投
げつけた。ヤJは戦士の体を貫ぬき、放電する。轟音がした。戦士
の体は異色の超合金コこハット=スーツごと、吹き飛んでいた。残
り二人の戦士が近づいてくる。
 電磁ヤリがまた、彼の手に戻ってきた。戦士は二手に分かれ、チ
ヒロを挾み撃ちにしようとする。両サイドから突き込んでくる。ヂ
ヒロの休は金縛りにあったように動かない。戦士のヤリが彼の皮膚
にふれようとした時、チヒロはテレポートしている、エア・カーの
残骸の側に立っていぞ。上空では、勢いあまった戦士のヤリがお互
いを貫いている。大爆発がおこった。
 チヒロには今まで自分の行動が夢のように思われた。自分にはテ
レポート能力もテレキネス能力もないのだ。
 エア・カーは燃え続けている。中にいた少女ラミーはどうしたの
だろう。目の府の空間にラミーは疲れた表情で現われた。
 「ラミー、一体、君は」
 「そう、私は超能力者。今の事件で私の能力はわかったでしょう。
カド博士の家へ向かわねば」
「エア・カーはこの通りだ。君のテレポート能力でもあそこまでは
距離がある」
「心配しないで」
8-
四●
 「乗り手をなくしたホーが2台、空に浮んでいる。
 「あれに乗るのよ」『        ド  \

も、あいつは、クー人一人の戦士に同語されでいるはずだ」
 「いいのよ、早ぐして」
       ’  “  _  i‘’J 5“,             一
 チヒロはホLに乗った。ホーは何事もなくチヒロの意志に従い動
き始める。
 チヒロはラヽヽヽIの能力に舌をまく。隣を移動中のラミトの顔を見
る。彼女は青い顔をしていた。
 「だいじょうぶか、ラミー」
 「心配しないで。今は一刻の猶予もならないわ」
 カド博士の邸宅は燃えあがっていた。すでに滅びの戦士達に攻撃
を受け炎上しているのだ。死体が建物の廻りに散乱している。
 「遅かったか」チヒロはこの光景を目のあたりにし、愕然とした。
ラミーの声は元気だった。
 「大丈夫よ。博士は生きている。生命の炎が見える」
 冷汗をかき、ラミーは念視している。ゆっくりと片手をあげ、炎
につつまれている邸の真中を指さす。
 「生体反応があるわ」      。
 炎の中で、何かが揺れ動いている。そいつは徐々に、人の形をと
り始め、炎の中からゆっくりと娠を現わす。
 衣服がまだ燃えあがっている。大男だ。2抗はあるだろう。そい
つは体じゅうを炎に包まれながら、話しかけた。
 「情報省のチヒロさんですね」
 彼ば頷ずく。水が上空から降り注がれる。消防団が駆けつけたよ
うだ。炎の男は消防車の方へ歩む。消防士たちは驚く。
 「水を早くかけて下さい。私の中に人一人がはいっているのですブ
 消火された男はゆっくりどチヒ匹達の衝へ還ってきた。彼はアン
ドロイドだった。
 「チヒロさん、始めまして、自己紹介させていただきます。私は博
士の助手タクです。博士は私の体の中で保護されています」
 男の体は胸の真中から開き、別の男の体が転がり出た。
 「カド博士/ 大丈夫ですか」
 博士はわずかに頷いた。
 博士の無事な姿を見て、ラミーは倒れた。体力を使い果したのだ。
超能力の行使は体力を急激に消耗させる。ましてや彼女は少女なの
だ。                                し
 ホー2台は、ラミーの力から解放され、上空へ急速にはね上がり、
消え去った。
 博士の眼は閉じられたままだ。
 「博士、眼は」
 「視神経をどうやらやられたようだ」
 「滅びの戦士たちめ」
 博士はかぶりを振る。
 「心配することはない。私の霊能力はいささかも衰えてはおらん」
 博士は見えない眼をラミーの方へ向けた。
 「彼女は何者だ」
 「見えるのですか。彼女は超能力者なのです。私も助けられたので
す」
 「恐るべき能力だ。すさまじいオーラの炎が感じられる」
 「彼女は地球行きの事を知っていたかね」
-
-9
「そうです」
 博士は少し考えていたが、
「よし、彼女を連れていこう」
「こんな幼女をですか」
「私の霊能力がそう告げているのだ」
「博士、急ぎま七ょう。先刻、2台のホーが逃げたのです。彼らは
ホーの記憶回路から、あなたが生きていたことを知るでしょう」
 情報省の医療センターでカド博士は集中治療を受けていた。体力
の回復次第、地球へ出発と決定された。カド博士の周辺は充分な警
備が施されている。
 助手であるアンドロイド=タクも常に博士の側にいた。
 病室から出て来たタクに一人の兵士が近づく。
 「タクさんですね、チヒロ中尉がお呼びです」
’「でも、私は博士の側から離れるわけにはいきません」
 「至急、おこし下さいとの事です。,.大切な要件とのことです」
 「そうですか、それなら」
 兵士は先に立ち、通路を歩き始めた。しばらく歩いた後、タクが
尋ねる。
「遠いですね。どこにおられるのですか、チヒロ中尉は?」
「もうすぐです。この角を曲ったすぐの部屋です」
 突然、背後から二人の兵士が近づき、タ.クの腕を取る。
「何をなさるのですか」
 タクは腕を振り迫どこうとした。がそれより旱ぐ、一人の兵士は
タクの肩にある回路をレーザーで焼き吸っていた。
 三人の兵士達はタクのボディを大きな移勘合に載せ、
もなく消えた。      ハ   ……ー レ’
いずこへと
 一時間たった後、タクは博士の病室の前にいる自分に気づいた。
今まで自分が何をしていた’か憶えていなかった。
 情報省の調査船エクスは、セクターの引力圏を離脱し、地球に向
い進みつつあった。直径三百m、エクスは小型の球形船であるが、
優秀な調査能力を装備している。
 コックピットの中でチヒロは情報省からのデータを整理していた。
 彼は今、ラミーのデータを再度読んでいる。
 『ラミーーグリーン。15歳。超心理学者ギャリー=グリーyと魅史
学者エレノア=グリーンの間に生まれる。両親は地球考古学調査隊
に所属していたが、行方不明となる。】人娘であ・った彼女はセクダ
ーに連れ戻され、連邦優生児保護法によって、ロボットマザーの于
により育てられる。が3歳位よリ超能力を有することがわかり、連
邦所属の超心理研究所に預けられる。現在はそこの所員であ’る:y・』
 「15歳で超心理学研究所の所員か」
 チヒロは独りごちた。彼女の両親は地球で行方不明になっている。
何か関係があるのだろうか。
 カド博士は、タクの助けを借り、地球で行方不明になったと考え
られる人々のリストを克明に調査し七いた。情報省のコンピュータ
ー解析では、共通因子を発見できなかった。が、彼は彼なりに分析
することにした。
 彼の頭の両サイドからメタリックの端子が突出していた。彼は船
10-
-
のコンソールパネルから接続端子を引きづり出し、自らの頭の端子
に繋いでいた。’ ・・j   十ノ乙   ・、、
 エクスは小型だが、優秀な電子頭脳を備えていた。自分の頭脳と
電子頭脳をフィ’lf.tハヅクして新たな解決法を得ようとしで.いた。
エクスの電子頭脳には地球で行方不明になった人々のデータがイン
プッーされてい・るJヽ……y           『
 「タク、・スイうチを入れてくれ」
                         一 甲t ftー ゛、 ・
 「博士、大丈夫ですか。こんな事をしても」
 「案ずることはない。私の頭脳は特別製なのだ。何らかの新しい因
子を発見することができるかむしれない。そうすればこの一連の出
来事の解決歩が発見できるかもしれん。我々はいま絶壁の上に立っ
ているのだ」
 「わかりました。博士がそこまでおづし’、るなら」
 タクはスイ″チを押した。博士の体から光が発されているようだ
った。しかし博士の体には何の異常もおこっていない。

 ラミーは自分の個室の中で黙想にはいっていた。また内なる声が
聞こえてこないだろうか。彼女は自分を縛る声を始めは嫌っていた
が、近頃は声が聞こえてこないと不安を感じるようになっていた。
声がないと闇の中で一人置き去りになったような気さえする。声は
 一条の光であり、進むべき道であった。
 声が地球へ行くように命じたとき、彼女の心の中では行きたくな
いという気持ちと、どうしても行かねばならないという気持ちが相
争っていた。
 両親が目の前でどうなったか、彼女は思い起そうとしてみた。が
だめである。彼女はその時、まだ一歳にもなっていなかった。彼女
は黙想し、ひたすら声を待っていた。
 チヒヽ口は今度はセクタt連邦軍、地球派遣隊についてのデータを
集積していた。丁度そ9時。・カド博士がタクに連れられ、操縦室へ
上ってきた。     犬    コ ノ,ダ   .     .
 「博士、どうですか、共通因子について何か発見は」
 「そう簡単にはみつけちれんよ」    ‘。
 「そうですか」
 「私は地球までの航行中、この作業を続けることにする」
 「カド博士、あの星で、多数の人間が行方不明狐なっているのに、
我々の連邦軍地球派遣軍が手を出せないでいるのはどういうわけで
しょう」
 カドは盲いた目をチヒロの方へ向けた。
 「恐らく、ある種の、そう星の影響力というものが存在するのだ。
その力が連邦軍の兵士遂に作用しているのだろう」
 再び博士は自らの鸚の端子を電子頭脳に結びつけ、分析作業に取
りかかる。
 タクはコンソールの側にいる。
 どこからともなく黒い霧が発生し、タク0足もとから電子頭脳の
方へ近づいていく。
 黙想していたラミーは、ある声を聞き’クッと我にかえった。急
いで博士の研究室ヘテレポートーむた。    ノ
 タクの表情が変っている。彼はその力強い両手を振りまわし、コ
-n
ンソール=パネルを壊していた。カド博士は部屋の隅に跳ね飛ばさ
れて距まっている?
 彼女はタクを止めようとした。が彼女はタクの右手ではねとばさ
れ、機械の角で頭を撃った。気を失いかけたラヽヽヽ1の眼に、異変に
気づき、走り込んできたチヒロの顔が映った。
 調査船エクスの操縦操置は電子頭脳に依存していた。それゆえ船
は操船不能になっている。
 チヒロは襲ってくるタクの腕をすり抜け、すばやく右府にあった
電源スイッチを切った。タクの体から黒い霧が浮び上ってきた。
 「そいつを撃て、撃つんだ」
 傷だらけのカドがチヒロに叫んだ。
 チヒロのレーザーガyはその黒い霧を焼き町り、おまけに後の頭
脳にさらにダメージを吽えてしまった。
 「くそっ、電子頭脳が完全に死んでしまった」
 チヒロは、電子頭脳を知らべ、音をあげた。
「これでは、地球に行くどころか、宇宙の放浪者だ」
 ヂヒロは博士を助け起した。
「いったい、タクはどうしたんですか」
「あの霊に支配されたのじタ。君には黒い霧に見えたかもしれんな」
「あれが霊ですって」
「そうだ。それも、不思議なことに我々の祖先霊なんだ」
「我々の祖先霊が、なぜこんなことを」
「わからん、それにあれは滅びの戦士をも支配している祖先霊だ」
 船が横揺を始めた。
「いかん、早く、タクのエネルギーボタンを押せ」
}
l
 「大丈夫ですか」
 「,大丈夫だ。ダクの小型響子頭脳を使うのだ。あいつの頭脳、はそれ
くらいの働きはできる。それに私の霊能力と彼女の超能力を使えば、
地球まで辿り着く事などわけはない」
 チヒロはラミーを抱き起した。彼女はまだ気を失なっている。
 「もうすぐ、気がつくだろう。チヒロ、喜べ私は一つのヒyトを得
た。地球に存在する『塔』が一つの解答らしい」
 スイッチが入れられ、タクは動き始める。
 タクはあちこちを見渡し、驚いていた。
 「博士、これはどうしたことですか」
 「皆、お前がやったのだ」
 「私が」
 「それよりも、お前の頭脳をこのプーラグにつなげ」
 タクは不思議そうな顔をして、操縦室へ向かっていく。
 《地球の記憶》
 要塞の防禦壁がはげ落ち、また一人の戦士が奈落の底へ沈んでい
った。
 床が振動していた。もう彼らに勝算はないようであった。帝国戦
士ウォーガトは自らの体を立て直し、コンソール=パネルを見た。
防蒙哉構ぽばとんど作動していない状態だ。モニターはすべて死ん
でいた。版屋の光源は明滅していた。敵は姿を見せず、ただ強大で
あった。
「地球の罪か」

-12-
 ウォーカー勝枝リごちた。地球の寡のため、、との地球帝国は滅び
ようとしでいるのだ。、そしてここ噺地球最後や要塞だブた?
「ウォーカーー ウォーカーー」
 遠くから声が響いていた。T人の男が足をよろめかハして、’ウjー
カーの方へ-近づいてぎた。.                   ’’
 ボイドだった。あとに3んo男が続いていた110サグ、クリノ、ラ
グレだった。無傷な者はー人もいない。             乙
 「生き残ったのはどうや収我々だけらしい」
 爆発音がして、床がざらに傾いた。光が消えた。
 「最期か」          ノノ    :  ∵ , .
 ボイドが叫んだ。
 「どうやら、そのよ『うだな一し   ド          ノ
 クuノノがつぶやいた。
 「地球の罪のため、地球帝国滅びるが」
 ただよってきた煙が鼻につきだした。炎が部屋を犯し始めたのが
ウォーカーの目の隅にはいった。
 彼らの敵は、宇宙船の姿さえ見せず、光線銃やミサイルも使わず、
地球を完膚なまで叩いたのだ。眼に見えぬ力が、彼ら星間帝国の都
市や戦闘艦を消滅させていた。戦い様がなかった。防禦あるのみだ
った。人々は自ら命を絶っていった。
 ウォーカーやボイドらわずかな勇士たちがここヒマラヤ山脈に要
塞を構築し、立娠っていた。最後の長後まで、目の見えぬ敵と戦お
うとしていた。人類の滅亡は目の前だった。最後の鉄槌が振り落さ
れようとしている。
 ボイドが、レイ=ガンを取り出し、ゆっくり頭に当てようとした。
扮からクォーカーが銃をひったくった。

 「ヤめろ、ボイド、我々は最後の最後まで、地球人の誇りを失なっ

 ては`なちん」‘ヽ ’
 「あそ‘こを見ろ」  ご
  サグが指さした。5人のいる部屋の中央に物体が形をとり始めた’。
 やがて瀧らの’目の前に・1人の男が現われ尭。目‘を血ばしらせた5人
 の男は叫んだ。                一ー     

 「何者だ」
      、  ゛7 r 』“ Φ    』Jy 『  一   ““ 』  一
「私はヤ辻フー。宇涵の創造者にして、秩序を宇宙にあまねくいき
 わたらせる者の一人だ。私はお前たち地球人が敵と呼ぶ者だ」
 「敵だと」‐
  彼らは色めきたクた。J
 「そうだ。しかし敵という概念は我々自身では理解できない。我々

 は地球の罪により、地球を排除し、大宇宙の均衡を保とうとする者
 の集合体なのだ。勇士達よ。お前達に一つの役目を与えてやろう。
 年月が流れ、この地球の罪が許されるまで……」
「この星は何だ」
 カド博士が青ざめた顔をして言った。     ’
 船のスクリーyには別に異常は現われてはいない。目の前に地球
が拡がっていく。
 「博士、いったいこの地球がどうしたというのですか」
 「空虚なのだ、ヂヒロ、空虚なのだ。通例、私は、星々にある霊に
類するものを感じることができるのだ。私の心の中にその星でおこ
った過去の歴史や運命を感じることができるのだ。しかし、この星
13-

には‘、何もないのだ」
 「何もないですって」
 「ま?たく、過去に生命体が存在した気配がないのだ。まるで何か
巨大で、より大きな意志をも’ったものがそれを吹き去ったかのよう
だ」
「それは『塔』のせいなのでしょうか」
「わからん。しかし、ここには我々の想像を絶する力があるようだ」
 ビット大佐は、連邦の情報省のチヒロ中尉が地球へ向かっている’
事を聞き、喜んでいた。これでここの実情もわかってもらえるだろ
う。肩の荷が降りたというものだ。一体、何基の四ケットが到着す
るのだろうか。ピット大佐は第一種正装を施し始めた。
 空港に出迎えたビ″ト大佐遠の前に小さな球型の船が到着した。
 整列しているビ″ト大佐遠の前で、ハッチが開き、傾斜路に現わ
れたのは。
 T人目は、ひょろ長い、金髪の若僧。自ら情報省のチヒロ中尉と
名のる。 バ
 ニ人目は、盲目のかなけの老人。
 三人目が、何と、15歳の少女。
 最後には、頭脳を手にしたアンドロイドが、出てくる。
 みんな傷を負い、服は永ロボロだった。
 ビット大佐は落胆した。これがセクタrが派遣した情報省の調査
隊だと0                                      .
 「失礼ですが、チヒロ中尉、IDカードを示していただけますか」
 ヂヒロは笛辱に耐えかねたようにIDカードをビット大佐に投げ

14-
-
つけた。
「確かに我々は調査隊には見え’ないだろう。服はボ.ロポロだし、盲
目の老人と子供と、壊れたロボ汐ト。それに青二才だ。しかし我々
は最高のチームなのだ。途中、霊の攻撃を受け船の電子頭脳がやら
れ、こんな有様になったのだ」
 中尉風情に、何かわかる。ビット大佐はつくづくセクター星の無
理解を嘆いた。なぜー’軍団を早急に送ってくれないのだ。
 チヒロはIDカードを返してもらう。情報省の中尉と、一辺境星
の連邦派遣軍の大佐とでは身分が連うのだった。
 四人がエア・カーに乗り込んだ時、事件がおこった。
 調査船エクスの底部接燐脚が、一瞬のうちに消え去った。大きな
音をたてて、船はかたむき、空港にころがった。球体なので勢いよ
く空港の外へころがり出る。
 空港の外はミリアム信仰の信者でごったがえしていた。そこへ船
が勢いよく飛び出してきた。しかし、人々は逃げようとはしなかっ
た。’                   ド
 祈ひを唱えながら、彼らは押しつぶされ・、死んでゆく。ロケ″ト
の下敷だ。さらにエクスは内部爆発をおこし、船は粉々に吹き飛ん
だ。
 連邦軍エアー’カーもそ0爆風で吹き飛ばされたが、かろうじて姿
勢を持ち直した。          〈
’「カド博士、・これは一体」
「チヒロ、不思議だ。私の頭の中に、古い文明が崩れ去るイメージ
がわいた」          .,     ’. /
 「古い文明ですって、今乗ってきたロケ″卜はたとえ、電子頭脳が
φ
つ,ぶれていようと最新型だったのですよ」
「確かに、最新型ぐ調査船だったな。私の意識が何かの力の影響を
、けているのかもしれん」
 「ビyト大佐、\今のような事件はい?もおこっているのがね」丁
 「ええ、ぞれぽジン・:・」
 4.人の目の前で、突如、ビダト大佐の体が消え去った。彼の坐っ
ていたジートの上にはきらめく灰がひとにぎり。やがてそれも風に
吹かれ浦え去るo   ¨ ハ       ’…………  ……
 〈誰も声をあげなかっと。 ……
 連邦軍駐屯本部へ叫人は辿‥り着いた。連邦軍の兵士連は指揮官ピ
ット大佐が潰え去っ日だヴで右往左往していぃる。     一j    l
        l ー j      l   j  ー   jー
 カドはチヒロにふとも・らした。‘ノ’…………。
 「さ?き、この皇に互づいだ眸に、私ぼ確か巌?たね」\,.、 .
 「そう、この星には他言が存在しない。そして空虚であるとおっし
?いましたよ」、  、/       士   …………
 「それが、今、こめ星には生命がみなぎってい呑降じなのだ。私達
がこめ大地に着いた時から泉のように湧きだしてきているのだ」
 本部の窓から外をながめていたラミーが、声をあげた。
 「あれだわ。あれが『塔』よ」  ………………
 ラミーの指さす方に、銀色に輝ぐ塔が存在した。塔のまわりを群
集が押し包んでいるよラだ。あちこちの星からこの塔にたどり着く
ためにここに来た人々、ぽろをまとい、祈りを唱えるだけで、何も
せず、人々を殺すこともせず、自らが殺されるのを待っている人々。
 「塔を調べるより先に、グルド視政官の行動を辿ってみなければ」
  チヒロは通路を通っていた兵士に声をかけ指令官代理を呼ぶよう
 に頼んだ。                  ・
 あわてた様子で、一人の少佐が彼らの前に現われた。
 「ムッカ少佐であります。何か不都合がございましたでしょうか。
もし御座いましたら、申しわけございま・ザん。先刻の事件で、皆、
動転し七いるものですから」
 「君がしっかりしてもらわなければ」ヽ          ブ
 「はっ」
  ムッカ少佐は恐縮していた。
 「少し思い出してほしいこと・があ‘るんだ」’
 「何・でしょう」     =Jヽ ……… ………
 「10日程前、グルドという痰咳官が辻七ぃを訪れたはずだ」
                     ー  j    l
 「確かにおいでにな0ましたツビ″ト大佐より、硯咳官は市内の宿
屋へお出掛けになっ’たと聞いております」
 「それから」    ∠ ………  ………
「二、三日、たっても私達の所へおいでにならないので、秘かに市
づ中を採したのでありますが、最初の夜、戻ってこなかったとのこと
なのです」
 {その宿はわかっているのか」
 「はい、タルマジロ通りのキムの宿屋です」
 「わかった。モとへ案内してくれたまえ」           』j
 ヂヒロは3人の方ぺ振り返った。
 「博士達はまだ、ここに残っていて下さい。少佐、それでは頼む」
 少佐は突然、’頼み込むように言った。
 ご「チヒロ中尉、お願いです。情報省のあなたの手で、至急、援軍を
15-
.呼んで下さい。あなたの口添えがあれば、一軍団が来てくれるはず
です。今、この星はほとんど八二″ク状態にあります。ビット大佐
が消えた今となっては手の打ちようがありません」
 「少佐ヽわかっている。今少し、この地球の現状を把握したいのだ。
もう少し待ってくれ。さあ、連れていってくれ、そのキムの宿屋へ」
 キムの宿屋は、到底、エア・カーの入っていけない露地の奥にあ
 った。
 「よし、わかった。歩いていく」
 ぼろをまとった人々が2人の行手をさえぎっていた。人垣をかき
分け、二人は進んでいく。今にもくずれそうな建物がキムの宿屋だ
った。                         1
 先刻から二人の姿に気付いていたキムは知らぬそぶりをしていた。
 カウyターの中から今、気づいたように大声をあげた。
 「こりタ、連邦軍の日】那方。犯罪人なんか泊めちタいませんぜ。こ
 の宿屋はきれいなもんだ。一等地にありますからね」\「
  チヒロは口を開いた。
 「10日程前に、グルドという男が泊ったろう」
 「グルドねえ、ここにはたくさんのお客さまが泊まりますからねえ」
  ムッカ少佐が・.怒り声をおげ’だ。           ゾ  し

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